今日は温泉に行けなかった。
ライブもリハもなかったし、宅飲みしたワインは紹介するほどのものでもなかった。
と言うわけで、ネタのひとつとして、ぼくのそんなにはない温泉関係本コレクションの中から一冊、オモシロイのを紹介することにします。
「日本列島マル秘温泉旅行 伊能孝著」 ※実際は写真のように○の中に秘
昭和42年に桃源社より刊行。
そう、高度成長期真っ只中、お金と時間ができれば国民こぞって温泉に行こうって時代である。
東京に住んでいたら新婚旅行は箱根や熱海…すなわち温泉行だったのだ。
温泉が娯楽の王様だった頃。
そしてこの本のタイトルを見れば、大体中身は想像できよう。
余暇としての温泉行が定着し、元より湯治であった温泉文化に付加価値が付き始めたわけだが、どの新興分野もその嚆矢となるのはエロのパワーだ。
文献を紐解くまでもあるまい。
懐かしい温泉地の風景…今は大抵が寂びれてしまったあの街並みは、この時代に大きく発展した。
表の発展もあれば裏の発展も当然あり、そんな内容がオモシロおかしく書き綴られているのがこの本。
源泉かけ流しだ、自然湧出だなんて誰も言ってなかった時代。
そこには普通に生のまま源泉かけ流しもあれば、普通に全くのウソ温泉もあった。
玉石混合の怪しさ、妖しさに満ち溢れている。
今の時代、温泉のこだわりは生のまま源泉をいかに活かしきるかに限ると断言してもよいが、そういう考えに至った大事なプロセスとしての、この温泉文化を通ってきたことも忘れてはいけない。
そしてぼくは温泉文化以前の日本文化の奥を紹介した作品として、この本の内容を高く評価したい。
たとえ脚色に満ちていたとしても。
実際、民俗学の研究対象になるのではないか。
温泉民俗学…ああ、素敵な響き。
ただここに紹介されている温泉で、現在紹介するのはさすがにマズイだろうって章がある。
定義温泉のくだりだ。
温泉マニアなら想像がつくであろうから、ここでは語らない。

