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「被害者バッシング」に走ってしまう人々…心理の「闇」との付き合い方は 災難に2回遭った社会心理学者が解説

https://www.tokyo-np.co.jp/article/425574

読んで頂けましたら幸いです🙇‍♀️

 

〈ネットと中傷 「被害者バッシング」〉③(全3回)

 事件や事故、災害などの被害者や遺族が中傷される例は後を絶たない。「被害者非難」「被害者バッシング」という言葉があるほどだ。

 

 ただでさえ大きな痛みを抱える人たちを、なおも苦しめようとするのはなぜなのか。

自身も災害の被害に遭った清泉大学の北村英哉教授(社会心理学)に聞くと、単に「悪ふざけ」とは片付けられない、さまざまな心理学的背景があることを解説してくれた。(聞き手・吉田通夫)

 

◆自分の安心のために、被害者との「違い」を想像

 人間はだれもが、一定の確率で理不尽な災難に遭う可能性があります。

私は1995年の阪神大震災で兵庫県の実家が全壊の判定を受け、2007年には東京都内の自宅が、隣家の火事の延焼で被害を受けました。だれも遭わないような災難に、私は2回も遭ったわけです。

 

 でも、人間は、そんな冷酷な現実は受け入れたくないという心理が働きます。自分は大丈夫だと安心したい。

 だから、ひどい目に遭った人との違いを感じようと、被害者や遺族に何らかの原因を求めて「反省するべき点もあった」「自業自得」などと責めたりします。自分が枕を高くして寝るために。

公正世界仮説…「被害者にも落ち度があったはず」

 被害者を責める心理学的な背景として、「公正世界仮説」というものがあります。メルビン・ラーナーというアメリカの研究者が1960年代に提唱し、最近、再び注目されています。

 これは、人間には「この世界は公正であり、人間にはその行為にふさわしい結果が訪れる」と信じたい傾向があるという説です。良いことをすれば報われ、悪いことをすれば罰せられる、という考え方です。

 

 実験も行われました。何の利益もないのに一方的に電気ショックを受ける人を見せたところ、それを見た人は「痛い目に遭った人に問題がある」と考えることで「世界は公正だ」「自分は大丈夫」と心のバランスを取ろうとしました。

 だから、理不尽な目に遭っている人は、さかのぼれば、それを呼び込むような何らかの「落ち度」があったと考える人がいるとされます。

 犯罪や災害の被害者や遺族に対して「悪い行いがあったからだ」「落ち度があったはず」などと責める人が出てくる背景には、こうした心理が働くこともあると考えられています。

 



「被害者しぐさ」を求める気持ち

 被害者や遺族に、しおらしく、沈痛にしている姿を「被害者しぐさ」として求める人もいます。被害者や遺族を「落ち度があった」と責める心理と似てい て、「反省」する姿を求めるようなものです。 そうした「被害者しぐさ」に反して、被害者や遺族が真実の究明や犯人捜しに 乗り出したり、災害からの復旧作業への不満を主張したりと積極的に発信する と、「しおらしくない」とばかりにバッシングする人が出てきます。

 

「けがれ」の忌避

 あからさまな敵意を示さなくても、厄災が降りかかった人を遠ざけようとする 人もいます。 被害者や遺族らへの中傷について語る北村教授。私が火災の被害に遭ったときも、周囲には「そんな悪い話は聞きたくない」とばかりに極端な反応を示す人がいました。

 

 即座に話題を変えようとするとか。小関代里子さんも、同じような体験をされたようですね。 社会心理学では「回避的差別」と呼んだりしますが、不利な状況や不幸を抱えた人から距離を置いたり接触を避けたりする人がいます。障害者差別なんかでも言及されます。 

 

 私は不利な状況や不幸を「けがれ」と呼びますが、「けがれ」を遠ざけようと する社会心理は昔からあります。 例えば、西暦700年代の奈良時代には、宮廷の役人が飼っていた動物が亡くな ったら何日出仕停止とか、家族が亡くなったら何日とか、「けがれ」がやって来ないようにするための仕組みを決めていました。

 

  不幸を抱えた人を「縁起が悪い」とばかりに突き放すのは、まさにこれです。 似たような考え方は、現代社会に至るまで根付いているわけです。 



「だれの心にもある」

 その考え方は、「ちょっと違う」とみなした人を仲間外れにしようとする「黒いヒツジ効果」や、極端になると、異質とみなした人を物理的に排除しようとする「優生学」につながります。

 

  障害者を狙った殺人事件や、ナチス・ドイツによる大量虐殺などの背後に潜む心理です。 最近も、漠然と外国人を敵視する動きがあります。

 

 人間には、自分が上位にいるのだと安心したいがために、だれかを下に置こうとする暗い気持ちを抱いてきた歴史があります。 じゃあ、どうしたら被害者への中傷や差別をなくせるのか。 私は、だれもが、こうした暗い気持ちを持っていると自覚するべきだと思います。 

 

 「中傷はだめ」 「差別はだめ」と抑圧しても、有効に働かないこともあるから です。 人によってグラデーションはあると思いますが、自分にも、だれかを下に置いて安心したいという気持ちがあるのだと気付くことが重要です。

 

 

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