リスパダール液による体重増加について
リスパダール液はリスパダール錠やリスパダール細粒に比べ、副作用が少ないと言われているが、少量だとたいした違いはない(参考)。リスパダール液の利点は頓服で使いやすいことだと思う。(参考)
今日のエントリはある統合失調症の女性患者さんについて。
彼女はお手伝いに行っている病院の患者さんで、本人が処方変更を嫌っていたので、約1年間は処方変更はしなかった。彼女は肥満が目立っていたので、少なくとも今の処方ではダイエットをしても減量は難しいことを折に触れて話していた。
当時の処方
リスパダール液 1ml
ベゲタミンA 2T
他ベンゾジアゼピン系眠剤
下剤、胃薬
体重に関して言えば、なんといってもリスパダール液が癌であり、これさえ中止すれば減量が容易になると言えた。それにリスパダールは彼女には合っていないように見えるのである。彼女は無気力、不活発であり、運動もままならない状態であったからだ。これも間接的に体重増加に影響している。
僕は、はっきりリスパダール液を他の薬に変えるべきと言った(←いかにも僕が言いそう)。
リスパダールから変えるとすれば、やはりルーランくらいだろうと思った。ジプレキサだと、良かったとしても減量できる確率が相当に下がるし、セロクエルでは、リスパダールよりはマシだったとしても病状が悪化しては仕方がない。彼女は昨年にかなり病状が悪かったので、悪くなるリスクがある処方変更には消極的だった。
僕がこのような話をしていたこともあり、彼女はやっと今年の春に処方変更してみる気になった。最初はリスパダール液を1mlから0.5mlに減量している。
上の処方のポイントはおそらくベゲタミンAであろう。ベゲタミンは決して眠剤ではなく1つの抗精神病薬なのである。
「プリンの唄」から
こういう超絶に重い患者さんはベゲタミンAやBを使ってみるのがコツなのである。それも昼間に。添付文書にはベゲタミンAにしろBにしろ、眠剤とはひとことも書いていない。あれは実は鎮静剤の1つなのである。この場合、フェノバールはある種の気分安定化薬として働く。(中略)
ベゲタミンAおよびBは神の薬で、あれを思いついた人はたぶん天才だと思う。あれは合剤だから神なのであって、あの成分をバラバラに処方すると、なぜかベゲタミンほどは効かない。たぶん薬の練り方が良いんだと思う。一時、配合比が黄金分割になっているのかな?と思っていたが、AとBでは違うし。まぁいずれにせよ絶妙な組み合わせなのだろう。
ベゲタミンAの内容
コントミン 25㎎
ヒベルナ 12.5㎎
フェノバール 40㎎
ベゲタミンBの内容
コントミン 12.5㎎
ヒベルナ 12.5㎎
フェノバール 30㎎
(ベゲタミンAとBは倍の関係にはなっていないことに注意)
ベゲタミンが入っているために、この減量は安全性が高くなっているといえた。単独でリスパダールが1㎎入っているのを減らすのと、ベゲタミンAが2錠も併用されているのを減らすのでは大違いだからである。
この人のように病状が重い人はベゲタミンが入っていた方が良いケースを時々診る。ただベゲタミンはコントミンを含むので、これが体重増加に関与している可能性はないとはいえない。コントミンは本来、個人差はあるが、体重が増えておかしくはない薬物である。僕は彼女に、リスパダールを減量しても体重が減らなかったなら、ベゲタミンを減らすしかないと話していた。
春から徐々にリスパダール液を減量し、最初にルーランを4㎎だけ入れてみた。僕はルーランは大量に処方しないことが多いが、はっきりした統合失調症の人に限ればそこそこ処方することもある(16㎎くらい)
僕はルーランを4㎎を超えて増やさず、セレネース液を追加することにした。これは僕の考えがあり、ルーランによる高揚を抑制し、ちょうどぴったりの位置に精神症状を定位させる意味がある。(参考)
また彼女は気が強く、いわゆるウェールズ系の女性なので、リボトリールも良いのではないかと思った。こういう風に併用すれば安全に減量できる可能性が高いと思ったのである。
次第にこのような処方になった。
リボトリール 1mg
ルーラン 4㎎
セレネース液 0.5ml
ベゲタミンA 2T
他ベンゾジアゼピン系眠剤
下剤、胃薬
この処方は偶然だが、以前とコントミン換算値が同じになっている。この処方で、なんと半年で15kg減量できたのである。こういう風にみていくと、彼女に関しては、ベゲタミンはほとんど体重増加にかかわっていなかったと思われる。
最近だが、ベゲタミンAももう少し減量できるような気がしたので、本人に強く薦めて、ベゲタミンを1つだけベゲタミンBに変更している。
リボトリール 1mg
ルーラン 4㎎
セレネース液 0.5ml
ベゲタミンA 1T
ベゲタミンB 1T
他ベンゾジアゼピン系眠剤
下剤、胃薬
精神症状だが、ルーランに変わって少し明るくなったという。それに過食っぽい症状が消えたらしい。朝の目覚めもわりあい良いと言っていた。
僕が、やはりリスパダール液を減らしたら、体重が減ったでしょう?と言うと、
ダイエットしたんですよ!
と強い口調で返された。さすが、ウェールズの人!
