走りながらの車の中で晄史、
「す、凄い、走り。」
誓、
「ま。確かに、他の車は、脇に寄ってはくれるけど。…こんな、走り方、あり…???」
幸いなことに、ある程度の渋滞は解消されてはいた。
程よく。救急車は最寄りの病院に到着、そして搬送。
晄史、誓、病院に到着して、運転手に、
「ありがとうございます。」
晄史、
「あのぅ。お名刺、頂けませんか…???」
運転手、
「あ、ごめんなさい。僕、名刺、持ってなくって…。あ、ちょっと待って下さい。」
車のサイドボックスから小さなケースを。そしてその中から1枚を男性に渡す。
「これです。」
晄史、名刺を受け取って、
「芸能プロダクション創健社(そうけんしゃ)マネージャー・辻元香世子(つじもとかよこ)…。」
晄史、
「ありがとうございます。」
そして、晄史、誓、そのまま病院に…。
そして、受付から案内されて…。
「こちらでお待ちください。」
30分後、ある診察の一室から出て来た睦美。
ベンチに座っている晄史と誓、
「姉さん。」
「お義姉さん。」
睦美、
「あは。うん。」
晄史、
「どう…、だっ。」
睦美、恥ずかしそうに、
「う、うん。…特には…。…検査も、してもらったんだけど…。どこもなんとも。…って言うか、先生の方が、階段から落ちて何ともないというのも…。転がって落ちたんでしょって。顔を傾げてたけど…。」
晄史、姉を見て、
「ほんとに、どこも…???…何とも…???」
睦美、実に、困ったように…。そして晄史に口を尖らせて、
「う、うん。」
そして、ハッキリと、
「うん。…と、言うか、どこも痛くない。ただ…。…先生にも言われたけど、明日、もしくはその後に何かしらの異変が…、ある可能性も否定できないから、その時は、必ず病院へと。」
晄史も誓も、頷いて、
「うんうんうん。」
「だよね。」
「…と、言う事は…。」
晄史、あちらこちら。そこは、緊急外来。
晄史、あちこち見回して、ひとりの看護師を。
「あ、あの。さっき救急車で運ばれて来た男性は。」
看護師、
「ご家族の…。」
晄史と睦美、
「あ、いえ…。知り合いで…。その場に一緒に。」
「あ。それなら、今はまだ検査中で…。多分、MRI。…少しお待ちください。…あ。こちらでお待ちになって構いませんので。」
そして…。再び待つこと30分。
看護師から伴われての耀司。
晄史、誓、睦美、
「高井戸さん。」
左肩をガッシリと固定され。そして、右手で松葉杖を。
3人を見ての耀司、申し訳なさそうに、
「はは。」
晄史、
「高井戸さん。」
耀司、
「左肩。」
顔を傾げながらも、
「…打撲だって。」
3人、
「打撲。」
耀司、
「右足は…。」
また顔を傾げて、
「軽い…、捻挫。かな…。はははは。」
晄史、
「打撲…。」
誓、
「軽い捻挫…。」
いきなり睦美、高井戸にガッシリ頭を下げて、
「申し訳、ありませんでした。」
そんな睦美に耀司、にこやかに、
「いえいえ。」
振れるだけの左手をヒラヒラと。
看護師、
「先生も言われておりましたが、特に、入院する必要もないとの事で。」
耀司、看護師に、
「はい。ありがとうございます。」
「ただ…、左肩の回復は…、1、2週間は掛かると思いますので。」
耀司、看護師に、
「ですよね~~。」
耀司、そして3人に。
「階段から転がり落ちて、この程度で済んだのは驚き。って。普通なら全身打撲。臓器にも異常は必然。って。まっ。踊り場で止まったのがせめてもの…、運かも。」
看護師、
「それじゃあ、ご案内します。」
耀司、看護師にペコリと。
「ありがとうございます。」
晄史たち、高井戸の後ろから…。
耀司、病院の中をあたらこちらと。そして、
「はは。う~~~ん。」
看護師、そんな男性に、
「うん…???…はい…???」
耀司、
「え…???…あ。はは。いや…。なんでも。…なんだか、懐かしくって。」
その声に看護師、
「はぁ。」
そして…。受付を…。
全ての手続きを済ませて。耀司、3人に、
「はは。これじゃあ…、食事どころじゃ。」
気まずい雰囲気の3人。それぞれが、
「う、うん。」
耀司、椅子に座り、
「っと~~。」
バッグからスマホを。
「とにかくっと~~。」
スマホで…。
「あ。もしもし、汐梨。」
スマホから汐梨の声。
耀司、
「あのさぁ~~。」
そして、今の状況と事の顛末を。いきなり、
「え―――――――――っ!!!」
耀司、すぐさま口をへの字に。スマホから、
「どこどこ。どこの病院…???…今から行く。」
耀司、
「あ、あ~~~。」
あちこち見回して、そして、今度は病院の領収書を。
「え…、と~~。……。」
すぐさま、
「分かった。今から行く。そこにいて。」
耀司、
「あ~~い。」
通話は切れる。
晄史と睦美、
「木守…さん。」
耀司、コクリと。
「うん。妹。すぐ行くって。…んでっと。」
耀司、またスマホで。3回のコールで相手が出る。
「もしもし、おとうさん…???」
耀司、
「あ~~、うん、おとうさん。あのね…。……。」
するといきなり、
「うそ―――――――っ!!!」
晄史、高井戸に、
「娘さん…???」
耀司、晄史に、両眉を上下に。

ママでいい…。 vol,110. 晄史、姉を見て、「ほんとに、どこも…???」
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※ご本人の承認の下、紹介させて頂いております。
