こんにちは、内科医ひとちゃんですウインク

 

1月最後の休日の朝は、気持ちのよい青空が広がりました。

しかしながら、西の方からお天気が崩れていくのだとか。

 

暦をみますと二十四節季は「大寒(だいかん)」であり、

七十二候は「水沢腹堅(さわみずこおりつめる)」となっています。

 

意味は文字どおりで、「沢(さわ)の水も凍り(こおり)つき、厚く氷が張っている頃ということになりますね。

 

1年のうちでも、最も寒い時期と言えるかもしれませんね。

ただし、日は少しずつ伸び、明るい時間帯も長くなったきていますので、本格的ば春の季節はもうすぐかもしれませんね。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?      

 

 

 (AIを用いて画像を作成)

 

今回は、間葉系幹細胞から放出される「エクソソーム」が「動脈硬化」にどのような影響を与えるのか?・・・という話題にしてみたいと思います。

 

まず、「動脈硬化」とは、どのような状態をいうのでしょうか?

 

簡単にその病態(びょうたい)を整理しますと、次のようなものになります。

 

「動脈硬化(Atherosclerosis)」は、動脈壁への脂質(特に酸化LDLコレステロール)の蓄積、炎症性細胞の浸潤、平滑筋細胞の増殖などにより、血管壁が肥厚・硬化する「慢性炎症性疾患」です。

 

そして、この過程では次のようなことが起きていると考えられているわけですね。

 

1)血管内皮細胞の機能障害

2) 単球のマクロファージへの分化と泡沫細胞化

3)炎症性サイトカインの産生

4)血管平滑筋細胞の増殖と細胞外マトリックスの産生

 

問題は、この「動脈硬化」の状態に「間葉系幹細胞」から放出されている「エクソソーム」を投与すると、どのようなことが起こるか?・・・ということになりますね。
 

 (AIを用いて画像を作成)

 

「間葉系幹細胞」からのエクソソームを投与したときに予想される治療効果は、次のようなものが報告されています。


- 抗炎症作用:IL-10やTGF-βなどの抗炎症性サイトカインの分泌
- 免疫調節作用:制御性T細胞の誘導
- 血管新生促進効果:VEGF、HGFなどの成長因子の分泌
- 組織修復効果:損傷した血管内皮細胞の修復促進

 

この中でも注目すべきは、「血管内皮細胞」が修復されるとことでしょうか。

 

          (図はお借りしました)

 

「血管内皮細胞」は、血管の最も内側を覆う細胞で、血流の調節、血液の凝固、炎症反応の調整など多岐にわたり重要な役割を担っています。

 

この内皮細胞が障害されると、さまざまな心血管疾患のリスクが心配されます。

 

「 血管内皮細胞」が損傷すると、血管の弾性が消えたり、血管が狭くなったりすることがあります。これにより、脳への血流が阻害され、脳梗塞や脳出血などが起こりやすくなりますし、狭心症や心筋梗塞などの冠動脈疾患も生じやすくなると考えられています。

 

「間葉系幹細胞」からのエクソソームを投与したときに「 血管内皮細胞」の機能が正常化していくようなら、脳血管障害や冠動脈疾患を発症するリスクを減らすことができる可能性がありますよね。

 

では、「間葉系幹細胞」からのエクソソームを投与は本当に安全なのでしょうか?

 

これは、後日の話題にしたいと思います。

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

 

参考)

1.Biomark Res. 2019 Apr 4:7:8. 

Exosomes from mesenchymal stem/stromal cells: a new therapeutic paradigm

Kan Yinら

 

→ 間葉系幹細胞(MSC )由来のエクソソームは、腫瘍形成のリスクがなく、免疫原性が低いため、さまざまな疾患に対する安全で効果的な無細胞療法としての可能性を示しています。

 

2.Front Cell Dev Biol.(Review). 2023 Jun 30:11:1093113. 

Mesenchymal stem cell-derived exosomes: a possible therapeutic strategy for repairing heart injuries

Zesh Zhuら

 

→ 間葉系幹細胞由来のエクソソームは、細胞の修復、血管の増殖、免疫調節を促進し、課題を克服することで、心臓損傷を修復する可能性を示しています。

 

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<ブログ後記>1月28日

天気予報から、雨まじりの寒い1日を想像していましたが、実際にはよく晴れた暖かい一日となりました。

今回は「幹細胞」から放出されている「エクソソーム」についてのお話をさせていただきました。

実は「エクソソーム」を放出しているのは、幹細胞だけではありません。

実は、私たちの体内にある「通常の細胞」からも「エクソソーム」は放出されています。

 

「エクソソーム」とは、どのようなものか?・・・ということを整理しますと・・・

 