その時、気が付いたのだが、僕が女性患者に処方変更による体重減少を指摘した時、「(私も)ダイエットしたんですよ」と返されることが時々ある。
本人には決して言えないけど、「ダイエットできる」というのがすごいのである。
精神症状が良くならないと、半年で15kgの減量なんて、到底無理な話だからである。
今日のエントリはある統合失調症の女性患者さんについて。
彼女はお手伝いに行っている病院の患者さんで、本人が処方変更を嫌っていたので、約1年間は処方変更はしなかった。彼女は肥満が目立っていたので、少なくとも今の処方ではダイエットをしても減量は難しいことを折に触れて話していた。
当時の処方
リスパダール液 1ml
ベゲタミンA 2T
他ベンゾジアゼピン系眠剤
下剤、胃薬
体重に関して言えば、なんといってもリスパダール液が癌であり、これさえ中止すれば減量が容易になると言えた。それにリスパダールは彼女には合っていないように見えるのである。彼女は無気力、不活発であり、運動もままならない状態であったからだ。これも間接的に体重増加に影響している。
僕は、はっきりリスパダール液を他の薬に変えるべきと言った(←いかにも僕が言いそう)。
リスパダールから変えるとすれば、やはりルーランくらいだろうと思った。ジプレキサだと、良かったとしても減量できる確率が相当に下がるし、セロクエルでは、リスパダールよりはマシだったとしても病状が悪化しては仕方がない。彼女は昨年にかなり病状が悪かったので、悪くなるリスクがある処方変更には消極的だった。
僕がこのような話をしていたこともあり、彼女はやっと今年の春に処方変更してみる気になった。最初はリスパダール液を1mlから0.5mlに減量している。
上の処方のポイントはおそらくベゲタミンAであろう。ベゲタミンは決して眠剤ではなく1つの抗精神病薬なのである。
「プリンの唄」から
こういう超絶に重い患者さんはベゲタミンAやBを使ってみるのがコツなのである。それも昼間に。添付文書にはベゲタミンAにしろBにしろ、眠剤とはひとことも書いていない。あれは実は鎮静剤の1つなのである。この場合、フェノバールはある種の気分安定化薬として働く。(中略)
ベゲタミンAおよびBは神の薬で、あれを思いついた人はたぶん天才だと思う。あれは合剤だから神なのであって、あの成分をバラバラに処方すると、なぜかベゲタミンほどは効かない。たぶん薬の練り方が良いんだと思う。一時、配合比が黄金分割になっているのかな?と思っていたが、AとBでは違うし。まぁいずれにせよ絶妙な組み合わせなのだろう。
ベゲタミンAの内容
コントミン 25㎎
ヒベルナ 12.5㎎
フェノバール 40㎎
ベゲタミンBの内容
コントミン 12.5㎎
ヒベルナ 12.5㎎
フェノバール 30㎎
(ベゲタミンAとBは倍の関係にはなっていないことに注意)
ベゲタミンが入っているために、この減量は安全性が高くなっているといえた。単独でリスパダールが1㎎入っているのを減らすのと、ベゲタミンAが2錠も併用されているのを減らすのでは大違いだからである。
この人のように病状が重い人はベゲタミンが入っていた方が良いケースを時々診る。ただベゲタミンはコントミンを含むので、これが体重増加に関与している可能性はないとはいえない。コントミンは本来、個人差はあるが、体重が増えておかしくはない薬物である。僕は彼女に、リスパダールを減量しても体重が減らなかったなら、ベゲタミンを減らすしかないと話していた。
春から徐々にリスパダール液を減量し、最初にルーランを4㎎だけ入れてみた。僕はルーランは大量に処方しないことが多いが、はっきりした統合失調症の人に限ればそこそこ処方することもある(16㎎くらい)
僕はルーランを4㎎を超えて増やさず、セレネース液を追加することにした。これは僕の考えがあり、ルーランによる高揚を抑制し、ちょうどぴったりの位置に精神症状を定位させる意味がある。(参考)
また彼女は気が強く、いわゆるウェールズ系の女性なので、リボトリールも良いのではないかと思った。こういう風に併用すれば安全に減量できる可能性が高いと思ったのである。
次第にこのような処方になった。
リボトリール 1mg
ルーラン 4㎎
セレネース液 0.5ml
ベゲタミンA 2T
他ベンゾジアゼピン系眠剤
下剤、胃薬
この処方は偶然だが、以前とコントミン換算値が同じになっている。この処方で、なんと半年で15kg減量できたのである。こういう風にみていくと、彼女に関しては、ベゲタミンはほとんど体重増加にかかわっていなかったと思われる。
最近だが、ベゲタミンAももう少し減量できるような気がしたので、本人に強く薦めて、ベゲタミンを1つだけベゲタミンBに変更している。
リボトリール 1mg
ルーラン 4㎎
セレネース液 0.5ml
ベゲタミンA 1T
ベゲタミンB 1T
他ベンゾジアゼピン系眠剤
下剤、胃薬
精神症状だが、ルーランに変わって少し明るくなったという。それに過食っぽい症状が消えたらしい。朝の目覚めもわりあい良いと言っていた。
僕が、やはりリスパダール液を減らしたら、体重が減ったでしょう?と言うと、
ダイエットしたんですよ!
と強い口調で返された。さすが、ウェールズの人!
その時、気が付いたのだが、僕が女性患者に処方変更による体重減少を指摘した時、「(私も)ダイエットしたんですよ」と返されることが時々ある。
本人には決して言えないけど、「ダイエットできる」というのがすごいのである。
精神症状が良くならないと、半年で15kgの減量なんて、到底無理な話だからである。