外来のハーブが流行だが、日本の食文化に馴染みが薄いせいかなかなか浸透しない。
ハーブのイメージが一人歩きして定着しているような気がする。
香りと料理、つまりアロマと香辛料だ。
華やかなハーブティはお洒落で女性が好む。
香りもどちらかと言えば女性の世界。男性は横目で見ながら一人寂しく取り残されている。
ハーブのイメージは日本と外国では異なり、本来は食と香りだけでなく有用植物全体のことを言うのだが、定義をはっきりさせたがるのが日本人で、外国にはない「カレー粉」と同じだ。
ヨットやモーテルの解釈もかなり異なり日本人の方が範囲が狭くなる。
ミントやラベンダーの中に「山椒」がデンと存在すれば違和感を感じるはずだ。
山椒は日本が世界に誇るスパイスだが、これも利用範囲が狭い。
うなぎと竹の子中心ではあまりにも寂しい。
どんな料理にも使える優れものなのだが、思い込みが強く、トライする人は少ない。
子供の頃のニッケイ、これはシナモンの仲間で懐かしい味なのだがなかなか売っていない。
日本古来のハッカも流通させて欲しいと思っている。
野山は香りだけでなくあらゆることに利用できるハーブの宝庫だ。
日本人が古代から使いこなしてきた立派なハーブ文化は廃れつつある。
暮らしに必要なものはその土地から調達するのが一番理に適っている。
野菜を育てるのもその土地に馴染んだ土着微生物が一番。
お金で食材やその他のものを外国から集めるのが悪いとは言わないが、その為に荒廃してゆく貧しい国は多い。それを考えるとやはり地産地消が理想だろう。
好きな野性のハーブにクロモジがある。
京都では古来から和菓子の楊枝に使われている。
ポプリみたいな強烈な香りではないが、本当に心が休まる香りだ。
クロモジを知っていても香りを嗅いだ事のある人は少ないのではなかろうか。
乾燥すると香りは消えてしまう。
山にいくらでもあるクロモジの枝を折り、鼻先に寄せると誰もが微笑む香りだ。
だからこそ昔から日本人は和菓子のもてなしにクロモジを使ったのだろう。
数ある香木の中で何故クロモジだったのか、そのように思考を進めて行けば日本人の心が少しわかる。
華やかな世界も楽しいのだが、植物とそれを活かす人間、足元に視点を向けてハーブの基本的なことから見つめ直すと良い。
そうでないと日本の文化にはなかなか馴染めず、いつも一線を引いた状態が続くような気がする。