新年おめでとうございます。内科医ひとちゃんですウインク

 

皆様におかれましては、輝かしい新年をお迎えのこととお喜び申し上げます。

 

昨年中は、JTKクリニックを応援していただき、誠にありがとうございました。
本年も、更なる医療サービスのレベルの向上に努めて参りますので、より一層の応援を賜りますようお願い申し上げます。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

                       (筆者撮影)


2025年の新しい年がスタートしましたね。

今年は「巳(へび)年」なります。

「ヘビ」といいますと・・・ちょっとコワイなあ〜と思う方もいらっしゃるかもしれませんが・・・

 

「巳(へび)」には、「新しく産まれてくる」、「将来・未来がある」といった意味もあるそうです。

 

これは、「へび」が定期的に脱皮(だっぴ)を繰り返すことに由来し、生命力や再生、変化と進化の象徴とされているからだそうです。

 

前回は「iPS(アイ ピー エス)細胞を話題にさせていただきましたね。

 

「山中伸弥(やまなか しんや)」博士の名前を知らない医学研究者は、世界のどこを探しても(さがしても)いないのではないでしょうか?

人工的に作られる「多能性幹細胞」である「iPS細胞」の作成を成功させたことで、2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞されたことは

もちろん素晴らしいことであるわけですが・・・

 

「iPS細胞」を用いて基礎研究をしようとする研究者には、世界各国の国籍等を問わず、無償提供をしているところです。

 

昨年でしたか・・・韓国国内にある「GCリンフォテック」社の研究開発部門のトップの方に「JTKクリニック」をご訪問いただきました時に「山中伸弥(やまなか しんや)」博士が、もし、「iPS細胞」を有償で提供する方針にしていたら・・・現在のような「再生医療」の

研究は進まなかったのではないか・・・とおっしゃっていたのが、とても印象に残っています。

 

 

話を戻しますと・・・「iPS細胞」を作成するのに導入する4つの遺伝子とは、どのようなものなのでしょうか?

 

iPS細胞を作成する際に導入される遺伝子は、一般的に「山中因子」*と呼ばれており、以下の4つが基本とされています。

1)Oct3/4 (Octamer-binding transcription factor 3/4, 別名: POU5F1)

 

この遺伝子は、「ES細胞」の未分化状態を維持するために重要な役割を果たす転写因子となります。

 

2)Sox2 (Sex determining region Y)-box 2

 

Oct3/4と同様に「ES細胞」の未分化状態の維持に重要であり、神経系の発生にも関与する転写因子です。

 

3)Klf4 (Kruppel-like factor 4)

 細胞増殖に関与する転写因子で、腫瘍抑制遺伝子としても働きます。

 

4)c-Myc (MYC proto-oncogene, bHLH transcription factor)

 

細胞増殖を促進する転写因子ですが、「発がん性」を持つことでも知られています。

 

これらの4つの遺伝子 (Oct3/4, Sox2, Klf4, c-Myc) を、レトロウイルスベクターやレンチウイルスベクターなどを用いて体細胞に導入することで、iPS細胞を樹立することが可能であるとされています。

 

しかし、近年では、以下のような改良や変更が加えられた方法も開発されています。

 

それは、「c-Myc 」遺伝子を除く3因子 (Oct3/4, Sox2, Klf4) の導入のでの「iPS細胞」での作成も研究され、可能となっています。

なぜ、「 c-Myc」遺伝子は、「発がん性」を持つため、安全性を考慮してということになりますね。

 

さらに「ウイルスベクター」を用いない「iPS細胞」の作成法も確立されているのですね。

 

 (AIを用いて画像を作成)

 

次にES細胞(Embryonic Stem Cells)と「iPS細胞」の違いは、どのようなところにあるのか?・・・ですが・・・これは、次のような違いがあります。

 

 

ES細胞(Embryonic Stem Cells)」は、「胚性幹細胞(はいせいかんさいぼう)」と呼ばれるものです。

 

 

「iPS細胞(人工多能性幹細胞)」と「ES細胞(胚性幹細胞)」は、どちらも多能性自己複製能を持つ幹細胞ですが、由来作製方法、そしてそれに伴う倫理的な問題臨床応用への課題などに違いがあります。主な違いをまとめますと以下のようになります。

 

1. 由来

  • ES細胞 (Embryonic Stem Cells): 受精卵が発育した初期胚(胚盤胞)の内部細胞塊から作られます。
  • iPS細胞 (Induced Pluripotent Stem Cells): 体細胞(例:皮膚細胞、血液細胞)に特定の遺伝子を導入して作られます。

2. 作製方法

  • ES細胞: 受精卵を培養し、胚盤胞に成長させた後、内部細胞塊を取り出して培養することで樹立します。
  • iPS細胞: 体細胞に山中因子などのリプログラミング因子を、ウイルスベクターなどを用いて導入し、培養することで樹立します。

