精神科の主治医制について
普通、精神科病院に入院した場合、主治医なる医師が自分の担当医になる。僕はそれが一般的であって、それ以外のパターンはないと思っていた。
ところが、ごく稀に入院患者でさえ主治医制でない病院があるという。このような方法だと治療方針が首尾一貫せず、良い結果になりにくいと思う。1人の医師がその人の精神症状を継続して見ていないと、最短距離で良い治療方法が見つからないような気がするし、悪い経過になった時、主治医がいなかったら責任の所在がない。
外来でも当然主治医がいて、一般的には1名の医師が同じ人を診ている事が多い。しかし、気まぐれに来院する人はその度に違う医師が診ているというようなこともある。このようなタイプの人はたいてい病状も軽いことの方が多い。このような人は誰が診察しても同じようなものだ。
僕の病院の場合、僕が院内にいる場合なら、外来担当医でない日でも診ている。院内にいるのに診ないなんて、その方がおかしい。精神科医の場合、外科医のように、現在「手術中」とか言うのがないからである。
数ヶ月前、若いお嬢さんがうつ状態で初診した時、たいして薬を処方せずに様子をみたことがあった。主訴はうつ状態、倦怠感に加え不安感、食欲不振、いつも眠いなどだった。僕はSSRI、旧来の抗うつ剤、いずれにしてもすぐには処方し辛いと感じ、ドグマチールとメイラックスだけ処方した。
ドグマチール 100mg
メイラックス 1mg
その時、家族も同伴していたので、なぜこのような処方をしたかを概ね説明した。僕は普通はそこまで言わないことも多いのだが、この病状だとあまりにも消極的と思ったからだ。これは患者さんやその家族はきっと何も思わないだろうが、僕自身の心の問題。僕はその説明で具体的にSSRIとは言わなかったが、そういうリスクを取らず、最初はやさしめの薬で治療をしましょうか、くらい言っていたのである。もちろん、「今後SSRIを使わずに治療する予定」などとはカルテには書いていない。これは状況によるし、漠然と方針を曖昧にしていたわけで、結局は経過次第と思っていた。
ところが、彼女らは次の来院日を守らず、2回目は僕の不在時に来院したのである。そこで部下の医師によりあっさりパキシル20mgが処方されてしまっていた。あれは、本当にガックリであった。まさか2回目から全然違う日に来ようとはこちらも考えていない。
僕は、このブログではリスパダールやSSRIについて個人的な意見を書いているが、うちのドクターにはそれを全く強制していない。医局で僕の意見を披露することもない。また職員すべてこのブログも知らないので、もちろん僕の治療の考え方についても詳しくは知らないのである。
しかし他の医師もリスパダールの大量とか滅茶苦茶なことはしていないし、何考えてるんだろう?というような妙な処方もないし、いろいろ医師にも考え方があるので干渉しない方針でやっているのである。うちの病院のドクターはすべて今は僕の医局の後輩なので、根本的なところでのコンセンサスはあるような気がしている。
これは僕の院長としての方針でもあるが、もともと精神科医は非常に募集が難しいのも無関係ではない。精神科医は偏在しているので、足らない所ではまだ圧倒的に不足しているのである。実際、別に僕の責任ではなかったのだが、過去1年以上にわたり精神科医が僕1人になるという恐ろしい事態になり死ぬ思いをした。僕が当時死ななかったのは、僕の健康状態がまあまあであったのと、病院の規模がそこまで大きくなかったのと、当直医がなんとか確保されていたからだ。
そういう経験を経て、やはりドクターが働きやすい環境が重要だと思い、他の面でも注意を払っているし、医療についても他人の治療に干渉したり、自分の治療方針を強制することはないのである。(僕は未だかつて他人に自分の治療方針を強制したことはない) 一般の人はわからないと思うが、民間の精神病院は運営面も含め、いろいろ難しいことが多いのである。
だからうちの病院の場合、同じように初診した場合でも、僕にかかるか、他のドクターにかかるかでは、もちろん処方が異なる。これにはすごく自信がある。
そのパキシル20mgの女性が再診した時、これはちょっとというような副作用が出ていた。これははっきり言って、主治医の担当日にきちんと来ない方にも責任があるといえた。
パキシルの副作用と効果
起きるとフラフラする。
きついので寝ながらテレビを観ている感じ。
テレビを観ておかないと淋しい気持ちになる。
とても眠い。
薬を飲むと吐き気がする。
口がとても渇く。
