こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

6月最後の休日の午後であるわけですが、梅雨明けをしたのでしょうか、夏の青空が広がっています。

 

夏の到来(とうらい)が早いな思うと同時に、2025年も

既に(すでに)半年が経って(たって)しまったことに少し驚いています。次のような言葉を思い出しました。

 

“Time is what we want most, but what we use worst.”

 

「時間は私たちが最も欲するものだが、最も下手に使ってしまうものでもある。」

 

これは、「ウィリアム・ペン」は、17世紀イギリスに生きた宗教家であり、彼は、自らの信念を貫き、誰もが「良心のままに自由に生きること」を目指した社会を築こうとした人物です。のちにペンシルベニア州創立の立役者であったとされています。

彼の名言には、他にも

 

「苦痛なくして勝利なし、いばらなくして王座なし」があります。これは、困難や苦難を乗り越えることなしに、成功や栄光は得られないという意味です。

 

その理念は、今日の民主主義や人権の土台にもつながったとも言われています。

 

一年の折り返し。6月最後の休日に、少しだけ立ち止まって、これまでの時間の使い方を振り返ってみたくなりました。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

(AIで画像を作成)

                

今回は、「ビタミンD3」についてのお話をしてみたいと思います。

 

 最近の研究で、私たちが日光を浴びた(あびた)時に作られる

「ビタミンD3」が、単に骨を丈夫にするだけでなく、細胞レベルで老化を遅らせる重要な働きをしていることが報告されています。

 

特に注目されているのは、細胞の「寿命時計」とも呼ばれる

「テロメア」を守る働きです。 

 

「テロメア」は、染色体の末端にある特殊なDNA構造でしたよね。

 

 その特徴は「TTAGGG」という6つの塩基配列が数千回繰り返された構造をしており、染色体の両端に存在します。

このDNA配列にはタンパク質が結合して、染色体の末端を保護するキャップのような役割を果たしているのでしたよね。

 

また、細胞分裂の際に重要な遺伝情報が失われることを防いでいます。

もし、染色体に「テロメア」がなかったとしますと、染色体同士が融合したり、遺伝子が損傷を受けたりする可能性があると考えられています。

 

一方で、「ビタミンD3」とは、どのようなものなのでしょうか?

 

その前に「ビタミンD」について、お話をしておこうと思います。

 

「ビタミンD 」は、脂溶性ビタミンの一種であり、カルシウムやリンの腸内吸収を促進することで骨の健康を維持するほか、多くの生物学的機能に関与することが知られています。

 

ヒトにおいて重要なビタミンDには、植物由来の「ビタミンD₂」と動物由来の「ビタミンD₃」があります。

 

 このうち。「ビタミンD3」は、皮膚で「紫外線」を浴びることで作られたり、食事から摂取されます。体内では段階的に変化し、最終的に最も活性の高い形になります。まず肝臓で第一段階の変化を受け、次に腎臓で最終的な活性型に変わります。

 

この活性型が、全身の細胞にある「ビタミンD受容体」という鍵穴に結合して、さまざまな遺伝子のスイッチを入れる役割を果たすわけですね。

 

興味深いことに、この「ビタミンD受容体」は骨や腸だけでなく、免疫細胞、心臓、血管、前立腺、乳腺など全身の様々な細胞に存在していることが示されています。

 

これは、ビタミンD3が骨の健康を超えた幅広い生理機能を持つと考えられているわけです。

 

「テロメア」に再び、話を戻しますと・・・「テロメア」は。細胞の寿命を決める重要な構造 でもあるわけです。

 

生まれたばかりの赤ちゃんでは、約10-15キロベースの「テロメア」の長さがあるわけですが、大人では約5-10キロベースと長さが短くなっているのですね。

 

なぜ、テロメアは、短くなっていくのか?・・・と言いますと、

 細胞が分裂するたびに、DNA複製の仕組み上の制約により、テロメアは少しずつ短くなっていくからですね。

1回の細胞分裂で、50-200塩基程度ということが知られています。

 

これは「末端複製問題」と呼ばれる現象で、DNAを複製する酵素の特性によって避けられません。

 