3. 倫理的問題

  • ES細胞: 受精卵(ヒト胚)を破壊して作製するため、生命倫理的な問題が常に議論されてきました。ヒト胚を研究目的で使用することに対する反対意見も多く、研究に制限が設けられている国もあります。
  • iPS細胞: 体細胞から作製されるため、受精卵を使用せず、ES細胞で問題となっていた倫理的問題を回避できます。

4. 拒絶反応

  • ES細胞: 他人由来の細胞であるため、移植した場合、患者の免疫系によって「拒絶反応」が起こる可能性があります。免疫抑制剤の長期投与が必要となります。
  • iPS細胞: 患者自身の体細胞から作製できるため、理論上は拒絶反応のリスクが低いと考えられます。ただし、完全には排除できないという報告もあり、さらなる研究が必要とされています。

5. 腫瘍形成リスク

  • ES細胞: 高い増殖能と多能性を持つため、移植後に腫瘍を形成するリスクが懸念されます。
  • iPS細胞: ES細胞と同様に腫瘍形成のリスクがありますが、リプログラミング因子の選択や導入方法の改良により、リスク低減に向けた研究が進められています。特に、発がん性のあるc-Mycの使用を避ける方法や、ゲノムに組み込まれない導入方法などが開発されています。

6. 技術的な課題

  • ES細胞: 比較的安定して培養、増殖、分化誘導を行うことができますが、ヒトES細胞の樹立は技術的に難しいとされています。
  • iPS細胞: 樹立効率が低く、細胞の品質にばらつきがあること、リプログラミングが不完全な細胞が混在する可能性があること、などが課題として挙げられます。また、長期培養における遺伝子変異の蓄積なども懸念されています。

7. 研究・利用の段階

  • ES細胞: 多能性幹細胞としての研究はES細胞の方が先行しており、基礎研究で広く利用されてきました。一部、臨床試験も開始されています。
  • iPS細胞: 近年急速に研究が進展しており、疾患モデルの作製や創薬スクリーニング、再生医療への応用など、幅広い分野で期待されています。臨床試験も増えてきています。

まとめますと、「ES細胞」は多能性幹細胞研究の先駆者であり、安定再生医療への応用が注目されてきたわけです。

 

しかしながら、「ES細胞」を作るには、作成時に「卵細胞」が必要であり、ES細胞の作製効率が非常に低いため、ES細胞を作成するためには多くの卵細胞が必要となります。

 

女性から多くの「卵細胞」を提供してもらうことは、非常に困難であるだけでなく、「将来ひとつの命となる卵細胞を治療のために犠牲にしてよいのか?」という倫理的問題もあります。

 

また、「ES細胞」を移植するときの「拒絶反応」の問題などもあって、「ES細胞」の再生医療への応用には、多くのハードルがあると考えられているのですね。

 

一方、「iPS細胞」は倫理的問題をクリアし、患者自身の細胞から作製できるという大きなメリットがあり、再生医療への応用が可能と考えられているそうです。

 

 

素敵な新年のひと時をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

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 <ブログ後記>1月7日


早いもので、本日は七草粥を食べまして、1年間の無病息災を祈願しました。

お正月の食べすぎた傾向がある方には、胃を休ませることにもなりそうですね。

今回は、iPS細胞に関する話題とさせていただきました。実はすでに幹細胞からのエクソソームと同様にiPS細胞からもエクソソームが放出されていることが知られています。

これらは、どのような違いがあるのでしょうか?

4. 応用上の違い

  • iPS細胞由来エクソソーム

    • 再生医療: iPS細胞からの組織再生の効率化や、細胞移植の補助としての応用が期待されています。

    • 疾患モデル: 疾患の病態解明や治療法の開発のための研究ツールとしての利用が期待されています。

    • 癌治療: 癌細胞に対する治療効果の研究も進められています。


  • 細胞(MSC)由来エクソソーム


    • 再生医療: 組織損傷、炎症性疾患、神経変性疾患などの治療への応用が期待されています。


    • 美容: 皮膚の若返り、創傷治癒促進などの美容分野での応用も期待されています。


    • 免疫療法: 免疫系の疾患の治療への応用も期待されています。

などとなります。iPS細胞を作成するのにウイルスベクターを用いた場合には、癌化する可能性も指摘されていますが、現在はベクターを用いない方法が選択できるので、この場合にはリスクは少ないと考えてよいのかもしれませんね。


とくにiPS細胞からのエクソソームの数、量も幹細胞からのエクソソームよりは多く、皮膚真皮層に存在する「線維芽細胞」からのコラーゲンやエラスチンの産生が多いという報告もあるようです。

iPS細胞からのエクソソームという話題は、まだ、新しい知見が出てくる可能性がありますので、

注意深く、みていきたいと思います。


今回も最後までお付き合いいただきまして

誠にありがとうございましたお願い


 

(東京駅丸の内駅舎のある風景)

(筆者撮影)

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 理事長、院長  

小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

医学博士, 内科医

(総合内科、リウマチ専門医)

(新潟大医学部卒)

 

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