不安感は少し減少している。
家族とは話ができるようになってきた。
現代社会では、うつ状態にSSRIは第一選択薬なので、変な治療をされたわけでは決してないのである。(普通、第一選択薬を否定するような処方を他のドクターに強制したとしたら、院長だとしてもその方がおかしいと言える。誰も変なことを言う院長の下では働きたくはないだろう。)
僕は彼女がパキシルで副作用が出そうなのは、初診時に既になんとなく感じていたが、再診時の状態を診て、パキシルでの治療は少し無理そうだが、ジェイゾロフトの少量なら良いかもしれないと思った。厭世観や希死念慮などの重篤な悪影響が出ていないので、塞翁が馬であるが、SSRIでの治療の可能性を感じたのである。
元々、SSRIは3環系、4環系より抗ヒスタミン、抗コリン、肥満、循環器系などの副作用が少ないとされている。ところが不安焦燥感、感覚の異常、厭世観、希死念慮が人によっては出現する。結局、厭世観や希死念慮の重い副作用が出ないなら、SSRIの方が治療しやすいかもしれないと言うのはある。
最初、パキシルを単純に10mgに減量してみた。良かったことはパキシルを減量すると少し食欲が出て、以前より食事が摂れるのである。しかしパキシルによる体のダメージみたいなものは10mgでも大きく、「トイレに行くにもフラフラしている」「ずっと1日中、横になっている」「口渇が酷い」「やりたいことが全然できない」と言う。パキシル10mgでも治療薬としての実用性が乏しいのは変わりがなかった。
この人はかなり薬に弱い方に入るので、ドグマチール100mgも多すぎると思ったので、半分の50mgに減量している。パキシルは5mgに減量してみた。
ドグマチール 50mg↓
メイラックス 1mg
パキシル 5mg↓
この処方でしばらく良かったらしい。ところが、ある些細なきっかけで病状が悪化し、一気に悲哀感が出た。倦怠感も酷いという。結局、パキシルを使うとすれば、5mgでは少なすぎるのであろう。パキシルは副作用の関係で増量できないが、もう少し忍容性が高いSSRIなら大丈夫かもしれないと思った。僕はパキシルを中止しジェイゾロフト25mgに変更した。
ドグマチール 50mg
メイラックス 1mg
ジェイゾロフト 25mg↑
この処方では、どうも良いのか悪いのか中途半端な状態になった。本人によれば、1週間でも調子が良い日と悪い日があるという。その来院日は良いといっていたが、昨日は悪かったらしい。睡眠があまりよくなく中途覚醒するが、食事は摂れるという。パキシルからジェイゾロフトに変更して急に便秘が良くなったという。そのまま20日間くらい様子を診ていた。次第に意欲が出て、外出したり、パソコンもできるようになった。外には出るが億劫さも同居している。元気になっているが、時々眠かったり悲哀感から泣いたりするらしい。日内リズムが崩れており、夜眠れなかったりと概日リズムがバラバラであった。僕はツムラ41(補中益気湯)くらいを併用し、更にドグマチールも減量し、まだジェイゾロフトで粘っていた。
ドグマチール 25mg↓
メイラックス 0.5mg↓
ジェイゾロフト 25mg
ツムラ41 7.5g↑
この当時から倦怠感を強く訴えるようになった。昼に眠り、夜に起きているという。漢方は飲みにくいと言い本人がすぐに止めてしまったので中止している。本人が勝手に止めてしまうような漢方薬は処方しない方がいい。無理に服用させるのはナンセンスで、東洋医学的ではないのである。この状態では日常生活ができないので、思い切ってジェイゾロフトをもう少しだけ増量してみた。
ドグマチール 25mg
メイラックス 0.5mg
ジェイゾロフト 37.5mg↑
この処方で2週間後に再診した時、なんとアルバイトを始めていたので少しびっくりした。昼間は寝ているので夕方からの仕事を見つけてきていた。まだ悲哀感はあるらしい。この人は焦燥や希死念慮がないので、SSRIに弱いとは言えまだ治療しやすいのである。
彼女は朝が悪くて夕方から元気になる典型的な内因性うつ病の日内変動のパターンで、夕方からなら仕事も可能なのである。昼夜逆転傾向なのは、SSRIが睡眠を悪化させることも影響しているかもしれなかった(参考)。
良くはなっているがどうもバランスが悪い。治り栄えに調和みたいなものが見られないので、僕は3環系抗うつ剤で治療した方が日内リズムが改善していくような気がしていた。このように内因性っぽい日内変動は3環系抗うつ剤が向いている
