病院に到着した和奏と蒼介。ナースステーションに。
そのふたりを見て凪、一礼をして、
「お待ちしておりました。すぐ先生を…。」
落ち着かない様子の和奏と蒼介。
和奏、病院からの電話では、理沙の容体が悪化した。としか…伝えられてなかった。
蒼介、心配でおろおろしている和奏に、和奏の左手を握って、
「……。」
和奏、蒼介の顔を見て、一度、鼻を啜る。
凪と一緒に現れる駒田、一礼して別室に…。
その数分後、ナースステーションに現れるひとりの女性。
「お疲れ様です。いつもどうも。」
若手看護師の国見須美(くにみすみ)。看護師2年目である。
カウンターの方に歩み寄り、一礼して、
「お世話様です、菅田さん。どうぞ。」
そんな看護師にニッコリと。
「うん。ありがと。頑張ってる…???」
流美である。
須美、ニッコリと、
「はい。ありがとうございます。」
流美、そんな須美を見て笑顔で、
「うん。じゃね。」
別室では顔を両手で塞ぐ和奏。
そして…、黙って下を向いて蒼介、両手握り拳を…。
駒田、厳しい表情で、
「残念ながら、我々の力では…、今の状況を…改善できるというのは…、不可能かと…。」
蒼介、ポツリと…、
「…下半身…麻痺。…不随…。」
泣きながら和奏、
「…歩けない…。立てないって…。理沙…。…そんな…。」
駒田、
「既に…、手の施しようがない状態に…。」
ここまで至った経緯も駒田から聞いた和奏と蒼介。
和奏は泣き崩れ、蒼介は唇を結んだまま、
「なんて…事に…。理沙~~。」
そして天井を見つめて。
そして蒼介、
「あ、あの…、今、娘は…???」
駒田、
「今は…、もぅ…、病室に…。…看護師が着いています。」
蒼介、和奏の肩を抱きながら、
「かあさん。」
和奏、蒼介に抱えられながら。
駒田、ゆっくりとふたりの傍で…。そして、廊下に出て…。
和奏、なんとか表情を変えるように…。姿勢を正して顔をキリッと…。
そして病室に…。
理沙に着いてくれている看護師、凪。ふたりに一礼して…。
「まだ…、眠ってますから…。」
蒼介、
「ありがとうございます。」
自分の後ろにいる和奏の背中に手を回して自分の前に…、
「かあさん。」
再び頬濡らす涙の和奏。
「理沙…。理沙~~。」
麗亜の病室。
流美、
「だから~~。な~~に、ふたりとも~~。さっきから黙り込んで~~。」
麗亜も将輝も、流美が病室に入ってきて以来、だんまりを決めているのだった。
「将輝。あんた、高2でしょ。何だんまり決めてんのよ。私にも話せない事…・???」
口を尖らせてるままの将輝。
ベッド上でもぞもぞとしている麗亜。
流美、腕組みをして、
「麗亜っ!!!」
麗亜、
「お姉ちゃん…。」
実は流美は将輝と麗亜の父親、菅田丈師(すだたけし)の妻、菅田明音(すだあかね)の妹である。
けれども、その明音は5年前に他界している。
丈師と明音は17歳の年齢差がある。そのために明音の妹とも20歳離れている。
麗亜が物心ついた頃、流美の事を、あんまりおばちゃんとは言えずに…。
しかも、そんな麗亜の事を流美も、冗談半分に、「おばちゃんじゃない。お姉ちゃんよ。」と、
麗亜の顔をいつも両手で撫でて可愛がっていた。
その冗談半分が、いつの間にか麗亜、「おねえちゃん。」の方が呼びやすくなり。
それ以来である。
明音の死亡原因は、若年性脳梗塞。
発見が遅く、流美がクリニックの勤務終了後、姉に何度も電話を掛けたが通じず、
自宅にいるはずの流美の下に駆け付けた時には、既に息を引き取っていた。
父親の丈師は当時、都内のビルの火災でてんてこまい。
そんな時に何度も流美からの連絡にようやく気付き、初めて妻の訃報を知ったのだった。
麗亜、ベッドの上で、
「お姉ちゃん、怒らないで聞いてくれる…???」
その声に流美、
「なんで私が怒らなきゃなんないのよ。…そういう事を…ふたりで…、やっちゃった訳…???」
少し口を尖らせながら流美。
麗亜、その声を聞いて、また引っ込み思案になり…。
流美、顔を傾げ、そして麗亜の傍に…。椅子に座って。麗亜の頭を撫でて、
「こら。麗亜、どうした…???うん…???」

信じて…良かった。 vol.015. 病院に到着した和奏と蒼介。
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