また、活性酸素や炎症などのストレスによっても短縮が加速されます。

「幹細胞」や「生殖細胞」など限られた細胞 では、「テロメラーゼ」という酵素(こうそ)があり、テロメアを延長することが可能なのですが、大部分の体の細胞では活性が低いため、ほとんど機能していません。

 

    (AIで画像を作成)

 

このために通常の体細胞亜h、細胞分裂が生じる度(たび)にテロメアの長さは短くなり、やがて、「限界(げんかい)に達すると

細胞は分裂を停止し、「老化細胞」になるわけです。

 

正常な体細胞が分裂できる回数に上限があることを示した重要な生物学的概念が、「ヘイフリック限界(Hayflick limit)」であることは、以前のブログでお話をさせていただいたと思います。

 

「老化細胞」は、増殖を停止するだけでなく、炎症性物質を大量に分泌するようになります。

 

これを「老化関連分泌表現型(SASP)」と呼びます。短期的には組織修復に役立ちますが、慢性的に続くと周囲の細胞にも悪影響を与えることから、「老化細胞」は「ゾンビ細胞」と呼ばれたりもするわけですね。

 

では、「ビタミンD3」は、上記に示したプロセスにどのような

「テロメア」を守る仕組みがあるのでしょうか。

 

 直接的な「テロメア」の保護メカニズム は、次のようなものになります。

 

大規模な調査研究により、血液中のビタミンD濃度が高い人ほどテロメアが長いことが一貫して報告されています。

 

ある研究では、ビタミンD濃度が最も高いグループと最も低いグループで、約5年分の老化に相当する差が認められたと報告するものもあります。 

 

この理由として、「ビタミンD受容体」がテロメラーゼ酵素の遺伝子を直接制御することが分かっています。

 

興味深いことに、正常な細胞では「テロメラーゼ」を活性化して細胞を守る一方、がん細胞では逆に抑制して増殖を止める働きする可能性が指摘 されています。

 

また、「ビタミンD3」は、マイクロRNAという小さな調節分子を通じて、遺伝子の発現を細かく調整するとされています。

これにより、細胞の状況に応じて適切に「テロメラーゼ」の活性を制御しています。 

 

また、活性酸素などの「酸化ストレス」からの保護作用があることも知られており、 性酸素は「テロメアDNA」を特に攻撃しやすい性質があるそうですが、「ビタミンD3」は、「Nrf2」という転写因子を活性化することで、細胞の抗酸化防御システムを強化します。

 

また、「ビタミンD3」は、ミトコンドリアの機能を改善し、効率的なエネルギー産生と活性酸素の除去を促進することも報告されているのですね。

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

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<ブログ後記>7月1日
 

7月になりましたね。いつもでしたら「梅雨」の季節なわけですが、

いきなり、夏の暑さが始まりましたね、長い夏となりそうです。

 

今回は、近年の「老化研究」の進歩により、「ビタミンD3』が単なる骨代謝調節因子を超えて、細胞レベルでの「老化抑制」や「寿命延長」に重要な役割を果たしていることが明らかになってきたのですね。

「ビタミンD3」とは、どのようなものであったでしょうか?
この話題は、以前にもブログ内でお話をしたことがあるかもしれませんね。

「ビタミンD」には、D2とD3の2種類がありますが、ヒトの体内ではビタミンD3が主に利用されます。「ビタミンD3」は、日光を浴びることで皮膚で生成されるほか、魚介類や卵黄などに含まれています。
サプリもありますし、「骨粗鬆症」に対する薬剤としても用いられます。

「ビタミンD」は、「活性型ビタミンD3」になると、小腸からの

「カルシウム」の吸収を促進させ、骨量の減少を抑えるとされるのですが、これらの薬剤は体内で「活性型ビタミンD3」とほぼ同様の作用をあらわす薬剤とされているのですね。

