こんにちは、内科医ひとちゃんですニコニコ

 

先ほどまで、雨が降っておりましたが、それも止んで、明るい陽射し

が戻っています。

 

雨の後の桜や木々の緑は、とても鮮やか(あざやか)なものに感じますね。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?    


 

(AIで画像を作成)

 

4月に入り、新しい生活にやる気が満ち溢れ(あふれ)ている・・・方も多いかもしれませんね。

 

その反対に・・・春が来たというのに仕事や生活にやる気が湧かない(わかない)という方もいらっしゃるかもしれませんね。

そのような方は、まず、「肥満」を解消してみる・・・というのは、いかがでしょうか?

 

「肥満」と「うつ傾向」になぜ、関係があるのか?・・・と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、国立精神・神経医療研究センターの研究によると、うつ病群ではBMI30以上の肥満の割合が1.61倍も多いという結果があるそうです。

 

というわけで、今回の話題は、「サーチュイン1(SIRT1)遺伝子」活性化は、「肥満」の解消につながる可能性がある・・・というお話をしてみたいと思います。

 

実は、「サーチュイン1(SIRT1)遺伝子」活性化と「肥満」の予防効果については、「可能性」というよりは、かなり、そうであることが証明されていることなのですね。

 

では、なぜ、「サーチュイン1(SIRT1)遺伝子」活性化が「肥満」を解消するのでしょうか?

 

(AIで画像を作成)

 

 

その理由には、複数の重要なメカニズムが関与していると考えられています。

 

1. 脂肪代謝の促進

  •  脂肪酸酸化(脂肪燃焼)を促進します
  •  PPARα(脂肪酸代謝の調節因子)の活性化を介して脂肪分解を増加させます
  •  肝臓での脂肪合成を抑制します
 
「脂肪酸酸化」とは、体内で脂肪酸をエネルギー源として分解・利用するプロセスです。一般的に「脂肪燃焼」とも呼ばれるこの代謝過程は、主にミトコンドリア内で行われます。
「サーチュイン1(SIRT1)遺伝子」の活性化がないとしても、絶食や低炭水化物食時や長時間の有酸素運動でも「脂肪酸酸化」は起こるのですが、「サーチュイン1(SIRT1)遺伝子」の活性化している状況では、同様の状況になりやすくなるということになりますね。

 

 

2. ミトコンドリア機能の向上

  • PGC-1αの活性化によりミトコンドリアの数と機能を増加させます
  • エネルギー消費量(基礎代謝)が上昇します
  • 褐色脂肪組織の活性化により熱産生が増加します

PGC-1αは、ペルオキシソームプロリフェレーター活性化受容体γ共役因子1αというものでして、エネルギー代謝に関わる遺伝子の発現を調節する転写コアクベーターというもので、ミトコンドリアの生合成を促進し、筋繊維の分化を調節する役割を担って(になって)いるとされています。

 

3. インスリン感受性の改善

  • インスリンシグナル伝達を強化します
  • 筋肉や肝臓での糖取り込みを促進します
  • 血糖値の安定化に寄与します

インスリン感受性の低下とは、体の細胞がインスリンホルモンの作用に対して反応が鈍くなる状態のことですので、「糖尿病」になりやすくなりますね。そして、インスリン感受性の増加は「糖尿病」の状態改善につながります。

 

4. 脂肪細胞の分化調節

  • 白色脂肪細胞の分化を抑制します
  • 褐色様脂肪細胞(ベージュ細胞)への変換を促進します
  • 内臓脂肪の蓄積を減少させます
白色脂肪細胞と褐色様脂肪細胞の違いは、以前にブログ内でお話をしたかもしれませんが・・・白色脂肪細胞の機能は、エネルギー貯蔵が主な役割で、アディポカインを分泌することが特徴であるのに対し、

褐色様脂肪細胞では、熱産生が高く、エネルギー消費型の代謝に関与していることが知られています。

 

