心理カウンセラー・公認心理師の
栗林あや(いがぐりこ)です。
カウンセリングをしていると、似た悩みを持つ方によく出会います。
相手の表情とか、声の雰囲気で、相手の機嫌はすぐに気づく。
なのに、誰かから「じゃあ、あなたはどうしたいの?」って聞かれると、答えが出てこない。
「相手の気持ちはわかるのに、自分の気持ちだけわからない」という方は、とても多いです。
カウンセリングでそういうお悩みを聞くたびに、私自身のことを思い出します。
私が子どもの頃、夜遅く酔っぱらった父が帰ってきて、母と喧嘩になることがありました。
父と母の怒鳴り声が聞こえてきて、子どもの私は布団をかぶって、じっと寝たフリをしてました。
お父さんとお母さんの気持ちだけは、布団の中からでもはっきりわかっていた。
「お父さんは今、怒ってる」
「お母さんは今、限界だ」
でも、布団の中の私自身が何を感じていたのか?
怖かったのか、悲しかったのか、怒っていたのか?
自分の気持ちは、わからなかったです。
あの頃の小さな私は、自分の気持ちよりも先に、お父さんとお母さんの機嫌を読むことを、もう覚えていたんだと思います。
なぜ、私はいつも相手の機嫌ばかり読んでいたのか。
大人になってから気づいたことがあります。
私は「誰かが不機嫌でも、そのままにしておく」という光景を、子どもの頃から一度も見たことがなかった、ってことです。
家の中で誰かが不機嫌だと、必ず誰かが動いてました。
母がヒステリックに声をかけけて制止するか、子どもの私が空気を読んで静かにするか、話題を変えるか。
何かしらの「機嫌を取り直す動き」が、家の中で必ず起きてました。
「不機嫌な人がいるけど、誰も動かない」って場面は、ありませんでした。
だから、誰かの機嫌が悪い気配を察した瞬間に、
「私が何かしなきゃ!」
って気持ちが、考えるよりも先に出てきていたんだと思います。
「相手が不機嫌でも、それは相手のもの。そのままにしておいていい」
という選択肢が、私の中にはそもそも存在していなかったのです。
相手の不機嫌に気づくたびに「何かしなきゃ!」って動いていたから、
私の頭の中はいつも相手の機嫌でいっぱいでした。
自分が何を感じているかに気づく余裕が、なかったんだと思います。
カウンセリングにいらっしゃる方に
「いつから人の顔色をうかがうようになりましたか」
と聞くことがあるのですが、答えられる方はほとんどいないです。
物心ついた頃からずっとそうだったから、やめようと思ったこともないし、
「みんなはこんなことしていないんだ」と気づくこともなかったです。
私もそうでした。
大人になっても、誰かの機嫌が悪い気配を察すると「私が何かしなきゃ」と思う反応は続いてました。
職場で誰かの表情がちょっと曇っただけで「私、何かしたかな」って考え始めたり、
友人の返事がそっけないだけで「怒ってるのかな」って気になったりしていました。
それは自分の性格だと思っていたけれど、そうじゃなかったです。
子どもの頃に家の中で覚えた「不機嫌な人がいたら何かしなきゃ!」が、場所や相手を変えて、ずっと続いていただけでした。
それからというもの、「あ、また相手の機嫌を読んでた」って気づけることが増えてきました。
気づいたところで、すぐにやめられるわけじゃないです。
何十年もやってきたことだから。
でも、「あ、また相手の機嫌を読んでる!」って気づけるだけで、前よりラクになりました。
ちょうどこの話、動画にもしてみましたので、よかったら見てみてください。
▼相手の機嫌に振り回される人ほど、自分を見失っていく理由【公認心理師が解説】
栗林あや(いがぐりこ)でした!
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