舗道を歩きながら翠、
「まっね~~。…でも、仕事中だよ、今、日本橋~~。これからもう1件…寄るとこ、あるんだけど…。」
隣ではスマホで話している翠を見ながらの、椎名璋子(しいなしょうこ)。
「とにかく、退院おめでと。さすがに、早いよね~~。普通なら、2ヶ月は入院って、奥村師長も言ってたけどね~~。」
隣で璋子、不思議な顔で…。
「…ん…???ユウマって…一体…誰…???退院って、誰の事…???ユッキ…もう…退院してるけど…???はい…???」
翠の声を聞きながら巽、
「うん。俺自身もそう思ったけど…。なんでか…、体が動くんだよね~~。不思議な感じ…。」
そんな巽の声に翠、
「だってユウマ。ユウマ自身…、強いもん。ほら、高校の時だって…。」
その声に巽、
「あ~~。そういえば…。」
かつて、病院の屋上で翠に話した、癌で死んだ女の子の話。そして、
「こんな事で、くたばって堪るか。」
翠、
「あの時の事、しっかりと覚えてる。私も…救われたもん。」
巽、
「かかかか。そっか~~。うん。そうかも…知んない。」
璋子がタクシーを拾って…。
翠、
「あ~~ユウマ。じゃ、これから急ぐから、夕方、そっち行く。」
巽、
「あぁ、ありがと。…あっ、それから杉浦…。」
いきなり耳に届く、通話切れの音。
「おっと。切れた…か…。」
そして、その5分後に、着信。
「店長~~。もしもし。」
「あっ、巽君~~。退院…決まったみたいで…。」
珂帆の声が耳に。
「はい。」
1時間後、ようやく新作の打ち合わせが一段落して、
自分のスマホを手に取り、取引先から…、
「何か…???え~~~!!!」
傍にいたスタッフたち、
「ん~~???ゆず~~???」
目の前の尋音。そして左を見ても万美、席を外している。
橙、スタッフたちに、
「あっ。いえいえ…、うん。なんでも…。」
そう言って、橙、思わず、小さくガッツポーズ、
「や~~った。巽、退院決まり~~。はははは。」
そしてすぐに後ろ向きになり、少し小走りで…。行き着いた先。
「おぅ…ゆず~~。」
薫郎である。
「ねね、ユッキ。」
「…ん…???」
「飛香ちゃんも…。」
飛香、キョトンとして。
橙、
「巽、退院…決まった。ラインくれた。」
薫郎、
「わっほ~~。良かったじゃ~~ん。うんうん。」
飛香も、
「わ~~~。おめでとう~~。へっ…???」
顔を薫郎に向けて、
「でも…、遊馬さん…、入院から、退院って…、早いですよね。」
薫郎、
「あ…。あ~~そっか…。まだ…2か月…経ってないんじゃ…。」
「うんうんうん。」
喜ぶ橙、
「早いよ、早いよ。凄いよ巽。」
飛香、
「良かったね、ゆずちゃん。」
そんな飛香を見て橙、何かしら、不思議な感じはしたものの、
「うん。」
薫郎、
「ゆず~~。夕方、仕事明けたら、行ってあげなよ。遊馬君。」
橙、
「うん。ありがと。」
「フレバーの方…???」
「うん。進んでる。」
「頼んまっせ~~。」
「うん。分かった。」
「阿川さんとは…???」
「う~~ん。時々連絡取ってる。」
「おぅ。」
そして、フロアに戻ってきた尋音、万美にそれぞれ耳打ちして…。
尋音、万美、それぞれ、
「うほほほほほほ~~。なんと…、なんと、嬉しいニュース。」
尋音に目を向けて…。
尋音、笑顔で頷く。
万美、
「…当然…、コバちゃんには…、みどから…。」
頭の中で…。
ゆっくりと呉羽の傍に万美、
「失礼しま~~す。みどから…、何か…???」
呉羽、
「ふん…???みどから…???あ~~うん。遊馬君…退院…決まったって…。1時間前に、連絡あった。」
万美、
「わお。それは、それは…。」
頭を下げて自分の席に万美。
その万美に笑みを、呉羽。そして、橙を見て、また笑みを…。

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