こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

「お盆」の期間も終わり、暦の二十四節気では「立秋(りっしゅう)」にもなっているわけですが、相変わらずの暑さになっていますね。

 

なぜ、これほどまでに暑いのか?・・・と考えていたのですが、その原因のひとつは、「地球温暖化」による気温の底上げ(そこあげ)であり、もうひとつは、「ラニーニャ現象」が日本付近で起きていることや、太平洋高気圧とチベット高気圧が重なる(かさなる)「ダブル

高気圧」の状態になっているのが要因なのだとか。

 

なので、今後も九州から関東を中心に猛暑日(もうしょび)のところ

が多くなるそうです。

 

引き続き、「熱中症」の予防には、心がけていく必要がありそうですね。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

          (AIで画像を作成)

 

さて、今回は、少しだけ不思議な話題をご紹介したいと思います・・・と言っても夏の「怪談話(かいだんばなし)ではありません。

 

それは、「高血糖」の状態が長く続きますと・・・「免疫力」は低下しし、疲れやすくなる可能性があるのではないか?・・・というお話です。

 

「糖尿病」になって、適切な治療を行われなければ・・・それは、免疫力だけではなく、眼底の網膜病変や末梢神経障害、そして、腎不全

などが起きてくるに決まっている・・・と怒る(おこる)方もいらっしゃることと思います。

 

そのとおりですね。ただし、今回の話題にしたいのは、次のような

ケースになるかもしれません。

 

例えば・・・「健康診断」を行ったところ、「HbA1c(ヘモグロビンA1c)」の値が、わずかに6.5%をこえていて、「2型糖尿病」があると

判断された方、また、「HbA1c」が6.5%よりは低い6.3%であり、

「2型糖尿病の境界域」であると判断された方の話となります。

 

ちなみに「HbA1c」の値は、約1~2ヶ月間の「血糖値」の平均的な状態を示す指標です。

また、「2型糖尿病」とは、一般的に「糖尿病」と呼ばれているものになります。

 

これらのケースでは、おそらく食事療法を行って、食事の摂取カロリーを減らし、適度な運動を行ってください・・・と言われることが多いと思います。

 

もちろん、「食事療法」を積極的に行い、その後、「HbA1c」の値が正常化する方は、まったく問題はありません。

 

   (AIで画像を作成)

 

問題になるのは・・・いっこうに「HbA1c」の値が、改善していかない方となります。

 

「次回はデータが良くなるように頑張る(がんばる)ので、その値が悪ければ、お薬を服用したい」・・・と強い決意を口にしながら、

その次のデータを確認しても、改善がないという方もいらっしゃいます。

 

「有言実行(ゆうげんじっこう)」ではなく、まさに「有言不実行(ゆうげんふじっこう)」ですね」・・・などと患者さんと一緒に笑っているうちは良いのですが・・・それでは、このモヤモヤした状態

をいつまで続けるのか?・・・と私自身も実際の診療の中で悩んだ(なやんだ)ことがあります。

 

やっと、ここからが「本題」になるのですが・・・最近の研究結果から、

驚くべきことが明らかになっているのですね。それは、次のようなことになります。

 

実は、「高血糖」の状態は、これまでの「糖尿病」の臨床的な常識(じょうしき)の範囲をはるかに超える「分子レベルの破綻(はたん)」を引き起こすことが明らかにされているのですね。

 

「分子レベルの破綻」とは、大袈裟(おおげさ)だなあ〜と思う方もいらっしゃるかもしれませんね。

 

その内容を見てみると・・・「NAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)の枯渇(こかつ)」、「サーチュイン1遺伝子(SIRT1)」の機能不全、「サーカディアンリズム(概日リズム)」の乱れ、さらに

「免疫破綻(めんえきはたん)」を

結びつける「病的なネットワーク」が形成されることが分かってきているのですね。

 

この「病的なネットワーク」の形成が開始されるのは、血糖値が

100–125 mg/dLの範囲であっても、測定可能な「代謝破綻」が始まるということもエビデンスとして確認されているのだそうです。

 

ちなみに血糖値の正常範囲は、空腹時血糖値::70~109mg/dLです。

 

つまり、上記のことから考えると・・・先に例として示した

「HbA1c」値が、6.5%をこえていて、「2型糖尿病」があると

判断された方、そして、「HbA1c」が6.5%よりは低い6.3%であり、

「2型糖尿病の境界域」であると判断された方の両者において、

「分子レベルの破綻」や「代謝レベルの破綻」が生じている可能性が高いと考えられることから、積極的な治療などを施行していく必要であると考えられているのだそうです。

 