「アディポカイン」とは、脂肪細胞から分泌される生理活性物質の総称で、肥満や糖尿病、動脈硬化などの生活習慣病に関わっていましたよね。

 

5. 炎症反応の抑制

  •  肥満に伴う慢性炎症を軽減します
  •  炎症性サイトカインの産生を抑制します
  •  マクロファージの活性化を調節します

6. 食欲調節

  • 視床下部での食欲調節系に影響を与えます
  • レプチン感受性を改善し、満腹感を強化します
 
レプチン感受性とは、脳(主に視床下部)や末梢組織が、「レプチン」のシグナルにどれだけ適切に反応できるかという能力を指しますね。
 
正常なレプチン感受性を持つ人では、体脂肪が増加するとレプチン濃度が上昇し、それが脳に食欲を抑え、エネルギー消費を増やすよう指示します。
肥満者の多くは血中レプチン濃度が高いにもかかわらず、その作用が十分に発揮されない「レプチン抵抗性」の状態にあります。これをレプチン感受性の低下状態と呼びますね。

 

これらの作用により、SIRT1の活性化は脂肪燃焼の促進、脂肪蓄積の抑制、インスリン感受性の改善、そして肥満関連の慢性炎症の軽減に寄与します。レスベラトロールなどのSIRT1活性化物質やカロリー制限が肥満対策として注目される理由はここにあるのですね。

 

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

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<ブログ後記>4月8日
 

都内の桜は、ほぼ、満開になっているようです。

今回は、「サーチュイン1遺伝子(SIRT1)」を活性化させることが、肥満の解消につながる可能性がある・・・というお話をさせていただきました。

 

そして、その作用は「肥満」の解消だけではない・・・というお話もしておきたいと思います。少し整理をしますと、次のようになります。


「NMN(ニコチンアミド モノヌクレオチド)」や「NAD+(ニコチンアミドジヌクレオチド)」の投与を行うと、「サーチュイン遺伝子」が活性化され、ミトコンドリアでの「ATPの産生」が高まりますね」。

 

サーチュイン(Sirtuin)遺伝子は、「長寿遺伝子」と呼ばれるもので
7つある「サーチュイン遺伝子」から作られる「サーチュインタンパク(SIRT1-7)」は、細胞内のさまざまな生物学的プロセスに関与していることが知られています。

 

例えば、酸化ストレスに対する応答、エネルギー代謝、老化、細胞の生存と死、DNA修復、炎症応答など、多岐(たき)にわたる機能を持っているのですね。

また、最近では次のようなことも知られています。

「サーチュイン遺伝子」は、細胞内の酸化ストレスと抗酸化シグナルの重要な調節因子として機能します。

 

例えば、SIRT1、SIRT3、SIRT5は、活性酸素種(ROS)から細胞を保護し、SIRT2、SIRT6、SIRT7は酸化ストレスに関連する遺伝子やメカニズムを調節することが分かっています。

このなかでも「サーチュイン1遺伝子(SIRT1)」最も注目されていると言ってもよいかもしれません。

以前にもブログ内でご紹介したことがあるかもしれませんが、「サーチュイン1遺伝子(SIRT 1)」は、「サーカディアンリズム(概日リズム)の調節において中心的な役割を果たし、「時計遺伝子」の発現を調整していることが知られています(文献1)。

また、「サーチュイン1遺伝子(SIRT1)」の活性化は、癌の増殖を抑制するという報告もあります。

 

「サーチュイン1遺伝子(SIRT1)」活性化されますと、「Th17細胞」という種類の細胞が減少し、腫瘍内の血管新生が抑制される・・・が働くと考えられてるのですね。
腫瘍内に新しく作られる血管は、癌組織に栄養を運ぶ血管ですので、これが減少すれば、癌細胞の増殖が抑制されるというわけです(文献2)。

 

