10月の読書録 | ricky321のブログ

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108 新潮2018年10月号
 石井遊佳はやはり並の人間ではない。そこにはいない‘象牛’を登場させ、芥川賞受賞作とは、また違った世界を作り出した。前回ほどの完成度はないが、面白い。(これは9月との重複分)

(109)『雲上雲下』朝井まかて/徳間書店
(110)『バッタを倒しにアフリカへ』前野ウルド浩太郎/光文社
 下記に示したとおり。ただ、朝井まかては、無駄な登場人物を出さない点で巧者だとも言える。

(111)『猫と庄造と二人のおんな』谷崎潤一郎/埼玉福祉会
(112)『こころを彩る徒然草』木村耕一/1万年堂出版
 仕事がらみで借りた本。

113 聴く中国語2018年11月号
 自家用車のCDプレイヤーが故障したのでしっかり聴けておりません。

114 中央公論2018年11月号
 内容は充実。申し分ない。
 今回、中央公論社が主催する谷崎賞は星野智幸『焰』だったが、選考委員の川上弘美のコメントがいいのである。(川上本人が短編を長編より好む理由を)短編では、内心でいろいろつぶやいたり、作中の人の肩をたたいたり、たまには野次をとばしたり、したくなるし、できるような心もちになる。とある。小説家のコメントは作品そのもの。
 掲示板やブログで小説を書いている人の殆どは下手くそである(ごめんなさい)。なぜなら、読書する習慣がないくせに書こうとしているから。短歌・俳句を作っている人も大概はだめ。とにかく色々盛り込もうとしている。「たらちねの」を使うと31-5=26。三十一文字(みそひともじ)ならぬ二十六文字でも良いものはいい。やっぱり、古今集でも正岡子規でもいいんだけど、日頃から親しんでる歌集や俳人歌人があった方がいいと思う。俵万智、穂村弘、長谷川櫂など韻文の達人は散文もうまい。
 「耳をすませば」というジブリのアニメ映画があったが、主人公は小説を書いて失敗する。そもそも人に言われる前に自分で拙いという自覚がある。(これは小生も似た経験がある。ものすごいおもしろいことを思いついて、原稿用紙4枚くらいにまとめた。書いてみると最初の興奮はどこへやら。一応は書いたから兄貴に見せたけど「ばか」とひと言。見せる前に既に凹んでいたから、言われたこと自体にショックはなかった。中1のとき。)あの映画は、やりたいことをやる前に、他にやるべきことがあるというメッセージ。
 
115 『続・人生学校虎の巻』美輪明宏/家の光協会
 下記に書いたとおり。
 その美輪さんの本を10円で売っていたので買った。「読書をして語彙を増やしなさい」と、家の光誌上で時々書いている。
 昭和末期、灘中の国語の入試問題でトイレと同じ意味のことばを知っているだけ書きなさい。というのがあった。灘の先生は語彙が国語力の目安であるという信念を持っているからだろう。
  There are seven days in a week.
  We have seven days in a week.
  A week has seven days.  ネイティブがこんな言い回しをするかどうか別にして、いわゆる書き換え問題は為になる。ボキャを増やしたり、外国人の感覚が分かる、いや分かったような気になるだけかもしれないが、意味はある。
 中国語では「一個星期 是 七天。」より「一個星期 有 七天。」という言い方のほうが自然だという気がする。絶対の自信はないけど。   

116 『ニッポンの小説~百年の孤独』高橋源一郎/文藝春秋社
 定評どおり、いい書籍。この人の小説を面白いと思ったことはないが、小説を語らせたら当世随一。これは文學界誌の連載をまとめたもの。週刊現代でも朝日新聞でも、読者の興味がありそうなネタを選んで書く器用なライター。

 小説を書きたいと思っている人にお薦めの本。
①上記『ニッポンの小説』;平たく書くと、純文学であっても、読者に伝えるすべが必要であるということ。
②『疒の歌』西村賢太/新潮社;自意識過剰な北町貫多(つまり過去の作者自身)を客観視している。一番いい小説のモチーフは自分自身だということ。
③『逃亡くそわたけ』絲山秋子/講談社文庫;プロの小説家はここまで登場人物に(役者的という意味で)なりきれるのかということ。巻末の解説も適切。