抑肝散やフェルガードは、西洋薬を使う場合は減量または中止してみる
認知症でとりわけよく使われる漢方薬は抑肝散である。この薬は元々、レセプト的に「認知症」の適応はないが、「不眠」と書いておけば査定されない。
抑肝散は、神経過敏や興奮といった症状に有効な鎮静的な漢方薬である。従って、臨床医によれば、あらゆる精神疾患に効くという人もいる。
精神疾患には種々の漢方薬が使われており、加味逍遥散、柴胡加竜骨牡蠣湯、黄連解毒湯、補中益気湯、半夏厚朴湯などは比較的使われる方である。
うちの病院に転院してくる人では、抑肝散と加味逍遥散はよく処方されている気がするが、抑肝散だけは、認知症系の種々の症状に有効なので、精神科に限らず他科の医師もしばしば処方している印象である。
フェルガードは過去ログに少し触れているので再掲。
フェルガードはこのブログでは初めて出てきたが、保険適応がないもののエビデンスもある認知症へのサプリメントでアマゾンでも買える。毎日使うには高齢者にはやや高価なのが難点。
フェルガードは自然のものから作られているので、副作用がほとんどないのは良い。フェルガードの成分には主にフェルラ酸とガーデンアンゼリカの2つがあり、
フェルラ酸
βアミロイドの産生抑制および毒性を弱める。
フリーラジカルの抑制。
フェルラ酸が効くと便通も改善する。
ガーデンアンゼリカ
アリセプト類似の作用。つまり副作用もありうる。
フェルガードは興奮が目立つタイプの認知症に使い、ニューフェルガードは意欲が低下し不活発なタイプの認知症に使う。だからニューフェルガードは認知症の興奮状態には使わない。(←重要)
フェルガードはアリセプトに比べ認知症のタイプを選ばない。だから、その点では例え効かなかったとしても使いやすいとは言える。(特に前方側頭型とレビー小体型認知症)フェルガードはいくつかのサイトで詳しく解説されているので興味のある人は検索してほしい。
フェルガードとニューフェルガードだが、良い人には嘘みたいに劇的に効く。フェルガードは鎮静系だが、ニューフェルガードは賦活系なので、抑肝散とは全然似ていない。
ニューフェルガードを処方すると、日中、ずっと傾眠状態だった老人が、動きが出て、はっきり目を開けていたりする。ニューフェルガードは、高価だが、副作用の少なさを考慮するとかなり優れている。また、日中、ずっと傾眠だと誤嚥や肺炎などの問題が起こりやすいが、それを間接的に防ぐメリットは大きい。
また会話が不能だったり、辻褄が常に合わなかったような老人が、時間によると話が通じることがあると言う大事件が起こる。
今回の記事は、これらの漢方ないしサプリメントを服用中に、何らかの抗精神病薬か抗うつ剤を投与するようになった際に、どのように対処するかについて。
基本的に、重い抗精神病薬、例えばセロクエル以上の薬を投与する場合、特にフェルガードなどは中止して対処したい。
その理由は、もったいないから。(←重要)
相対的にサプリメントの力は弱いので、誤差になるような事態は避けたい。
しかしながら、セロクエルなどの量にもよるが、抑肝散は併用でも良い。その理由は、抑肝散は抑制的な漢方であり、抑肝散併用のためにセロクエルが少量で済むケースもあるからである。
気分安定化薬のデパケンRを併用するケースも同様である。
抑肝散は、全く効いていないのでは?と思って中止すると、認知症による興奮が再現することがある。抑肝散は、全く効いていないように見えても結構貢献していることがある。
リフレックスのように鎮静的な抗うつ剤も、抑肝散はできれば中止して対処したい。抑肝散も老人に副作用がないわけではないからである。出しても出さなくても同じなら、止めた方が体にも良い。
ラミクタールなどの賦活系気分安定化薬も、併用する際には、ニューフェルガードは中止しておきたい。その理由は、ニューフェルガードは作用の方向性が似ているし、高価だからである。
騒ぐ認知症の老人には、「抑肝散、アリセプト、セロクエル」がセットで入っていることがよくある。この中では、アリセプトは一度は中止を試みたい薬である。その理由は、その人に合っておらず、中止するだけで全てが解決する人が結構いるからである。(リエゾンで多数経験)。
特に老人では、内科系の薬も多く併用されており、何かを追加したら、何かを中止するという手法が望ましい。
今回の記事は、「抑肝散、アリセプト、セロクエル」の3点セットを否定するものではない。認知症のBPSDが酷い老人は、この3点セット以上の処方が必要なことがある。
この3つが、メマリー5mgで一気に置き換えられる人(しかも以前より改善)がいるので、年々、薬は良くなってきているとよく感じる。
