HSP・対人支援者のための、神経系から整えるボディマインドアプローチ。
皆川公美子です。
「がんばりすぎて、疲れを感じにくい」
「特に心配ごとはないのに、なぜか力が出ない」
──そんな心と身体の“ちぐはぐ”を、
神経系×発達・愛着 の視点から、
丁寧にひもとく活動をしています。
これまでに、のべ8,500名以上の方に伴走してきました。
HSP気質や生きづらさを抱える方、
そして人を支えるお仕事に携わる方が、
自分のペースで安心して前に進めるサポートをしています。
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「状況を変えたいのに、変えられないんです」
「こうすればいいとわかっているのに、変われないんです」
クライアントの大切な一言 ― 神経系から読み解く対人支援 ②
クライアントさんにこう言われたとき、あなたはどう応えていますか?
自分の持っているパターンに当てはめて話をしようとしていませんか?
セッション地図は持っているけれど、クライアントさんについていく形で
クライアントさんの望みに寄り添えていますか?
■ 支援者がよくする反応
・「お話を少し整理してみましょうか。こういうふうになっているんですね?」
・「もっと自分を大切にしていいんですよ」
・「まず小さな行動から変えてみましょう」
どれも誠実な言葉です。
でもこのクライアントには、なかなか届かない。
そう思うことはありませんか?
なぜでしょうか。
今日はそこについてセッションがやりやすくなるヒントをお届けしたいと思います。
■ 3つの層で整理してみる
クライアントの言葉をよく聞くと、3つの層がずれたまま混在していることがおおいです。
それをちょっと整理してみませんか?
【変えたいもの】状況(外側) 仕事、人間関係、生活環境。
クライアントが「変えたい」と言っているのはここです。
【変えようとしていること】行動(中間)
状況を変えるには、何らかの行動が必要です。転職活動をする、相手に伝える、環境を動かす。
【でも実際に止まっているところ】身体の反応(内側)
その行動を取ろうとした瞬間に、身体が止まっていしまう。
クライアントさんはここを相談しておられませんか?
「状況が変わらない」と訴えています。
でも本当に起きているのは「状況を変えるための行動が取れない」こと。
もう少しセッションが進むと「そうか、そうなんですね。」と
頭は整理されて「わかった!」ものの
状況がかわらない。
そしてその根っこには、身体の反応が止まっているという現実があります。
要するに 外側に結果として現れている行動だけ変えようとしても
その行動には身体的またはその方の深い常識=前提 があるので
そうめったにはかわらない、
でも深い悩みは続いてしまう。
この状況のときに
クライアントさんはお金を払ってでも解決したいと思われるのではないでしょうか。
例えば①【仕事編】
「上司との関係を変えたい」と言っているAさん。
変えたいのは、状況—— 会議で自分の意見だけなんとなくスルーされる。
「お前はまだ早い」と頭ごなしに否定される。 気づけば重要な仕事から外されている、感じがする。
そのために必要な行動は、上司に自分の考えを伝えること。
セッションでそうわかった。
でも、いざ話しかけようとすると——
喉が詰まる。心拍が上がる。「今じゃなくていいか」と引き下がってしまう。
頭では「言わなければ」とわかっている。 セッションで整理されて「そうか、伝えればいいんだ」と納得もする。 でも次の週も、また言えていない。
ここで止まっているのは、意志でも理解でもなく、身体です。
例えば②【家庭・プライベート編】
「パートナーとの関係を変えたい」と言っているBさん。
変えたいのは、状況—— 話しかけても「うん」「そうだね」で終わる会話。
聞いているのかいないのか、わからない。
同じ空間にいるのに、どこかよそよそしい食卓。
「大事にされていない気がする」と感じながらも、言い出せない夜。
そのために必要な行動は、本音を話し合うこと。
でも、向き合おうとすると——
胸が重くなる。「どうせわかってもらえない・・・」と身体が固まる。
気づいたらまた、話すタイミングを流してしまっている。
「話し合いが大事」は百も承知。 でもその一歩が、どうしても踏み出せない。
ここにあるのも、やはり身体の反応です。
■ そのとき、身体では何が起きているか
行動を取ろうとした瞬間、クライアントの身体では、こんなことが起きています。
・胸が固くなっている
・呼吸が浅くなっている
・お腹が止まっている
支援者だって、覚えがありますよね。
これは意志が弱いサインではありません。
神経系がまだ「危険予測モード」で動いているサインです。
そしてそれは変えていけるのです。
神経には可塑性があります。
■ 「予測モデル」という視点
神経系は過去の経験から「これをすると、どうなるか」を学習し続けています。
もっと簡単に言えば
身体が覚えている
ということです。
たとえば、幼い頃に「こうしたい」と自己主張するたびに怒られた経験があるとします。
神経系はそこから学習します。
「自分の意見を言う → 怒られる → 危険」
大人になり、状況は変わりました。
でも神経系の予測モデルは書き換えられていません。
「状況を変えるための行動」を取ろうとするだけで、胸が固くなり、動けなくなる。
それは意志の弱さではなく、神経系が過去の学習を忠実に実行しているだけなのです。
「状況を変えたいのに変われない」のは、意志や認知の問題ではない。
身体に残った予測モデルが「その行動は危険」と感じているから。
■ では、支援者はどこに働きかけるか
クライアントは「状況」の話をしています。
支援者は「認知や行動」に働きかけようとします。
ずれています。
実際に止まっているのは「身体」です。
この3層のズレに気づかないまま支援を進めると、どんなに正しい言葉も、届かないまま流れていきます。
まず必要なのは、「変われないクライアント」という見方を手放すこと。
もっというと「人間は変われない」という見方を手放すこと。
変われます。
神経には可塑性があります。
そして身体の層で何が起きているかに、関心を向けること。
「いま、身体はどんな感じですか?」
そのたった一言が、大きな扉を開くことがあります。
■ 「変われない」ではなく「まだ安全でない」
クライアントが動けないのは、怠けているからでも、意志が弱いからでもありません。
神経系がまだ「その行動は危険だ」と感じているから、身体がブレーキをかけているのです。
この視点を持つだけで、まなざしが変わります。
「なぜ変わらないんだろう」という焦りが、「まだ安全と感じられていないんだ」という理解へと変わる。
そしてその理解そのものが、支援関係をクライアントの神経系が「安全」を学び直す場にしていきます。
認知と意志だけでなく、身体と神経系へ。
それが「あと一段」を生む支援の土台です。
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