異常に暑がる人 | kyupinの日記 気が向けば更新

異常に暑がる人

人の感覚というのは面白いもので、同じ温度でも厚着の人と薄着の人がいる。

普通、肥満すると「汗っかき」というか暑がる人が多くなるようには見える。これは体重が増えると、相対的に体重に対して皮膚面積が減ると思われるので、まあ合理的はなっていると思う。(熱の蓄積を防いでいる?)

暑がり寒がりは、実証と虚証にも関係しているような・・虚証の人は冷えに弱い傾向はある。(クーラーが苦手とか)

かつて、非定型精神病薬が出回り始めた当時、「以前に比べ汗が出るようになりました」と言う人がいた。普通、汗が出やすいとかどうかはともかく、抗精神病薬を大量に飲んでいる人はサウナに入るべきではない。うつ熱で倒れてしまうことがあるからだ。(熱射病)

デイケアでは温泉などに行くことがあるが、人によれば、温泉は良いが安易にサウナに入らないように指導している。統合失調症の患者さんの場合、このあたりのセンサーが鈍くなっていることがあるからだ。

そういえば、昔から精神病院ではけっこう寒いのにTシャツ1枚とか、そのような薄着の人たちが存在した。だから風邪を引きやすいというのもあると思う。確かにどこか感覚の軽微な異常があるようには見える。

最近、リエゾンでこのような主訴だけのおばあちゃんを見る機会があった。そのおばあちゃんはナースによると、真冬なのに異常に暑がり、裸になって氷水に漬けたタオルで冷水摩擦をしていると言う。こういう相談も珍しい。(クオリア参照)

ナースの話だと、認知症ではないでしょうか?という感じであったが、実際に診ると、認知症どころか矍鑠としたものであった。ただ、感覚の異常が見られるのである。

これは広い意味の身体表現性障害くらいなんでしょうなぁ・・今風に言えば。

こういう人はどうみてもデプロメールが良さそうでしょ。老齢だし。

彼女にデプロメールを25㎎だけ処方し、1週間後に行ってみると、先週よりはかなり落ち着いていた。いつもパタパタしていたのが良くなっているのである。本人に聞くと、暑さはまだあるけどかなり軽くなったと喜んでいた。副作用らしいものは全然なかった。

もう少し量を増やした方が良いと思ったので50㎎まで増やした。翌週行ってみると、更に良くなっており、ベッドサイドでお互いに立ったまま話をした。彼女によれば、暑さは90%は消失したらしい。(ほぼ治癒状態)たった2週間で急激な変化であった。

うーーん・・

この人は数週間したら薬が止められるかもしれんね。

SSRIと3環系及び4環系抗うつ剤の決定的な相違は、SSRIはハードを変えることがあるのに対し、旧来の抗うつ剤はそういう色がないことだと思う。

SSRIの「全てがどうでも良くなる感じ」は薬物を中止した後もそのまま残る人もいる。(つまり性格の変化)

このチューニングがピッタリだと、薬を止めてもこだわりが減少し完治に近い状態になる。つまり自分らしさは失うが、社会適応が良くなるってこと。

こう言いつつ、ちょっと淋しい気持ちになるのは不思議だ。

もちろん、この変化は「やたら切れやすい」とか暴力的とか慢性的な空虚感、希死念慮のように、あたかもボーダーラインのようになってしまうこともある。

最近の新聞報道は、つまりそういうことなんだと思う。

参考
附子
パキシルとアンプリット
口腔内セネストパチー
リエゾンの患者さん