参考
抗コリン作用を持つ薬物の認知への影響
認知症のBPSDを抑えると言う意味
抑肝散は、神経過敏や興奮といった症状に有効な鎮静的な漢方薬である。従って、臨床医によれば、あらゆる精神疾患に効くという人もいる。
精神疾患には種々の漢方薬が使われており、加味逍遥散、柴胡加竜骨牡蠣湯、黄連解毒湯、補中益気湯、半夏厚朴湯などは比較的使われる方である。
うちの病院に転院してくる人では、抑肝散と加味逍遥散はよく処方されている気がするが、抑肝散だけは、認知症系の種々の症状に有効なので、精神科に限らず他科の医師もしばしば処方している印象である。
フェルガードは過去ログに少し触れているので再掲。
フェルガードはこのブログでは初めて出てきたが、保険適応がないもののエビデンスもある認知症へのサプリメントでアマゾンでも買える。毎日使うには高齢者にはやや高価なのが難点。
フェルガードは自然のものから作られているので、副作用がほとんどないのは良い。フェルガードの成分には主にフェルラ酸とガーデンアンゼリカの2つがあり、
フェルラ酸
βアミロイドの産生抑制および毒性を弱める。
フリーラジカルの抑制。
フェルラ酸が効くと便通も改善する。
ガーデンアンゼリカ
アリセプト類似の作用。つまり副作用もありうる。
フェルガードは興奮が目立つタイプの認知症に使い、ニューフェルガードは意欲が低下し不活発なタイプの認知症に使う。だからニューフェルガードは認知症の興奮状態には使わない。(←重要)
フェルガードはアリセプトに比べ認知症のタイプを選ばない。だから、その点では例え効かなかったとしても使いやすいとは言える。(特に前方側頭型とレビー小体型認知症)フェルガードはいくつかのサイトで詳しく解説されているので興味のある人は検索してほしい。
フェルガードとニューフェルガードだが、良い人には嘘みたいに劇的に効く。フェルガードは鎮静系だが、ニューフェルガードは賦活系なので、抑肝散とは全然似ていない。
ニューフェルガードを処方すると、日中、ずっと傾眠状態だった老人が、動きが出て、はっきり目を開けていたりする。ニューフェルガードは、高価だが、副作用の少なさを考慮するとかなり優れている。また、日中、ずっと傾眠だと誤嚥や肺炎などの問題が起こりやすいが、それを間接的に防ぐメリットは大きい。
また会話が不能だったり、辻褄が常に合わなかったような老人が、時間によると話が通じることがあると言う大事件が起こる。
今回の記事は、これらの漢方ないしサプリメントを服用中に、何らかの抗精神病薬か抗うつ剤を投与するようになった際に、どのように対処するかについて。
基本的に、重い抗精神病薬、例えばセロクエル以上の薬を投与する場合、特にフェルガードなどは中止して対処したい。
その理由は、もったいないから。(←重要)
相対的にサプリメントの力は弱いので、誤差になるような事態は避けたい。
しかしながら、セロクエルなどの量にもよるが、抑肝散は併用でも良い。その理由は、抑肝散は抑制的な漢方であり、抑肝散併用のためにセロクエルが少量で済むケースもあるからである。
気分安定化薬のデパケンRを併用するケースも同様である。
抑肝散は、全く効いていないのでは?と思って中止すると、認知症による興奮が再現することがある。抑肝散は、全く効いていないように見えても結構貢献していることがある。
リフレックスのように鎮静的な抗うつ剤も、抑肝散はできれば中止して対処したい。抑肝散も老人に副作用がないわけではないからである。出しても出さなくても同じなら、止めた方が体にも良い。
ラミクタールなどの賦活系気分安定化薬も、併用する際には、ニューフェルガードは中止しておきたい。その理由は、ニューフェルガードは作用の方向性が似ているし、高価だからである。
騒ぐ認知症の老人には、「抑肝散、アリセプト、セロクエル」がセットで入っていることがよくある。この中では、アリセプトは一度は中止を試みたい薬である。その理由は、その人に合っておらず、中止するだけで全てが解決する人が結構いるからである。(リエゾンで多数経験)。
特に老人では、内科系の薬も多く併用されており、何かを追加したら、何かを中止するという手法が望ましい。
今回の記事は、「抑肝散、アリセプト、セロクエル」の3点セットを否定するものではない。認知症のBPSDが酷い老人は、この3点セット以上の処方が必要なことがある。
この3つが、メマリー5mgで一気に置き換えられる人(しかも以前より改善)がいるので、年々、薬は良くなってきているとよく感じる。
参考
抗コリン作用を持つ薬物の認知への影響
認知症のBPSDを抑えると言う意味