連合障害 | kyupinの日記 気が向けば更新

統合失調症の人の会話は一般の人が考えるほど支離滅裂ではない

統合失調症の人の会話は、メディア特に映画やドラマなどで、いかにも支離滅裂に描かれていることがあるが、実際にはそうではないと言う話。

 

過去ログでは、精神病院の入院患者さんは、いつも笑っているわけではないと言う記事がある。

 

 

後半部分を再掲。

 

この映画の最初の方でオランダの精神病院が連合軍の爆撃を受け、多くの患者さんが外に出てきている場面がある。患者さんたちは、道沿いに並び連合軍兵士を見送っていたが、ほとんどの人は声をたて笑い続けていた。また衣類も場にそぐわない正装だったりとかなり奇妙だった。子供の頃、この映画を水野さんの水曜ロードショーで観ていた際、あの光景には全く違和感がなかった。しかし今考えてみると、統合失調症の患者さんとはいえ、病棟が爆撃されるという非常事態に、

あそこまで笑っていないと思うよ。

むしろ、笑っているような人はほとんどいないのではないかと思う。昔の精神科の教科書には、古い年配の統合失調症の患者さんが高らかに笑っている写真が必ず載せられていた。(今は知らないが)。

これは「児戯的爽快」の一面でしょうなぁ・・

現代社会でも、破瓜型の荒廃状態の人はこのような笑いを見せる人はいるが、ここまで崩壊していない古い患者さんもかなり多い。しかし、あの映画のあの時代(第二次大戦中のノルマンディー以降)では、抗精神病薬がなかったので、古い患者さんの荒廃率は高かったのではないかと思う。ただ、統合失調症の人も非常事態では結構、締まるものなのである。(参考

あの映画のあの場面の描写は、日本人も西欧人も精神病患者のイメージがたいして変わらないことを示していて興味深いと思う。

この映画は、1977年に公開されているからである。

 

以上ここまで。

 

結局、統合失調症の患者さんの会話が、そこまで支離滅裂ではないと言う話は、いつも笑っている訳ではないのと同様、映像では精神症状が極端に誇張されて描かれているためにそうなっている。

 

普通、日常的会話、例えば「今日のおやつは何が良いですか?」とか「昨夜は何を食べましたか?」などのやり取りでは、正常な人と全く変わらず、おそらく研修医が回診時にその光景を見たら、どこが悪いのかわからないと思う。

 

支離滅裂な会話は精神科では「連合弛緩」ないし「連合障害」と呼ばれるが、統合失調症では特に重要な症状の1つとされている。以下はGoogleAIによる説明。

 

統合失調症における「連合障害(連合弛緩とも呼ばれます)」は、思考のまとまりがなくなり、会話の文脈が飛躍したり、脈絡がなくなったりする症状です。話の筋が通らなくなるため、他者との円滑なコミュニケーションに支障をきたすことがあります。

 

連合障害(連合弛緩)の主な特徴

思考の脱線: 会話中にテーマが次々と関係のない方向へ逸れていきます。

外れな応答: 質問に対して的外れな回答が返ってくることが多くなります。

言葉のサラダ: 症状が進行すると、単語やフレーズの繋がりが完全に解体され、無関係な言葉の羅列(言葉のサラダ)になることがあります。

本人の自覚: 当人は話の筋道が通っていないことに無自覚であることが多く、周囲から指摘されても気づかない傾向があります。

 

以上である。連合障害はちょっとした日常会話では明確にわからないレベルの患者さんの方が遥かに多い。 どのような時によりわかるかだが、普通に会話している人でも、文章を書かせると支離滅裂さが明瞭になることがある。また、非常に悪化した時にわかる人もいる。昨年、統合失調症の人が書きつけたノートには謎が多いと言う記事をアップしている。

 

 

かつて、話をしても全く会話が成立しない人が実際にいた。約30年くらい前でさえ、長期入院患者が100名いたら2〜3名くらいとかなり少数である。その1人は長く座敷牢に入れられていたお嬢さんで、全く会話ができないレベルであった。以下は座敷牢の記事。

 

 

支離滅裂で全く会話が通じないレベルの患者さんでも、しばらくやり取りしていると、不思議なことに、こちらの意図が通じているように見える。きっとそうでない人もいると思うが、僕の患者さんはそうであった。

 

だから、連合障害が重い人には生活指導が出来ないかと言うと、そうでもないのである。例えば、「歯を磨きましょう」とか「風呂に入りましょう」などである。

 

連合障害が重篤な人がかつてそのくらいで、今は一層減少しているので、精神病院の中の会話が支離滅裂なわけはない。また奇妙な笑いもそうである。

 

なぜそのレベルの人たちが減ったかと言えば、1つは薬が良くなったことと関係がある。例えばジプレキサやレキサルティなどの非定型精神病薬の進歩が大きい。また患者さんの多くが早い時期に精神科治療に乗るようになったこともある。

 

その視点では、反精神医学的な思想は有害でしかない。

 

日本では、かつてはメディアでも反精神医学的な思考を持つ人たちがテレビなどで番組制作したり、その発想の書物も多くみられたが、今もあるが、日本国内では、そこまで共感する人たちが多くない印象である。

 

他、連合障害の重さが減少している要因として、逆説的だが、時代が変わり発達障害が精神疾患に混入するようになったことも関係しているのでは?と考えている。

 

つまりだ。発達障害のグレーゾーン的な要素が、統合失調症の人が真に重くなることを妨げているのである。(私見)