「汐梨さんには、背中を押された。そして。…耀司さんには、受け止めてもらえた。」
睦美。
「私の方こそ。です。」
その声に耀司、微笑みながらニッコリ。
…そして…。
睦美、腕時計を見ながら。耀司に、
「あ、耀司さん。」
耀司、ソファから後ろに顔を。
「うん…???」
「そろそろ、私。」
耀司、壁掛け時計を見て、
「あ、おっと。こんな時間。」
睦美、
「明日の朝の耀司さんの食事。冷蔵庫の中です。そして。」
耀司を手招きして。
耀司、ソファから…。
睦美から渡されたメモを見て耀司、ニコリと。
「うん。了解。」
睦美もニコリと。
「お願いします。」
耀司に一礼をして。
耀司も同じく、一礼をして。
「じゃ、行こうか。」
睦美、
「あ、はい。」
そして、バセットに手を振りながら、
「バセット~~、また明日~~。」
バセット、すぐに立ち上がり、ふたりの後を。
耀司、いつもながらに、
「バセット、留守番、頼む。」
バセット、
「ワン。」
睦美も、
「お留守番、お願い。」
バセット、
「クゥ~~ン。」
道路に出て耀司、
「何だあいつ。俺にはワンで、睦美さんには、クゥ~~ン。」
思わず可笑しくなる睦美。
駅前で耀司と別れて睦美、駅のホーム。腕時計は、夜の9時25分。
スマホを取り出し指をトン。ラインの画面。
まずは汐梨のアイコン。可愛らしい洋服を来た麻沙美のアイコン。
睦美、
「かっわいい~~。」
そして耀司のアイコン。サックスを吹いている外国人のアイコン。睦美、ポツリと。
「耀司さん。」
そして、ホームの天井を向いて、
「はぁ~~~。結婚…、するんだ~~。」
物思いに耽る睦美。
その時、
「もしもし、姉さん…???」
いきなり晄史の声が。いきなり小刻みに顔を左右に、
「い。え…???…何…???…どこ…???」
すぐさまスマホを見て、
「うそ~~~~。びっくりした~~~。」
スマホから、
「もしもし、姉さん…???」
咄嗟に睦美、
「あ、あ、あ~~~。はい。うん。私。」
遠くから電車が。スマホに、
「今、電車が来た、これから帰る。切るね。」
プツリと通話は切れる。
「びっくりした~~~。何で…???…晄史に電話…。…おかしい。」
顔を傾げながら。
画面を閉じた、つもりで、物思いに耽け、
そしてスマホに、指で何やら、なぞっていたのだろう。
いきなりの晄史の声に、まだ心臓が高鳴っている。
電車の入り口に歩きながら、
「はははは。」
眞鍋家の玄関。
「ただいま~~。」
リビングに入って…。
晄史、
「おっと、帰って来た~~。何、姉さん、さっきの電話。」
睦美、思わず、
「あ…、え…。え、え~~。」
思いっきり焦り顔で…。
「あ、あ、あ~~。う、うん。…ははははは。いや…。何、どうしちゃったのかな~~~。ははははは。」
「電話が来たから、もしもし、姉さん。って言ったら、いきなり、い。え…???…何…???…どこ…???…うそ~~~~。びっくりした~~~。って。意味不明。何が何なのか。」
睦美、
「あは。ははははは。」
精一杯の誤魔化し笑い。
誓、ソファに座ったままで、
「芙美花さん、どうなの…???…インフルエンザ。」
キッチンで睦美、手を洗って。
「あ~~。うん。今日、午前中に病院、行って来たみたい。」
誓、
「あん、そう~~。そっか~~。じゃあ、1週間は、やっぱり、学校、お休みだね~~。」
晄史、カウンターのメーカーからカップにコーヒーを。
「じゃあ、姉さん、1週間は、高井戸家に。…ってか、汐梨さんもインフルじゃ、何々、大変じゃん。」
誓も、
「まさかね~~。あの汐梨さんまで…。」
睦美、
「うん。」
そして…。
睦美、オットマンに座って、
「あのね。」
晄史と誓、そんな睦美に、
「うん。」
睦美、
「私…。耀司さんと結婚する事にした。」
その瞬間、晄史も誓も、目をパチクリと。
「うそ。」
「わあ。」
「今日、決めて来た。」
晄史、目を閉じて、顔を上に、両手を握り締めて、
「や…った~~。」
誓も、
「良かった~~~。」
「耀司さんから、正式に、結婚してくださいって。」
晄史、
「うほほほほほ。」
「私も、お願いします。って。」
誓、ニコニコと、
「うんうんうん。」
晄史、
「やっぱ…。タイミングかな~~。芙美花さんも、汐梨さんもインフルエンザに。」
睦美、僅かに顔を傾げて、
「うん~~。まぁ、多分…」
語尾を強めて。
「芙美花さん、物凄い体、弱ってた。」
誓、
「確かに。私だって~~、インフルの時は、酷かったもん。お義姉さんだって去年。」
睦美、コクリと。
「うん。最悪だった。」
晄史、
「だよな~~。」
「耀司さん、芙美花さんに今日、午前中に病院連れて行って、帰りに薬局に寄って、その後、宮前さんに電話したんだって。」
晄史、
「宮前さんって、看護師長の…???」
コクリと睦美。
「そして、耀司さん、スマホを芙美花さんに渡したんですって。そうしたら、芙美花さん、宮前さんに、夢の中でおかあさん、何度も見たって。」
誓、
「あ~~~。」
「そして、そのおかあさんが段々いなくなって。そしたら、何処からかピアノの音が。」
晄史、
「わお。」

ママでいい…。 vol,321. 睦美、「私…。耀司さんと結婚する事にした。」
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