その詳細なメカニズムについては、後日の話題にしたいと思います。

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

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<. ブログ後記  >   8月19日

 

今回は、何とも不思議な話と思える方もいっらっしゃるのではないかと思います。

いわゆる「2型糖尿病(以下は糖尿病)」の血糖コントロールが悪いと、網膜症や腎障害、神経障害などを起こすことが常識であって、例えば「糖尿病境界域」などの内服治療が必要のない段階で、既に臓器障害が始まっていると言われたら、驚く(おどろく)方も多いかもしれません。

 

それなら・・・「糖分」を摂取しなければ良いのか?・・・というと、そうではありません。

なぜなら「糖分(主にグルコース)」は人体にとって以下の理由で必要不可欠なものなのですね。

 

その理由は、「糖分」は体内で最も効率的に利用できるエネルギー源だからですね。

食事から摂取した「糖質」は消化・吸収されてグルコースとなり、細胞内で「ATP(アデノシン三リン酸)」というエネルギーに変換されます。この「ATP」は、歩く、話す、考えるといったあらゆる生命活動に使われています。

また、脳の活動にも「糖(グルコース)」は重要です。

脳は通常、グルコースをほぼ唯一のエネルギー源として利用しており、この脳が正常に機能するためには、1日約120gのグルコースが必要不可欠であると考えられています。

さらに筋肉を使っての運動に必要です。

運動時、筋肉は筋グリコーゲン(糖の貯蔵形態)を分解してエネルギーを得ます。特に短時間の激しい運動では、「糖(グルコース)が主要なエネルギー源となるわけですね。

 

この「糖(グルコース)」の血液中の量を示すものが「血糖値」ということになるのですが、ヒトの身体は、この「血糖値」一定範囲(約70-110mg/dL)に保つ仕組みを持っています。

 

この仕組みとは、インスリンやグルカゴンなどのホルモンによって精密に調節されていrうわけですね。

 

ただし、現代の食生活では糖分の過剰摂取が問題となることが多いとされています。

 

糖分の過剰摂取の状態が続くと・・・

過剰な「糖分(グルコース)」は体内で「中性脂肪(TG)」に変換されて蓄積されます。さらに「糖分(グルコース)」の摂取を続けますと、内臓脂肪の蓄積は、急速な体重増加が起こります。

 

また、長期的な「糖分(グルコース)」の過剰摂取は、「インスリン抵抗性」を引き起こします。

膵臓は血糖値を下げるために大量のインスリンを分泌し続けますが、やがて疲弊してインスリン分泌能力が低下し、「糖尿病」を発症します。

 

このことから、考えると・・・一定の「糖(グルコース)」は必要であって、必要な分の「糖(グルコース)」が摂取できていて、過剰でない状態が、健常者では「血糖値(空腹時)」が、約70-110mg/dLになっていることであり、糖尿病の治療をしている方では、「HbA1c」が 7.0程度にコントロールされていれば、

 

この基準どおりに治療を行なっていけば、組織にダメージを与える

ような「高血糖」の状態ではない・・・と考えて良いのだと思います。

 

では、「血糖値」の高くなることが、早い時期から臓器の障害をもたらす可能性がある・・・というのは本当なのか?・・・という疑問が出てきますよね。


そんなことが本当にあるのか?・・・私自身もそのように考えるわけですが残念ながら・・・この話は本当のことのようです。

「高血糖」の状態が続くことは、臓器の分子レベルの破綻(はたん)を引き起こす可能性があるというのですね、

例えば、次のようなことが関係あるかもしれません。

これは、一般的な話ですが・・・「糖尿病」と診断される4–7年前から「高血糖」もある場合が多いというのですね。

 

それを裏付ける事実が、次のようなことになります。

「糖尿病」の合併症のひとつに「糖尿病性網膜症」があり、通常の場合では、血糖コントロールが悪い状態が続くと、「糖尿病」の発症から約5-10年程度で初期変化が現れるとされています。

 

しかしながら、「糖尿病」の診断時点で、網膜症は「18–39%」程度の方に既に(すでに)存在するという報告があるようです。

一般的に「HbA1c  8.0以下」では、網膜症などの合併症は少ない可能性も指摘されていますので、かなりの「高血糖」の状態が

長期間にわたり放置されていた可能性がありますね。

 

