不思議な出来事 1
腫瘤は、心臓から肺へ向かう肺動脈にある
サイズは4センチ
血栓溶解で数値は変わるけど、サイズの変化が見られない
朝、義姉と甥に見送られて兄は手術室に入った。不安なのか、義姉の手を握ると、そのまま振り向くことなく手術室に入って行った
当初、血管の出来物が腫瘍であっても数時間、午後2時には終わる手術だと聞いていた
携帯に義姉から連絡が来たのは、午後7時
オペ室から出てきたドクターは、手術開始直後に心臓が止まりまして、、、それは問題なかったのですが
あの日まで僕は何をしたんだ?
神様にお祈りした
血栓であって、無事取れましたの言葉を待っていた
兄が心配で毎日泣いてた
通勤の車の中でも泣いていた
先に亡くなった母にもお願いした
お兄ちゃんを守って
友達が教えてくれたがん封じのお寺もお参りした
血管の出来物は、がんでした
手術で左肺全てと心臓弁の置換をした
病理診査の結果を待つことになった
不思議な出来事 プロローグ
母が亡くなって数ヶ月
兄の具合が悪くなった
最初の頃は、お母さんの置き土産だねと笑っていたけれど、長く続く咳や息切れは普通ではないと思い、受診を進めた
心臓に数センチの腫瘤が見つかった
血栓である可能性と、腫瘍である可能性
縋れるものがあれば何にでも縋りたかった
どうか血栓であってほしいと願った