私の中にいる | dokidoki感

私の中にいる

こんにちは


この本を読みました

黒澤いづみ

私の中にいる





簡単なあらすじ

虐待されていた10歳の少女が母を殺害
少女は自分ではないと主張 妄言なのか
多重人格なのか オカルトなのか・・・


感想

少し前に読んだ 人間に向いていないが
たまらなく面白くて 他の作品探したら
まだキャリア浅いのか 刊行作品少なくて
そんな希少な作品試してみました

10歳の少女 萌果が母親を殺した罪で逮捕
学校では大人しく目立たない存在でしたが
シングルマザーの母親から虐待を受けており

犯行に至ったのは仕方ないかもだけど
犯罪で未成年なので施設に入れられます

そこで優しく真摯に接する指導員らに対して
萌果は身勝手で 相手を傷つけるような
暴言を吐き 尖った態度を見せます

そんな悪態に対しても指導員は
誠意ある態度で接するのですが
ある事件が起こります

ここに至るまでに 殺害時の聴収や
指導員らの聞き取りに対して
私は萌果ではないと 激しく主張します

これは虐待のトラウマや事件を起こした事で
別の人格が現れた二重人格なのか 虚言なのか
それとも別のことなのか・・・という物語

虐待された背景や母親が亡くなったのは
事故の要素が強いから 本当なら
少女の萌果に同情しそうですが 

施設指導員に対する萌果の態度は
生意気で反抗的なので同情できないし
あまりに論理的で大人びた思考なのが
こんな10歳いる?と非現実的に感じます

でもその思考はとても深く心理を的確に
描いているので 勉強にもなるし
まあいっかと読み進めると

優しそうな指導員が実は・・・とか
他の子供たちの闇を描いており
イヤミスとして楽しんでいるも

萌果のことはハッキリしないままなので
展開が遅いかも と思っていたら

中盤に判明したことは 意外だけど
そういうことかと先が気になってしまい
尻上がりに面白くなっていき

終盤は犯罪とまではいかなくても
社会的に不適合な行動をする者に対し
どうすればよいのかという

哲学的な内容を深く掘り下げて描き
普通に読んでると ただ字を読んでるだけで
内容がこぼれてしまうような硬派な内容で
何度か読み直してしまうほどで

一応理解はしたつもりだけど
これはもう一度読まなければと思うような
深い内容から 迎えたラストは

序盤の不愉快感は喪失し 清涼感と
軽く負の余韻の残るもので
感嘆してしまいました

人間に向いてない もそうでしたが
嫌悪しそうな内容を ひっくり返し
ちゃんと意味がある内容の物語に昇華する
この作者 凄いと思います

とても面白かったです