実際には「2型糖尿病」の治療を行なっている場合の「血糖値」のコントロール目標は「HbA1c 7.0」前後とされていますが、とされていますので、この基準どおりに治療を行なっていけば、網膜症などの合併症を生じる可能性は、少なくなっていくと考えられます。

では、正常でもなく、まだ、糖尿病でもない「糖尿病境界域」である場合は、どうでしょうか?まだ、「糖尿病」にはなっていないから、大丈夫かな〜と考える方が多いかもしれません、

 

しかしながら、この期間では既に「高血糖」の状態になっている時間帯が多くなっている可能性もありますよね。

実際には、「糖尿病境界域」と診断されたとしたら、どうしたらよいのでしょうか?

 

この場合には、「食事量」を減らすことが重要となります。

「糖尿病」進展することを防ぐ方法として、「食事の摂取カロリー」を減らして、「内臓脂肪」を落とすことで防げるのは、「インスリン抵抗性」と「膵臓β細胞ストレス」を同時に軽減することができると考えられています。
 

では、なぜ「高血糖」の状態が続くと・・・「NAD⁺」の枯渇(こかつ)が起きるのでしょうか?

これは、2つのメカニズムが考えられています。

空腹時100–125 mg/dLの前糖尿病レベルでも、主に二つの経路を介してNAD⁺代謝に大きなストレスがかかり、細胞のエネルギーシステムが損なわれると考えられています、

1つ目のメカニズムは、ちょっと難しいのですが、「アルドース還元酵素主導のポリオール経路」というものがありまして、余分な「糖(グルコース)」は「ソルビトール」へ還元され、続いて「フルクトース」へ酸化されるのですね。この「フルクトース」へ酸化される過程で、

過剰なNADHが生じる。

 

簡単にお話しますと・・・この過程で「NAD⁺」が消費されるというわけですが、過剰なNADHが産生されることで、NAD+/NADH比が低下します、

これは、擬似的な低酸素状態となることから「ATP」の低下が生じて、これを補充するために「NAD+」が消費されるという複雑な

悪循環が生じているというわけです。

2つ目のメカニズムは、「酸化ストレス(活性酸素)」により「PARP」が活性化され、DNA修復のためにNAD⁺が消費されるというものです(参考4)。

「PARP」は、いわゆる「DNA切れ目センサー」なので、「活性酸素」がDNAに損傷を作ると、これを感知して、「PARP」が活性化されます。

「高血糖」の状態では、「ミトコンドリア」由来の過剰な活性酸素(スーパーオキシド)が産生されるためにDNAに損傷を多く作る
ことから、「PARP」が強く動員されます

つまり、高血糖→ミトコンドリア由来の「活性酸素」の増加→DNAの切断→PARPが傷を感知して活性化するということになります。

 

そして、損傷したDNAを修復しようとするのは、「NAD+」から誘導される「サーチュイン1遺伝子(SIRT1)」の活性化であるのですね。

このために「NAD+」は消費され、「NAD+」が枯渇した後には、
「サーチュイン1遺伝子(SIRT1)」が活性化されなくなってしまう可能性があるわけですね。

 

「サーチュイン1遺伝子(SIRT1)」が活性化されないとどのようなことが起こるのでしょうか?

 

「サーチュイン1遺伝子」の重要な役割は、「損傷したDNAの修復」

と「サーカディアンリズム(概日リズム)」の形成がありましたね。

「サーチュイン1遺伝子」の活性の低下は、「サーカディアンリズム(概日リズム)」を破綻(はたん)させ、このことは、「ミトコンドリア」の酵素アセチル化過多や融合/分裂リズムの破綻など、多層の経路を通じて酸化的リン酸化能を低下させ、ATP産生の効率を落とすとも報告されています。

 

「高血糖」は、グルコース上昇 → NAD⁺枯渇 → SIRT1機能不全 → 概日破綻 → 倦怠と免疫不全、という連関した病的カスケードの“出発点”となりうるという説が有望な訳ですが、今後、多方面からの検証が必要

かもしれませんね。

この話題は、またの機会に再度、話題にしてみたいと思います。

 

今回も最後までお付き合いいただきまして

誠にありがとうございましたお願い

 

 

(夕暮れ時の東京タワー:高輪プリンスホテル)

(筆者撮影)

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 院長  

小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

医学博士, 内科医

(総合内科、リウマチ専門医)

(新潟大医学部卒)

 

 

 

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