「こんな…だったら…わたし…、けんすけ…。」 「…あれ…、おい、おい。もしかして…、君…あ…ゆ…かわ…くん。」
顔を下向きにして、右手を口に当てて、低い声で泣く紗友莉…。
「参ったな~こりゃ…。マジかよ…、ジミーの事…。ったく~!」
手摺に右腕を当ててその上に額を乗せて、黙っている紗友莉。
その傍で腰に両手、そして右手を額に抑えて…。
「本気に…なっちまってたか…。無理に決まってんだろ。相手が相手だ。…まぁ…あいつの事を良く知っている俺たちだから…、こういう風に言えるんだけど…。そうでなくったって…。」
「……。」
「まぁ…あいつに惹かれるって…言うのは分かる…けどさ…。…ったく…。周りの連中見たってわかるだろ。殆ど…キャリアあるやつばっかりなんだ。」
「……。」
「…あっ、こりゃまた…失敬…。…別に君…鮎川…くんが劣ってるって言う訳じゃ…ないん…だけど…。…でも、状況が、状況だ…。しかも…遥子まで、この場にいるんだ。元カノの…。それをジミーも知っていて…、これだぜ。」
今まで静かに泣いていた紗友莉が突然、顔を起き直して、
バルコニーから離れ、
「帰る。」
そう言って、拓哉の傍から歩き始めた。
「えっ…、おい。」
そう言って紗友莉の肩に、「待てよ。」と言う風に手を当てる拓哉。
それを振り解いて紗友莉、
「ごめんなさい、か…わいさん。」
そう言いながら会場の室内に足を進める紗友莉。
「…ったく、もう…。やれやれ…。」
※※※※※※※※※※※※※
