前回、サイボーグ009のヒロイン・003について深掘りしてみましたので、今度は主人公の009・島村ジョーについて深掘りしてみようと思います。
私は、大鷲の健とかひびき洸とか、こういうヒーローアニメの正統派な主人公が昔から大好きで、島村ジョーはその中でも特に好きな主人公だったりします。
ただ、同じリーダータイプの正統派主人公ヒーローの代表的存在の大鷲の健やゲッターロボのリョウと比べると、島村ジョーは非常に優しさが際立つヒーローですね。
例えば大鷲の健の場合だと、あくまでも任務最優先、なところがあって、白鳥のジュンから反対される場面があっても非情というかドライに割り切る時がありますが。
島村ジョー(ジョーだけだとコンドルのジョーとごっちゃになってしまうので、以後、フルネームで表記します)の場合は、優しすぎて判断に迷ったり、004から「甘い」と批判されることも多いです。
もちろん、003が余りにもドライ過ぎる004に対して反対する場面でフォロー役に回ることもあるのですが、島村ジョーの優しさというのは、エレガントで優しい003や人が良くておおらかな006のようなメンバーとドライな現実主義者の004や直情径行な熱血漢の002とのバランスを取る調整役としての役割もあるんだな、ということを原作を読んでいて、改めて感じました。
004のドライで厳しすぎる言動は、身体の脳以外の部分を全て機械化されている上に、両手をマシンガンやレーザーナイフに、両膝からロケットミサイルを発射したり、小型原爆が体内に装備されているという、ほぼ人間兵器のような状態に改造されている影響も大きいのですが、それ以上に、改造される前まで共産主義政権下の東ドイツにいて、恋人と二人で西側に亡命を試みて失敗し、恋人は銃殺されて自身も瀕死の状態だった、という壮絶な人生を送っていた影響もあるのは明白なのですが。
温厚で優しい島村ジョーが、サイボーグに改造されるまで、平穏な人生を送っていたかというと決してそうではなく。
現在はミックスという呼ばれ方をされるようになりましたが、ハーフで身寄りもなく児童養護施設で育ったことで差別を受け続けたことで非行に走って少年鑑別所に入っていまして、そこで知り合った少年と脱走したところを拉致されて改造された、という経緯は私がいちいち説明するまでもなく、ファンなら誰でも知っている基本情報なのですが(^_^;)
まあ、少年鑑別所を脱走してそのままになっている問題はともかくとして、サイボーグに改造されて事情が飲み込めない状況で、ギルモア博士と001から008までのサイボーグ達が反乱を起こして組織からの脱出を決行したため、島村ジョー本人も訳がわからないまま行動を共にすることになりました。
その時に、001が島村ジョーの生い立ちを他のメンバー達に暴露してしまうのですが。
003以外のメンバーは全員訳ありで、なおかつ002も似たような立場だったことから、誰一人、島村ジョーの生い立ちを知ってもドン引きすることなく、むしろ理解を示して暖かく迎え入れたことで、島村ジョーもメンバー達に心を開いて、本来の素直さや優しさを取り戻していきました。
原作の初期の頃は、不良時代の仲間と再会するエピソードもありまして、島村ジョーのイメージもどちらかといえば熱血ヒーローなイメージが強かったのですが。
地下帝国ヨミ編の後、絵柄が大人っぽくなるにつれて、優等生的ヒーローなイメージに傾いていったように感じます。
その点については、003もシリーズの初期の頃の優等生お嬢様イメージから、ベトナム編からヨミ編にかけてのおキャンな女の子的イメージに、そしてヨミ編以降は更に落ち着いた包容力のある大人の女性へと変化していきまして、この二人の変化というか成長と関係性の変化に注目して原作を読んでいくのも良いと思います。
まあ、絵柄の変化やイメージの変化は、連載中に製作されたアニメ作品のイメージの影響もあると思いますが。
他のメンバーは、絵柄はともかく、性格やイメージについてはほとんど変化がないところから、009と003が思春期後半の年齢だったことで精神的な成長と捉えるのが一番自然かもしれませんね。
009・島村ジョーは、加速装置を装備していて、加速に耐えられるように全身を改造されていまして、ゼロゼロナンバーで最高性能の最強の戦士なのですが。
精神的には優しいのはもちろん、若さ故の甘さや弱さもありまして。
もちろん、少年鑑別所に入っていたという黒歴史もあるのですが。
そう考えると、身体がほぼ機械化されて人間離れにしているのに相反して、精神的には非常に生身の人間臭いヒーローだなと感じます。
そういう性格というか精神的な面では、大鷲の健のような生身の人間で戦闘のスペシャリストなエリート戦士タイプのヒーローの方が鋼鉄のメンタルというか、逆に人間離れしているような印象を受けますね。
サイボーグ戦士という戦闘場面での顔と、戦いを離れた日常の場面での普通の少年の顔の二面性が、島村ジョーというヒーローの特徴であり、魅力なのかな、と思いました。
それから、サイボーグ009といえば、特にアニメに多いのですが、009が戦いの中で出会った女性達から好意を寄せられる、というエピソードが多くありまして。
それも女性ファンが多い要因の一つではないかと思います。
初期の頃は、003が009がモテることに対してヤキモキする場面も多かったのですが、後半になると、スルーする余裕が見られるようになっていきます。
その様子から、009との戦いのパートナーとしてだけではなく、恋人としても信頼関係がしっかり構築されていってるんだな、ということが伺えるのですが。
私も若い頃はわからなかったのですが、自分も人生経験を重ねていったことで、009は他の女性達に対して、ヒーローというか戦士として助けの手を差し伸べるし、元々優しい性格なので、紳士的に振る舞うけれども、だからといって、自分の方からそうした女性達に対して恋愛感情を持つことはなかった、ということに気がつきました。
というのは、009に好意を持つ女性達は、「強いヒーローサイボーグ009」に惹かれているだけで、少年鑑別所を脱走した元不良少年島村ジョーとしての顔を全く知らない訳です。
多分、島村ジョーの黒歴史を知ったらドン引きする女性の方がほとんどだと思いますが。
そこが、最初から島村ジョーの生い立ちを知っていてその部分も受け入れた上で愛している003・フランソワーズ・アルヌールが、他の女性達と決定的に違うんだな、と思いました。