ガラパゴス | dokidoki感

ガラパゴス

こんにちは

この本を読みました

相場 英雄

ガラパゴス







簡単なあらすじ

自殺と思われた身元不明男性を調べると他殺だと判明
すると現在日本における雇用関係の黒い闇が浮びます


感想

相場さんの社会派推理サスペンスで 
デビュー作「震える牛」の田川刑事が登場します 
先に続編の「アンダークラス」を読んでしまいましたが
どちらも超面白かったので 期待して臨みました

田川は仕事は出来るのに健康上の都合により
警視庁捜査1課だけど 窓際的な部署に属しています

同僚の頼みで身元不明で亡くなった者を
調べることになり 自殺と聞かされていたけど
写真を見ただけで毒殺ではないかと疑念が湧き
調べてみるとやはり他殺が濃厚で
被害者の無念を晴らすべく 犯人捜査が始まります

警視庁の鳥居は捜査で相手の弱みを握ると
直接強請りや金品は要求しないけど 天下り先を
求めるような狡猾な悪だくみを企てる悪徳刑事で
首都高で事故があり 雨や運転手の状況から
単なる事故と鑑識は判断するのですが
鳥居は事故車両に 何かを気づきました

中堅自動車メーカー トクダモーターズは
安価なHV車を開発したことから 業績を伸ばし
大手自動車メーカーの仲間入りをしそうな勢いですが
それは社長の松崎は積極的に契約社員・派遣を利用し
人件費を圧縮したことで実現しました

トクダモーターズに派遣社員を都合した会社は
パーソナルズという人材派遣会社で 社長の森と
鳥居刑事は高校の先輩後輩で昵懇の仲でした

という舞台は主に3つに別れて描かれており

田川が被害者を調べると 沖縄出身の真面目な若者で
能力は高かったのに 派遣社員として就職すると
過酷な労働を強いられていたこと

そしてトクダモーターズは業績を上げるために
性能の偽装や 安全よりもコストカット優先させる
消費者を騙すような経営を行っていました

果して被害者は誰に なぜ殺されたのか
この2つの接点は・・・ という物語でした

自動車メーカーの不祥事で 私は三菱自動車の
リコール隠しかな?と思いつつ読んでたら
それとは違うベクトルのメーカーの欺瞞でしたけど
根は似たような物でした

自動車に限らず 家電等の工場を持つメーカーは
派遣社員を利用しており 派遣はよく雇用の弁とか
言われていますが それは企業側の都合なだけだけで

都合悪くなったら切り捨てるという まるで人間が
部品な現状を生々しく描いています

例えば企業が甘言を発して 労働者のやりがい搾取する
そんな手法ばかりか 人権を蹂躙するほどの劣悪な環境や 
上司からの指示どころか 叱責を超えた指導

私は体験したことないけど 体験したなら確実に相手を
法律を使って刺しにいくであろうなという
腹立たしい内容が生々しく描かれています

こんなの最近は減っているのでしょうが
聞いたことある内容なので改めて憤慨しましました

これに関して企業側は人件費抑えないと成り立たない
とか弁明するのでしょうけど 労働者を人として扱わないと
成立しないなら そもそも企業の体をなしておらず
潰れた方が社会のためだと思うので 無くなってよいのと

対して何でも安ければ良いとか 値上げに反対する
消費者にも責任はあると 再確認しました

例えば飲食店で食事して 対価に見合うなら
再度訪れるでしょうけど そうでなければ行かず
その飲食店は淘汰されてしまうでしょう

それと同じく不当な値上げ 価格設定していれば
その企業は淘汰されるはずなのですが

中小の飲食店とは違い 全国に流通する物を
製造するメーカーに対しては 消費者は知名度から信用し
盲目的になってしまうのは 思考の放棄だし

企業は そんな消費者の心理につけこんだり
優位に構えて 労働者や下請けにしわ寄せし
歪んだ雇用関係になっている日本の現状を
具体的にドラマチックに描いていました

特に中盤からの派遣社員の様子 これ外国ならば
デモ 革命レベルだろと感じるほどです

この内容は池井戸さんの 空飛ぶタイヤを連想しました
空飛ぶタイヤは 終盤は快刀乱麻なアチョー的に
解決してゆくのが爽快な勧善懲悪なのに対し

こちらは事件を細い糸か 真相にまでたどり着く
田川の捜査の様子は 終盤まで地味に静かな展開だけど
これはこれで現実的な気がしました

そんなので少しラストは物足りなかった気もするけど
写真は上巻だけだけど 実際は上下巻ある長編なのに
まったく退屈することがなく とても面白かったです