そこでメイラックスをリボトリールに変更し、ジェイゾロフトを漸減、アンプリットを追加することにした。この方が今の生活の不規則さが改善するように思ったのである。いつも胸がモヤモヤしている感じもああり、このようにスカッとしない感じはSSRIだとよく診られることもあった。これはたぶん、一部はSSRIの副作用である。リボトリールは、彼女のようなインテリの人には合う上に、このような微妙な感覚を改善することがある。インテリというかデスクワークの人には肩こりを改善するため、特に上半身の緊張が取れて楽になることも多い。
よく考えると、当初、2回目に診察に来た時、自分が診ていればたぶんSSRIは処方していないと思うので、たぶん処方するならアンプリットくらいだったような気がする。結局、遠回りになったのかも・・と思った。
リボトリール 0.5mg↑
ジェイゾロフト 25mg↓
アンプリット 25mg↑
最初、アンプリットを25mgだけ追加した時、あまり服用感がなかったという。これは好感触である。仕事はなんとかいけているという。胸のモヤモヤや朝に起きられない感じは今もある。アンプリットをそのまま50mgに増量してみた。
リボトリール 0.5mg
ジェイゾロフト 25mg
アンプリット 50mg↑
この処方の感想を聞いてみた。まず不安感が減ったという。また立ちくらみはまだあるが、夜は前よりずっと眠れるようになったらしい。これを診ると、やはりSSRI自体が彼女に漠然とした不安感を惹起する面もあったような気がする。また不眠がかなり改善しているので、SSRIの不眠への悪影響があったと思われる。ジェイゾロフトは漸減中止の予定とした。
リボトリール 0.5mg
ジェイゾロフト 12.5mg↓
アンプリット 50mg
この処方で、断然、質的な面で改善してきた。彼女の笑顔が増えてきたのである。そうしてジェイゾロフトを一掃した。
リボトリール 0.5mg
アンプリット 50mg
アンプリットは不安感やパニックにも効果があるので、こういう処方で済めば非常にシンプルで良い。その後もこの処方で安定しているが、最後にジェイゾロフトを一掃する際にレスキューレメディを併用することにした。SSRIの離脱が出るならそれが緩和するような気がするし、今後も安定しやすいと思われたからだ。
彼女にリボトリールの感想を聞いてみた。
肩こりがとてもよくなった・・
あると思います。 (天津・木村風に)
ところが、ごく稀に入院患者でさえ主治医制でない病院があるという。このような方法だと治療方針が首尾一貫せず、良い結果になりにくいと思う。1人の医師がその人の精神症状を継続して見ていないと、最短距離で良い治療方法が見つからないような気がするし、悪い経過になった時、主治医がいなかったら責任の所在がない。
外来でも当然主治医がいて、一般的には1名の医師が同じ人を診ている事が多い。しかし、気まぐれに来院する人はその度に違う医師が診ているというようなこともある。このようなタイプの人はたいてい病状も軽いことの方が多い。このような人は誰が診察しても同じようなものだ。
僕の病院の場合、僕が院内にいる場合なら、外来担当医でない日でも診ている。院内にいるのに診ないなんて、その方がおかしい。精神科医の場合、外科医のように、現在「手術中」とか言うのがないからである。
数ヶ月前、若いお嬢さんがうつ状態で初診した時、たいして薬を処方せずに様子をみたことがあった。主訴はうつ状態、倦怠感に加え不安感、食欲不振、いつも眠いなどだった。僕はSSRI、旧来の抗うつ剤、いずれにしてもすぐには処方し辛いと感じ、ドグマチールとメイラックスだけ処方した。
ドグマチール 100mg
メイラックス 1mg
その時、家族も同伴していたので、なぜこのような処方をしたかを概ね説明した。僕は普通はそこまで言わないことも多いのだが、この病状だとあまりにも消極的と思ったからだ。これは患者さんやその家族はきっと何も思わないだろうが、僕自身の心の問題。僕はその説明で具体的にSSRIとは言わなかったが、そういうリスクを取らず、最初はやさしめの薬で治療をしましょうか、くらい言っていたのである。もちろん、「今後SSRIを使わずに治療する予定」などとはカルテには書いていない。これは状況によるし、漠然と方針を曖昧にしていたわけで、結局は経過次第と思っていた。
ところが、彼女らは次の来院日を守らず、2回目は僕の不在時に来院したのである。そこで部下の医師によりあっさりパキシル20mgが処方されてしまっていた。あれは、本当にガックリであった。まさか2回目から全然違う日に来ようとはこちらも考えていない。
