心理カウンセラー・公認心理師の栗林あや(いがぐりこ)です。
先日、母が介護施設を引っ越しました。
無事、移動が済んで、諸々の契約手続きも終えて、家に帰ったら。
同居している姑から、悪気なく、いつものように
「お母さんに会えて、よかったねえ」って、声をかけられました。
姑は本当に何の他意もなくて、むしろ私を気づかって言ってくれていました。
でも、その言葉を聞いた時、以前の私は心の中でグサっ!ときていたのです。
「よかったねって言われても、私はちっとも、よかったと思えていないよ・・・!」って思っていました。
私は子どもの頃から、母と安心して甘えられるような関係ではありませんでした。
大人になってからも、母に会うたびに気持ちがすり減ることが続いてきて、
正直「できれば会いたくないなぁ」という気持ちが、ずっとあります。
そんな自分を、長いあいだ責めてきました。
「親を大事にできない私は、冷たい人間なんじゃないか。」
そう思って、誰にも言えずに、自分を責めていたのです。
結婚して義理の家族と暮らし始めた頃も、「お母さんに顔を見せに行ってあげなさいよ」と当たり前のように言われてきました。
優しさで言ってくれているのは分かっています。
分かっているのに、うまく言葉にできない苦しさが、いつも後に残りました。
姑が言う「お母さんに会えてよかったね」も、「顔を見せに行ってあげなさい」も、
つきつめれば「お母さんを大切にしなさいね」という言葉なんだと思います。
だから私は、そう言われるたびに、親を大切に思えない自分を、ずっと冷たい人間だと感じていたんだと気づきました。
最近になって、思ったことがあります。
「親を大切にしたい」っていう気持ちって、自分で決めて出そうと思って出せるものじゃないなぁ、って。
たとえば、一度も食べたことのない知らない国の料理を「おいしかったって思い出してごらん!」「おいしかったって言いなさいよ!」って言われても、思い出せないですよね。
それと近いことが、私の中で起きていただけなのかもしれません。
子どもの頃に「大事にしてもらえた」という経験と自覚があって、はじめて「大事にし返したい」という気持ちが自然に湧いてくる。
その土台を、私は持てなかった。
ただ、それだけのことだったんだなぁ、って。
そう思えてから、姑に「お母さんに会えてよかったね」と言われても、無理に言い返そうとするのをやめました。
声に出して分かってもらおうとすると、かえって話がこじれてしまう。
だから今は、心の中で、自分にだけそっと言ってあげるようにしています。
「私は、よかったとは思えなかったよね。でもそれって、これまでよく耐えて生きてきた、ってことなんだよ。」って。
親に感じてもいない感謝を、感じているふりで上から塗ってしまうと、本当の気持ちが一番奥に置き去りになってしまいます。
だから、無理に「ありがたい」って思おうとしなくていいのだと思います。
正直に言うと、今でも、人が親孝行をしている話を聞くと、自分だけがみんなと違うところに立っているみたいで、むなしくなることがあります。
その感覚が、きれいに消えたわけじゃありません。
ただ、前よりは「私はおかしい」と自分を責める回数が、ちょっとずつ減ってきました。
私もそうだったから、もし同じように責めてしまう人がいたら、その気持ち、よく分かるなぁと思います。
ちょうどこの話、動画にもしてみました。
よかったらみてみてください。
▼「親を大切に」が一番つらい。冷たい人間だと責められてきたあなたへ。毒親育ちの罪悪感【公認心理師が解説】
栗林あや(いがぐりこ)でした。
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