橋本武先生の授業 | ricky321のブログ

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橋本武先生についてご存じない方はこちらを
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A9%8B%E6%9C%AC%E6%AD%A6
灘中高で長年教壇に立っておられた国語の先生である。中勘助『銀の匙』を教材として現代国語の授業をされていたことで知られる。

出版社から勧められたということで『解説百人一首』を著されている。

ひさかたの 光のどけき春の日に
しづ心なく 花の散るらむ(№33紀友則『古今集』春下87)

昨日も掲載して恐縮であるが、この解説がいいのである。
・・・桜が詠まれている歌は百人一首にも、他に何首かある。その中で、特にこの歌が愛唱されるのは、私たち日本人が、毎春毎春、目にしている桜の花の特質を的確にとらえ表現されているからである。
たとえば、私の住んでいる阪急沿線は桜が多く、芦屋川、夙川(しゅくがわ)と、川堤には家族が弁当を広げていることもある。しかし、それもつかの間で、春雨が続き、春嵐が荒れて、さなきだに散り急ぐ花が、満開になったかならないうちに早くも散り始め、見るも無残な姿になってしまう。全く花の盛りの短さを嘆かずにはおられないため息が、自然に口をついて出てくるではないか。なんだってこう早く散ってしまうのか。この気持ちがそのまま形をとったのがこの歌だという気がする。・・・
どうだろう。千年以上前の歌人と我々現代の日本人との距離を一気に縮めてくれるのではないだろうか。
昭和49年(1974)の刊行である。橋本先生は、古典の授業で副読本として採用されたそうである。灘高の卒業生から聞いたことがある。この本に色を付けたりさせるなど、楽しかったという。
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阿川弘之は師の志賀直哉は英語国語が苦手だったと明かしている。阿川自身も「コ・キ・クル・クレ・コヨ」は強制的に覚えさせられたそうである。田辺聖子は成績を上げたいという魂胆から短歌のクラブに入ったが、短歌を作ること自体には情熱を持てなかったそうである。
つまり、多少はみんな苦労している。
芦原すなお『青春デンデケデケデケ』の終盤、主人公「ちっくん」の東京にいるお兄さんから受験のアドバイスがを書かれた手紙が届く。「国語に関しては教科書とノートをしっかり読み返す。古文漢文は教科書を読み返し基礎事項を整理しておくこと。」 そんな内容である。
古文の苦手な高校生は自分を責めないで欲しい。ただ、習ったことに関してだけは繰り返し練習すること…くらいしかないと思う。小生も古文・英文とも文法はからっきしだった。
しかし今それなりに古典を楽しむことができるようになった。人生は長い。
 

※写真は橋本先生の本と昭和50年に刷られて、未だ現役の旺文社の古語辞典。