目の輝きはドパミンに関係が深い | kyupinの日記 気が向けば更新

目の輝きはドパミンに関係が深い

このブログはちょうどエビリファイの発売直後(2006年6月)から始まっており、最初の頃は特にエビリファイを処方した際の印象の記事が多い。なんと、エビリファイのカテゴリーは今回を含め記事が75個もある(今回が75回目)。

その中で、特にエビリファイは「目に効く」と指摘している。

以下は過去ログから。エビリファイの初回のエントリからである。(エビリファイ2006-07-11)

効果だけど、「目に効く」
キラリーン。と言ったところか。目が生き返るとでも言いましょうか・・ こういう無形の効果というか、抽象的な効果が出るのが、いかにも非定型薬物っぽい。今、そこそこ使い始めたところなので、もう少ししないと評価はできないね。


人によると、目が妖しく輝いている人もいる。しかし当初はそんな感じであってもレセプターへの作用が腰折れするのか、あるいはレセプターが変化するのかわからないが、次第に自然になっていく。

うつ状態、統合失調症の精神病状態のいずれも病状が重い場合、目が死んでいる。

特にエビリファイの処方の初期に、目が生き返るように輝きを増すのは、おそらくエビリファイが脳内でドパミンライクな振る舞いをするからである。少量ではアゴニスト的に作用するためにうつにも有効なのである。

元々、統合失調症の緊張病性興奮状態では目に正常さがなくなる。奇妙な感じで輝きを増し、一般の人からも目がおかしいと指摘される。また初診時に家族から目が据わっているなどと言われたりする。

僕はまだ精神科医になったばかりの頃、当直先の保護室で、躁状態の著しい興奮状態の人を診た。彼はいかに海が美しかったかを唾を飛ばしながら多弁に話していたが、完全に恍惚状態にあり、目はまさに妖しい輝きを放っていたと思う。

あれこそ、異常な量のドパミンの放出が目に表れていた。

目が生き返ると言うと、非定型抗精神病薬ではジプレキサもそうであるが、「目の輝き」という面で、少しエビリファイとは異なる。自然さと言う点でジプレキサの方が少し優れているように思うが、これは個々の精神科医の感覚にもよるし、患者さん個人で異なっているような気がする。

ジプレキサは相対的にD2レセプター以外の薬理作用も多く、これが、multi-acting-receptor-targeted-antipsychotics, MARTAと呼ばれる所以である。

ジプレキサは単にD2レセプターを遮断するだけでなく、前頭葉でわずかだがドパミンを増やす効果を持つ。これはジプレキサの抗うつ作用にも貢献しているし、いわゆる他の抗うつ剤と併用の際にはカンフル剤になりうる。

ジプレキサは脳の中心辺りでドパミンを遮断し、脳の前頭部でドパミンをいくらか増やすというバランス感覚があるからこそ、理想の抗精神病薬に近いし、うつ病の非定型精神病状態に素晴らしく効くことがあるのである。(失敗するとかえって悪化する)。

そのように考えていくと、エビリファイの「目のキラリーン」が時に妖しい輝きに似ているのに対し、ジプレキサが目が生き返るにしても、もう少し「自然な感じ」になるのが理解できる。

参考
エビリファイはなぜうつに効くのか?(前半)
エビリファイはなぜうつに効くのか?(後半)
ジプレキサ、「双極性障害のうつ状態」の適応追加予定