そして、こうした「ビタミンD3」が「テロメア」の分解速度を低下させ、細胞老化の進行を遅延させる可能性があるということが報告され、注目されているのですね。

「テロメア」の短縮については、以下のようなことが知られています。

○短縮の程度 
ヒト体細胞では1回の分裂で約50-200塩基対短縮する

○生涯(しょうがい)で、体細胞は、約50-70回の分裂が可能であるとされています

○臨界(りんかい)の長さ(約4-6kb)に達した時点で「老化細胞」になるか、或いは、「細胞死(アポトーシス)」のどちらかになるわけですね。

ところで・・・通常の体細胞の「テロメア」を伸ばすことができるか?・・・という疑問を持つ方は多いと思います。この答えとしては、理論的には「可能」です。

例えば、体細胞内に「テロメラーゼ逆転写酵素(TERT)」を細胞に導入すると、「テロメア」を延長できることが研究で示されています。

しかし。この方法は確かに「テロメア」を延長できるわけですが・・・「癌細胞」が無限に増殖する能力獲得と同じメカニズムのため、細胞の「がん化リスク」が高まる可能性があると考えられています。

これらのことから寿命を伸ばすためには・・・「テロメア」を伸ばすのではなく「テロメア」が短縮するスピードを低下させることが重要であるということになりますよね。

実際にどのようなことが報告されているのでしょうか?

血中ビタミンD(25(OH)D)濃度が高い人は、白血球テロメア長(LTL)が長い傾向が複数の観察研究で示されています。

 

これは、ビタミンDの抗炎症作用や細胞老化抑制作用が関与している可能性があります239。(参考1)

また、女性を対象とした大規模研究では、ビタミンD濃度が高い群でテロメア長が有意に長く、5年分のテロメア老化抑制効果に相当する差が認めらたことを報告しています(参考2)

また、透析患者を対象とした研究では、活性型ビタミンD治療を受けている患者は、治療を受けていない患者よりもテロメア長が有意に長いことが示されています(参考3)

大規模な疫学研究では、以下のようなことが報告されています。
例えば、女性双生児コホート(2160人)研究で、「ビタミンD」濃度が高い群は、低い群よりもテロメア長が有意に長く、5年分のテロメア加齢に相当する差が認められたと報告されています(参考2)

さらに・・・D-Health Trial(オーストラリア、約1500人)試験:高齢者に月1回ビタミンDサプリメントを4~5年投与しても、「テロメア」の長さに有意な変化は認められなかったという報告もあります

(参考4)。

「ビタミンD」の血中濃度が高いとテロメア長が長い傾向が観察されていますが、活性型ビタミンDやサプリメントによる直接的な効果は一貫していません。関連性はあるものの、因果関係や臨床的意義については今後の研究が必要であるわけですが・・・オーストラリアの約1500人の高齢者に月1回ビタミンDサプリメントを投与しても、「テロメア」の長さに変化がなかった結果を見ますと・・・もちろん、今後の研究が必要であるわけですが・・・

その結果が出る頃には・・・残念⁉︎間に合わないんだよな〜なんて、考えてしまいますね。

まあ、その〜私は3年前に重い荷物を持った時に「圧迫骨折」をして、その際に「骨粗鬆症」と診断されて、「活性型ビタミンD」を処方されて、服用しているので・・・別に残念に思う必要はないかもしれませんね爆  笑

今後、「テロメア」を延長するという「抗老化治療」は主に研究段階にあるとされているので、将来的には可能になるかもしれません、


しかしながら、その臨床応用には、安全性の確立が必要ですので、その実用化には時間がかかることが予想されるのだそうで、・・・

こちらの方は、残念⁉︎ 間に合わないんだよな〜なんて、考えてしまいますね。

今回も最後までお付き合いいただきまして
ありがとうございましたお願い

 

参考)

1)1)J Frailty Aging. 2021;10(1):2-9.
The Relationship Between Vitamin D and Telomere/Telomerase: A Comprehensive Review
M Zareiら

 

2)Am J Clin Nutr. 2007 Nov;86(5):1420-5.
Higher serum vitamin D concentrations are associated with longer leukocyte telomere length in women
J Brent Richardsら

 

3)Clin Ther. 2012 Apr;34(4):849-56.
Assessment of the potential role of active vitamin D treatment in telomere length: a case-control study in hemodialysis patients
Mercè Borrasら

 

4)4)PLoS One.2022 Feb 24;17(2):e0264337.
Leukocyte telomere length as a compensatory mechanism in vitamin D metabolism
Deniz Agirbasliら

 

 (以前のphoto:  旧小笠原伯爵邸の中庭の風景)

              (筆者撮影)

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