ルジオミール
一般名;塩酸マプロチリン
ノバルティス・ファーマの商品で4環系抗うつ剤の代表的な薬物。 そもそも日本では、4環系抗うつ剤はルジオミール、テトラミド、テシプールしかない。 ルジオミールは日本では1981年に発売されている。テトラミドは1983年、テシプールは1989年発売なので、4環系では初めての抗うつ剤であった。 剤型は、10mg、25mg、50mgと3剤型だが、細粒はない。薬価は50mg錠で57円くらいで古い薬のわりに安くはない。かなりの品目のジェネリックが発売されている。ルジオミールは再取り込み阻害作用としては、ノルアドレナリン系にのみに作用するという。副作用は全般に3環系抗うつ剤より少ない。 しばしば出現する副作用として「眠さ」がある。このためにこの薬物を嫌がる患者さんもいる。 ルジオミールは眠さの副作用ばかり目立つが頻度的に最も多い副作用は、口渇、便秘などの消化管の副作用なのである。(9~10%程度)
SSRIが発売される以前は、抗うつ剤は西日本ではルジオミール、東日本ではアモキサンが最も使用されていた。この2つの薬物はとても優れているので、製薬会社の営業力の差がこの東西の使用頻度に影響していたのではないかと思う。(日本全体では、ルジオミールが1位であったようだ) 僕は、当時、ルジオミールやアモキサンが多く使われていることを知らなかった。 いろいろ使ってみた結果、ルジオミールが最も効果的で使いやすいと思ったので精神科医になって4~5年目はルジオミールばかり処方していた。 ルジオミールは眠いし、口渇、便秘が出るが、抗うつ効果は信頼に足るレベルであると言えた。
ルジオミールの代謝酵素については、CYP2D6が関与している。半減期は45~46時間とかなり長いので、かなりの眠さが出てふらついて困るほどの人は、しばらくは回復しない。やがては抜けるが。 ルジオミールで注意しなければいけないのは、「けいれん」の副作用である。 一般に抗うつ剤は、副作用でけいれんを起こしやすい傾向がある。特にルジオミール、アモキサン、テトラミド、アナフラニールはてんかんの患者には避けた方が良いとされている。 ルジオミールはてんかんまたはその既往のある人は禁忌とされていて、けいれんを起こしやすい薬物に入る。ネコもしゃくしもルジオミールを処方していると、ごく稀にけいれん発作がマジに起こる。 僕は過去、ルジオミールを処方していてけいれんが起こったことが2回ある。一度はなんと65mgしか処方していなかった。(テトラミドの項参照) けいれんを起こすといってもこの程度の頻度なのである。 しかし、けいれんの副作用は他の抗うつ剤ではほとんどみないので、けいれんを起こさせる差を感じていた。てんかんの人に禁忌とし、けいれんについて注意を喚起しているのは極めて正しいと思う。
参考
マイスリーと妊娠