エクソソームは細胞が分泌する小さな袋状の構造体で、細胞外小細胞(細胞外小胞)の一種です。一般的には直径が30~150ナノメートル程度で、細胞の内部から放出された後、他の細胞へ情報を伝える役割を果たします。

 

「エクソソーム」の内部には、タンパク質、RNA、マイクロRNAなど様々な分子が含まれています。これらの分子はエクソソームが作られた元の細胞の特性を反映しています。

 

こうした「エクソソーム」による情報伝達は、免疫応答、細胞成長や修復、さらには発生などのプロセスを効率化すると考えられているわけですね。

 

癌細胞からも「エクソソーム」が放出されることもわかっていまして、癌細胞が他の臓器に転移する際に、癌細胞に有利な条件となるように周囲の細胞を変化させる可能性も指摘されてるわけですね。

 

これらの「エクソソーム」の中でも、損傷した細胞や組織を修復する

可能性が高いものが、間葉系幹細胞由来の「エクソソーム」でして、細胞の修復、血管の増殖、免疫調節を促進し、課題を克服することで、心臓損傷を修復する可能性を示しています(参考3)

 

参考3)

Front Cell Dev Biol. 2023 Jun 30:11:1093113.

Mesenchymal stem-cell-derived exosomes: a possible therapeutic strategy forrepairing heart injuries.

Zeshu Zhuら」

 

参考4)

Cardiovasc Res. 2020 Feb 1;116(2):353-367.

Atorvastatin enhances the therapeutic efficacy of mesenchymal stem cells-derived exosomes in acute myocardial infarction via up-regulating long non-coding RNA H19

Peisen Huangら

 

アトルバスタチンで前処理した間葉系幹細胞エクソソームは、おそらく内皮細胞機能とlncRNA H19を介した血管新生を促進することにより、急性心筋梗塞の治療において心臓保護効果が向上することが知られています(参考4)

 

アトルバスタチンは、リピトールなどの商品名で販売されている高リスクの心血管疾患の予防と異常な脂質レベルの治療に用いられるスタチン系の薬剤ですね。

 

参考5)

Cell Physiol Biochem. 2015;37(6):2415-24.

Mesenchymal Stem Cell-Derived Exosomes Improve the Microenvironment of Infarcted Myocardium Contributing to Angiogenesis and Anti-Inflammation

Xiaome Tengら

 

MSC 由来のエクソソームは血管新生を刺激し、炎症を軽減し、虚血性障害後の心臓機能を改善します(参考5)

 

参考6)

Cytotherapy. 2016 Mar;18(3):413-22

Safrty evalution of exosomes derived from human umbilicai cored

mrsenchymal stomal cell.

Sun Lら

 

そして、安全性については、ヒト臍帯間葉系幹細胞(hucMSC)由来の「エクソソーム」の安全性を評価しました。動物モデルを用いた実験で、hucMSCエクソソームは体重減少を防ぎ、肝臓や腎臓機能に悪影響を及ぼさないことが示されました。また、溶血、血管および筋肉刺激、全身性アナフィラキシー、発熱、血液学的指標においても問題がないことが確認されたものなどがあります(参考6)

 

参考7)

Int.J. Nanomedicine.2023 Jun 14;18:3177–3210. 

Biogenesis, Composition and Potential Therapeutic Applications of Mesenchymal Stem Cells Derived Exosomes in Various Diseases.

Yue-Guo Yuanら

 

間葉系幹細胞由来エクソソームは、神経疾患、自己免疫疾患、炎症性疾患、がん、虚血性心疾患、肺損傷、肝線維症など、さまざまな疾患で組織再生を媒介することが示されており、今後、さまざまな疾患のコントロールや組織の再生を可能にする可能性がある(参考7)

 

などと報告されているのですね。

 

米国などでは、このような抗老化医療の研究に莫大(ばくだい)な予算が配分されており、癌の研究を大きく上回っているそうです。

 

なぜ、癌の研究よりも多くの予算が割かれて(さかれて)いるのか?

と聞いてみますと・・・健康で長生きする技術が確立されれば、癌の発症を低下することが予想されるから・・・という理由のようです。

 

なるほどとは思ったのですが・・・そうは言っても臓器特有の疾患は、無数にあるわけですので・・・そんな時に「幹細胞からのエクソソームが効果を発揮(はっき)するのでは・・・などと期待したりもします。

 

もちろん、私が勝手に考えているだけですが・・・ね爆  笑

 

今回も最後までお付き合いいただきまして

誠にありがとうございましたお願い

 

 

 

 

 ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町

Gallery Lounge Levita(35F)

(筆者撮影)

 

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 理事長、院長  

小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

医学博士, 内科医

(総合内科、リウマチ専門医)

(新潟大医学部卒)

 

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