また、「サーチュイン1遺伝子(SIRT1)」が活性化すると、癌に対する「細胞障害性 T 細胞(CTL)」の浸潤の免疫効果が増加するという報告もあります(文献3)。

 

癌以外にも「サーチュイン1遺伝子(SIRT1)」は、代謝、内分泌機能、免疫反応などのさまざまな生理学的プロセスにおいて重要な役割を果たしており、さまざまな疾患における薬理学的および自然な調節の有望なターゲットとなっていることも報告されています(文献4)。

例えば、「サーチュイン1遺伝子(SIRT1)」は、DNA損傷応答の調節において多面的な役割を果たし、この機序として、「サーチュイン1遺伝子(SIRT1)」は、ヒストンと非ヒストンの両方の標的を「脱アセチル化」することで DNA 修復に重要な役割を果たすことも報告されています(文献5).


また、「サーチュイン1遺伝子(SIRT1)」血管内皮細胞の機能維持において多面的な役割を果たし、酸化ストレスの抑制、血管の老化防止、血管新生の調節、血管の弛緩促進、炎症反応の抑制を通じて、心血管の健康を支えています。

 

これらの機能は、「サーチュイン1遺伝子(SIRT1)」心血管疾患の予防や治療において重要なターゲットとなる可能性を示しています。

 例えば、「サーチュイン1遺伝子(SIRT1)」は、他の分子を調節して相互作用することで血管の老化を防ぎ、血管機能を促進し、心血管疾患を促進する内皮細胞の老化を防ぐ上で重要な役割を果たすことが報告されいます(文献6)

その逆に、動物実験ラットによる報告ではありますが・・・「サーチュイン1遺伝子(SIRT1)」活性を低下させると・・・

その結果は、「血管内皮細胞」の機能障害を引き起こし、血管壁における 「活性酸素種( ROS )no産生を増加させて、血管老化の病態を引き起こすと報告されています(文献7)

 

このように「サーチュイン1遺伝子(SIRT1)」の活性化は、「肥満」を改善させるばかりでなく、DNAの修復、免疫力の向上、内分泌機能の調整、「血管内皮細胞」の機能改善などによる「動脈硬化」の改善にもつながる可能性があるものと考えられるわけですね。

 

今回も最後までお付き合いいただきまして

誠にありがとうございましたお願い

 

(参考)
1)Cell. 2008 Jul 25;134(2):317-28.
 SIRT1 regulates circadian clock gene expression through PER2 deacetylation
Gad Asherら

 

2)Cell Rep. 2017 Apr 25;19(4):746-759.
Sirtuin-1 Activation Controls Tumor Growth by Impeding Th17 Differentiation via STAT3 Deacetylation
Emeric Limagneら

 

3.)Br J Dermatol. 2025 Feb 18;192(3):481-491.
Spatial proteomics reveals sirtuin 1 to be a determinant of T-cell infiltration in human melanoma
Jan-Malte Plackeら

 

4)4)Front Cell Dev Biol. 2020 Nov 19:8:589016.
 The Versatility of Sirtuin-1 in Endocrinology and Immunology
Fahmida Rashaら

 

5)Int J Mol Sci. 2019 Jun 28;20(13):3153.
The Role of SIRT1 on DNA Damage Response and Epigenetic Alterations in Cancer
Débora Kristina Alves-Fernandesら

 

6)Cells. 2024 Sep 1;13(17):1469.
The Multifaceted Role of Endothelial Sirt1 in Vascular Aging: An Update
Roberto Campagnaら

 

7).Biochem Pharmacol. 2013 May 1;85(9):1288-96.
SIRT1 inhibits NADPH oxidase activation and protects endothelial function in the rat aorta: implications for vascular aging
María José Zarzueloら

 

 

(東京ガーデンテラス紀尾井町の桜)

(筆者撮影)

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 理事長、院長  

小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

医学博士, 内科医

(総合内科、リウマチ専門医)

(新潟大医学部卒)

 

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