天然うなぎ獲りの夏 | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは

夏真っ盛り、ミンミンゼミがやかましい。

ミ~ンミ~ンがたまに「む~んむ~ん」と暑苦しく感じる。

 

小学校高学年の頃、夏休みは海、山、川のスケジュールがビッシリで宿題なんてやる暇もない。

魚釣りに磯物獲り、素潜りに山遊び、川はうなぎに手長エビ捕りと決まっていた。

 

鮎釣りも楽しかったが、うなぎの醍醐味には敵わない。

夜釣りもあったが待つのは性に合わない、攻めて攻めまくるのが「穴釣り」の面白さ。

途中、物陰にうなぎやエビが隠れているのでモリも持って行く。

腰にはビク、頭には水中眼鏡、背中にはモリと穴竿・・まるで弁慶みたいな格好だ。

 

山で掘ったデカイみみずを餌に、針ごと短く細い竹の先にかける。

それを石垣の穴に差込むとうなぎがいればすぐ当たりがある。

そっと竹を抜き取りしばらく待つ。

タイミングを見計らって一気にズボッと引き抜く。

デカイうなぎを引っこ抜いた時の快感はたまらないが、躊躇すると奥にしがみついて出てこない。

 

川沿いの家には庭に階段があり川で洗濯をする。

その足場の下にうなぎの巣がある。

いつもの縄張りに行くとおばちゃんが洗濯している。

しゃがんでいる股の下にいきなり釣竿を挿し込む汗わけにもいかず・・

「おばちゃんちょっとごめん」と場所を譲ってもらい竿を石垣に入れてみる。

いつも必ず手ごたえがある穴で、案の定ゴツゴツと当たりが。

一気に引き抜くと手首ほどの大うなぎだ!

「ほえ~!おったまげたねえ たいしたもんだ」とおばちゃんが感心し得意満面だった。

 

ビクには数匹のうなぎと手長えび。夕方まで飽きずに熱中していた。

橋の上から聞きなれた声・・

 

「たか~しちゃん! 何捕っちょるん?」

 

近所の口の悪いおばちゃんだ。

無視したかったが・・

「うなぎ・・・」と振り向かずに答えた。

 

「あ~はっはは!あんたに捕まるうなぎがおろうか 自分のちっこいドジョウでも握っちょき

 

・・やはり無視したほうが良かった。

 

大学生になり初めて「うな丼」を食べた時、いつものうなぎと味が違っていた。

うなぎには変わりないがやはり天然のうなぎのほうが美味しいと今でも思う。

それは脂の質もそうだが肉質本来の味、体で覚えた自然のうなぎの味なのだろう。

 

生きた海老やカニを食べ、冷たい水で何年もかけて育ったうなぎと、配合飼料で1年前後で育てたものとでは肉質が異なるのは仕方ない。

そう思いながら養殖うなぎをたまに食べている。

 

忙しい中、そんなに好きならと、たまに天然をもらって食べると生き返った気がする。

あのミンミンゼミの夏に時間が逆戻りするが・・

ドジョウおばちゃんハートブレイク記憶も消えない。