僕は、このブログではリスパダールやSSRIについて個人的な意見を書いているが、うちのドクターにはそれを全く強制していない。医局で僕の意見を披露することもない。また職員すべてこのブログも知らないので、もちろん僕の治療の考え方についても詳しくは知らないのである。
しかし他の医師もリスパダールの大量とか滅茶苦茶なことはしていないし、何考えてるんだろう?というような妙な処方もないし、いろいろ医師にも考え方があるので干渉しない方針でやっているのである。うちの病院のドクターはすべて今は僕の医局の後輩なので、根本的なところでのコンセンサスはあるような気がしている。
これは僕の院長としての方針でもあるが、もともと精神科医は非常に募集が難しいのも無関係ではない。精神科医は偏在しているので、足らない所ではまだ圧倒的に不足しているのである。実際、別に僕の責任ではなかったのだが、過去1年以上にわたり精神科医が僕1人になるという恐ろしい事態になり死ぬ思いをした。僕が当時死ななかったのは、僕の健康状態がまあまあであったのと、病院の規模がそこまで大きくなかったのと、当直医がなんとか確保されていたからだ。
そういう経験を経て、やはりドクターが働きやすい環境が重要だと思い、他の面でも注意を払っているし、医療についても他人の治療に干渉したり、自分の治療方針を強制することはないのである。(僕は未だかつて他人に自分の治療方針を強制したことはない) 一般の人はわからないと思うが、民間の精神病院は運営面も含め、いろいろ難しいことが多いのである。
だからうちの病院の場合、同じように初診した場合でも、僕にかかるか、他のドクターにかかるかでは、もちろん処方が異なる。これにはすごく自信がある。
そのパキシル20mgの女性が再診した時、これはちょっとというような副作用が出ていた。これははっきり言って、主治医の担当日にきちんと来ない方にも責任があるといえた。
パキシルの副作用と効果
起きるとフラフラする。
きついので寝ながらテレビを観ている感じ。
テレビを観ておかないと淋しい気持ちになる。
とても眠い。
薬を飲むと吐き気がする。
口がとても渇く。
不安感は少し減少している。
家族とは話ができるようになってきた。
現代社会では、うつ状態にSSRIは第一選択薬なので、変な治療をされたわけでは決してないのである。(普通、第一選択薬を否定するような処方を他のドクターに強制したとしたら、院長だとしてもその方がおかしいと言える。誰も変なことを言う院長の下では働きたくはないだろう。)
僕は彼女がパキシルで副作用が出そうなのは、初診時に既になんとなく感じていたが、再診時の状態を診て、パキシルでの治療は少し無理そうだが、ジェイゾロフトの少量なら良いかもしれないと思った。厭世観や希死念慮などの重篤な悪影響が出ていないので、塞翁が馬であるが、SSRIでの治療の可能性を感じたのである。
元々、SSRIは3環系、4環系より抗ヒスタミン、抗コリン、肥満、循環器系などの副作用が少ないとされている。ところが不安焦燥感、感覚の異常、厭世観、希死念慮が人によっては出現する。結局、厭世観や希死念慮の重い副作用が出ないなら、SSRIの方が治療しやすいかもしれないと言うのはある。
最初、パキシルを単純に10mgに減量してみた。良かったことはパキシルを減量すると少し食欲が出て、以前より食事が摂れるのである。しかしパキシルによる体のダメージみたいなものは10mgでも大きく、「トイレに行くにもフラフラしている」「ずっと1日中、横になっている」「口渇が酷い」「やりたいことが全然できない」と言う。パキシル10mgでも治療薬としての実用性が乏しいのは変わりがなかった。
この人はかなり薬に弱い方に入るので、ドグマチール100mgも多すぎると思ったので、半分の50mgに減量している。パキシルは5mgに減量してみた。
ドグマチール 50mg↓
メイラックス 1mg
パキシル 5mg↓
この処方でしばらく良かったらしい。ところが、ある些細なきっかけで病状が悪化し、一気に悲哀感が出た。倦怠感も酷いという。結局、パキシルを使うとすれば、5mgでは少なすぎるのであろう。パキシルは副作用の関係で増量できないが、もう少し忍容性が高いSSRIなら大丈夫かもしれないと思った。僕はパキシルを中止しジェイゾロフト25mgに変更した。
ドグマチール 50mg
メイラックス 1mg
ジェイゾロフト 25mg↑
