エビリファイのパラドックス | kyupinの日記 気が向けば更新

エビリファイのパラドックス

非定型抗精神病薬の中でも、エビリファイは従来になかったタイプの薬である。

過去ログでは、鎮静が少ないエビリファイ、ルーラン、ロナセンは非定型抗精神病薬でも処方が難しいタイプと記載している。この3剤の中ではまだロナセンは扱いやすい。それはD2受容体への効果が大きいから。(幻覚を抑える効果が大きい)

エビリファイはいずれ双極性障害にも適応が通るであろう。エビリファイは躁状態を抑えるためには最初から大量投与しないと話にならないと思われる。エビリファイを大量に投与し、更にデパケンRなども併用する。それくらいすると、鎮静がかかりそうである。

僕の友人が一度、エビリファイを60mgほど一度に飲んだことがあった。30mg錠を2錠飲んだだけである。感想を聞いてみた。彼女のコメントは、

ちょっと眠いかな?

くらいであった。エビリファイはその薬理作用から考えて、大量に飲むと多少は抑制的になりそうな感じはする。

僕はエビリファイを躁状態に使うことがほとんどない。それは躁状態をエビリファイで抑えるにはコストがかかりすぎることが大きい。(液剤だと更に高額・・)

抗精神病薬を併用するなら、セレネース液で十分である。安いし。

精神科医でも経験の少ない人が、躁状態の人にセレネース液を使ったら、その切れ味に感動するであろう。(もちろん無効の人もいるが。セレネース錠に比べ圧倒的に効くのが凄いのである)

皆が誤解していると思うのは、精神医療は向精神薬を大量に出せば出すほど、病院は大損であること。どうもこれが逆に思われている。(過去ログを見よ)

エビリファイの大量で躁状態を抑えることが一般化したら、国が倒れる。ただでさえ、地震や原発事故で大変なのに。

エビリファイがない時代、治療に困っていたかというと、それほどではない。エビリファイはオールマイティーで便利な薬ではあるが、ないならないでもやっていけるのである。

つまりだ。
エビリファイは精神科医の技量の試金石のようなもので、エビリファイをうまく使いこなせる精神科医は、エビリファイが存在しなかったとしても、それなりに別な薬物療法で治療パフォーマンスをあげられるのである。


その視点では、エビリファイはパラドックスな薬と言える。

エビリファイを好きでないとか、使いこなせない医師は、つまり下手なのである。(キッパリ)

参考
向精神薬には処方難易度の相違がある