変更するにはもう遅すぎる・・
外来患者さんで、このような処方の人がいる。
セレネース 15㎎
ヒベルナ 75㎎
アキネトン 6㎎
ユーロジン 2㎎
30歳頃から50歳代後半までずっとこの処方であった。今もそうであるが。診断は統合失調症で、ここ5年くらいは僕が診ている。ずっと働いていて、このまま定年退職になりそうだ。
僕が診ている間、全く悪化らしいものもなく症状の波すらない。春先、桜の咲く時期にちょっと悪くなるとかそういうのもなくて、固定した状態。副作用は全然ない。便秘くらいは出てもおかしくないのにそういう副作用もないのである。
寛解と言うには少し陰性症状があるので言いすぎかもしれないが、概ね寛解状態と言って良いほどなのである。もし彼女が働けなかったら、障害年金2級くらいは受給できたはずだ。彼女は難しいことはしていないのだが、とにかく休まずに働いている。(彼女は障害年金は受給していない)
彼女は独語、空笑など、周囲から見て明らかにわかるような奇妙な症状がない。しかも、幻覚妄想もないので、きっと職場の同僚は、彼女が精神病であることに気付いていないと思う。
この処方は変更する意義がほとんどない。
過去、主剤(セレネース)をいじるようなことは僕はしなかった。その理由は怖すぎるからである。診始めた当初、一度だけアキネトンを減量しようとしたら、アカシジアが出たのですぐに元に戻した。
セレネースがこの量だとアキネトンは必要なのであろう。ヒベルナも75㎎入っているが、この薬も慎重に減らさないと離脱が出ることも珍しくないし、彼女のように症状が安定し、しかも働いている人の薬物変更は難しい。下手に減らして数十年来のある種の均衡を壊すのは危険なのである。
彼女が今40歳以下なら主剤の処方変更は考えても良いだろう。その年齢だと、彼女に処方変更を提案したかもしれない。彼女の年齢と就労状況を考慮しその提案すらしなかった。セレネースの減量の際、遅発性ジスキネジアやジストニアが生じたりしたら大変なことになる。
この処方を乱暴に変更して病状を悪化させ、彼女の老後を台無しにすることはあってはならない。
今さらこの年齢ではリスクはとれない。失敗した時に痛すぎるからである。
しかし、このまま年齢を重ねていって、75歳くらいになった時、この処方で良いものか?とは思う。セレネースは非常にタイトで鎮静的な薬物なので、こういう風に安定してしまうと隙がない。
セレネース15㎎は、これはちょっと思う量であるが、一応、コントミン換算で750㎎と滅茶苦茶な量とはいえない。それに、この処方は一応、単剤処方と見なされるのである。
単に薬を減らせば良いとか、あるいは非定型でないとダメとか、単剤でなければならないと言う考え方は間違っている。
ところで、彼女はエビリファイが合うような気がしている。なんとなくだけど。
エビリファイを使ってみようと思うのが、この年齢(50歳代後半)で、しかも働いている人には危険思想なのである。
参考
不思議な非定型病像(本文及びコメント欄参照)
統合失調症の寛解、就労、予後の謎
セレネース 15㎎
ヒベルナ 75㎎
アキネトン 6㎎
ユーロジン 2㎎
30歳頃から50歳代後半までずっとこの処方であった。今もそうであるが。診断は統合失調症で、ここ5年くらいは僕が診ている。ずっと働いていて、このまま定年退職になりそうだ。
僕が診ている間、全く悪化らしいものもなく症状の波すらない。春先、桜の咲く時期にちょっと悪くなるとかそういうのもなくて、固定した状態。副作用は全然ない。便秘くらいは出てもおかしくないのにそういう副作用もないのである。
寛解と言うには少し陰性症状があるので言いすぎかもしれないが、概ね寛解状態と言って良いほどなのである。もし彼女が働けなかったら、障害年金2級くらいは受給できたはずだ。彼女は難しいことはしていないのだが、とにかく休まずに働いている。(彼女は障害年金は受給していない)
彼女は独語、空笑など、周囲から見て明らかにわかるような奇妙な症状がない。しかも、幻覚妄想もないので、きっと職場の同僚は、彼女が精神病であることに気付いていないと思う。
この処方は変更する意義がほとんどない。
過去、主剤(セレネース)をいじるようなことは僕はしなかった。その理由は怖すぎるからである。診始めた当初、一度だけアキネトンを減量しようとしたら、アカシジアが出たのですぐに元に戻した。
セレネースがこの量だとアキネトンは必要なのであろう。ヒベルナも75㎎入っているが、この薬も慎重に減らさないと離脱が出ることも珍しくないし、彼女のように症状が安定し、しかも働いている人の薬物変更は難しい。下手に減らして数十年来のある種の均衡を壊すのは危険なのである。
彼女が今40歳以下なら主剤の処方変更は考えても良いだろう。その年齢だと、彼女に処方変更を提案したかもしれない。彼女の年齢と就労状況を考慮しその提案すらしなかった。セレネースの減量の際、遅発性ジスキネジアやジストニアが生じたりしたら大変なことになる。
この処方を乱暴に変更して病状を悪化させ、彼女の老後を台無しにすることはあってはならない。
今さらこの年齢ではリスクはとれない。失敗した時に痛すぎるからである。
しかし、このまま年齢を重ねていって、75歳くらいになった時、この処方で良いものか?とは思う。セレネースは非常にタイトで鎮静的な薬物なので、こういう風に安定してしまうと隙がない。
セレネース15㎎は、これはちょっと思う量であるが、一応、コントミン換算で750㎎と滅茶苦茶な量とはいえない。それに、この処方は一応、単剤処方と見なされるのである。
単に薬を減らせば良いとか、あるいは非定型でないとダメとか、単剤でなければならないと言う考え方は間違っている。
ところで、彼女はエビリファイが合うような気がしている。なんとなくだけど。
エビリファイを使ってみようと思うのが、この年齢(50歳代後半)で、しかも働いている人には危険思想なのである。
参考
不思議な非定型病像(本文及びコメント欄参照)
統合失調症の寛解、就労、予後の謎