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周囲の全員がAと言っているのに、自分だけがBと主張して、頑として譲らなければ、おそらくは痛い人に思われているでしょう。
僕はそういう事態に、何度も遭遇しています。
もっとも古い記憶で明確なものは、小学校での児童会長を決める選挙です。
小学校6年生だった僕は、その選挙に感心していました。
民主主義国家の重要な仕組みである選挙制度を、小学生にも体験させ、立派な社会の一員になれるよう教育しようとしている。正直、児童会長なんて何の権限もない名誉職でバカバカしいと思っていたけれど、この教育の志を汲んで真剣に考え、相応しい人物に投票しよう。
僕はこう考えたのです。
僕のクラスからは、女子のTさんが立候補しました。他のクラスから、男子のN君が立候補しました。
担任の女の先生は、張りきってTさんを応援しています。クラスの皆は、Tさんに投票するように呼びかけました。
……しかし、僕はその呼びかけを無視しました。TさんとN君とでは、人格や知性において、N君の方が明らかに格上です。どちらが相応しいかと言えば、間違いなくN君です。僕は迷わず、N君に投票しました。
それが先生の逆鱗に触れました。ホームルーム中に槍玉に上げられ、激しく罵られます。
「小池君みたいな人がいるから、クラスの団結ができないんだ!」
見れば、クラス中の皆がこちらを向き、口々に僕を非難しています。あまりの人数で、何を言っているのかは判別できません。それは凄まじい光景でした。
ここで僕は、自分の過ちに気付きました。
そっか、これは民主主義の訓練という形をした、全体主義の訓練だったのだ、と。
先生の中では、まったく意味が違ったのだと。
何を無邪気に民主主義の訓練だと感激をして、考えもなく投票をしてしまったのかと。
いえ、これに事前に気付いていたところで、僕はやはりN君に投票したでしょう。
過ちとは、事前にこうなる覚悟を持てなかった、思考の足りなさです。
ただ僕は、先生とクラスメイト全員からバッシングを受けても、自分が正しいという確信は揺らぎませんでした。
間違っているのは多数派の皆で、味方は誰もいないけれど、自分の方が絶対に正しい。民主主義の訓練の場を、全体主義的な圧力で歪ませるのは愚か過ぎる行為だ。
やはり今でも、自分が絶対に正しかったと思っています。
自分を殺して生きるくらいなら、痛い人で良いんです。
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