この処方では、どうも良いのか悪いのか中途半端な状態になった。本人によれば、1週間でも調子が良い日と悪い日があるという。その来院日は良いといっていたが、昨日は悪かったらしい。睡眠があまりよくなく中途覚醒するが、食事は摂れるという。パキシルからジェイゾロフトに変更して急に便秘が良くなったという。そのまま20日間くらい様子を診ていた。次第に意欲が出て、外出したり、パソコンもできるようになった。外には出るが億劫さも同居している。元気になっているが、時々眠かったり悲哀感から泣いたりするらしい。日内リズムが崩れており、夜眠れなかったりと概日リズムがバラバラであった。僕はツムラ41(補中益気湯)くらいを併用し、更にドグマチールも減量し、まだジェイゾロフトで粘っていた。
ドグマチール 25mg↓
メイラックス 0.5mg↓
ジェイゾロフト 25mg
ツムラ41 7.5g↑
この当時から倦怠感を強く訴えるようになった。昼に眠り、夜に起きているという。漢方は飲みにくいと言い本人がすぐに止めてしまったので中止している。本人が勝手に止めてしまうような漢方薬は処方しない方がいい。無理に服用させるのはナンセンスで、東洋医学的ではないのである。この状態では日常生活ができないので、思い切ってジェイゾロフトをもう少しだけ増量してみた。
ドグマチール 25mg
メイラックス 0.5mg
ジェイゾロフト 37.5mg↑
この処方で2週間後に再診した時、なんとアルバイトを始めていたので少しびっくりした。昼間は寝ているので夕方からの仕事を見つけてきていた。まだ悲哀感はあるらしい。この人は焦燥や希死念慮がないので、SSRIに弱いとは言えまだ治療しやすいのである。
彼女は朝が悪くて夕方から元気になる典型的な内因性うつ病の日内変動のパターンで、夕方からなら仕事も可能なのである。昼夜逆転傾向なのは、SSRIが睡眠を悪化させることも影響しているかもしれなかった(参考)。
良くはなっているがどうもバランスが悪い。治り栄えに調和みたいなものが見られないので、僕は3環系抗うつ剤で治療した方が日内リズムが改善していくような気がしていた。このように内因性っぽい日内変動は3環系抗うつ剤が向いている
そこでメイラックスをリボトリールに変更し、ジェイゾロフトを漸減、アンプリットを追加することにした。この方が今の生活の不規則さが改善するように思ったのである。いつも胸がモヤモヤしている感じもああり、このようにスカッとしない感じはSSRIだとよく診られることもあった。これはたぶん、一部はSSRIの副作用である。リボトリールは、彼女のようなインテリの人には合う上に、このような微妙な感覚を改善することがある。インテリというかデスクワークの人には肩こりを改善するため、特に上半身の緊張が取れて楽になることも多い。
よく考えると、当初、2回目に診察に来た時、自分が診ていればたぶんSSRIは処方していないと思うので、たぶん処方するならアンプリットくらいだったような気がする。結局、遠回りになったのかも・・と思った。
リボトリール 0.5mg↑
ジェイゾロフト 25mg↓
アンプリット 25mg↑
最初、アンプリットを25mgだけ追加した時、あまり服用感がなかったという。これは好感触である。仕事はなんとかいけているという。胸のモヤモヤや朝に起きられない感じは今もある。アンプリットをそのまま50mgに増量してみた。
リボトリール 0.5mg
ジェイゾロフト 25mg
アンプリット 50mg↑
この処方の感想を聞いてみた。まず不安感が減ったという。また立ちくらみはまだあるが、夜は前よりずっと眠れるようになったらしい。これを診ると、やはりSSRI自体が彼女に漠然とした不安感を惹起する面もあったような気がする。また不眠がかなり改善しているので、SSRIの不眠への悪影響があったと思われる。ジェイゾロフトは漸減中止の予定とした。
リボトリール 0.5mg
ジェイゾロフト 12.5mg↓
アンプリット 50mg
この処方で、断然、質的な面で改善してきた。彼女の笑顔が増えてきたのである。そうしてジェイゾロフトを一掃した。
リボトリール 0.5mg
アンプリット 50mg
アンプリットは不安感やパニックにも効果があるので、こういう処方で済めば非常にシンプルで良い。その後もこの処方で安定しているが、最後にジェイゾロフトを一掃する際にレスキューレメディを併用することにした。SSRIの離脱が出るならそれが緩和するような気がするし、今後も安定しやすいと思われたからだ。
彼女にリボトリールの感想を聞いてみた。
肩こりがとてもよくなった・・
あると思います。 (天津・木村風に)