角屋 @ 矢向(JR南武線) | CroquettePunchの “ 呑んでたまるか!”

角屋 @ 矢向(JR南武線)

世にあるあまたの風流の中で.

 

 

これはもはや疑うべくもなく,むふふ.

 

私の最も琴線に触れるもののひとつである.

 

 

《 餃子飯店 カドヤ 》

 

 

 

末吉橋のたもとの交差点.

 

角に佇む一軒中華,字(あざな)はカドヤ.

 

街中華としてこの上ない風雅な立地ではねえですか.

 

 

今日は初めての入店です.

 

3人組の酔客,独り客が私を含めて4人.

 

狭い店内はこれで7割強の入りとなります.

 

少しぶっきらぼうな親父さんが忙しく鍋を振るっている.

 

 

親父さんに注文を聞かれる様子もない.

 

ビールをお願いしようとしてはたと目に留まった.

 

なるほど,こういうローカルルールは遵守すべきですね.

 

「ビールもらいます」と立ち上がると黙ってコップを出してくだすった.

 

 

着席したのはL字カウンターの短辺の席.

 

ビールの入った冷蔵庫は長辺側の先にあります.

 

L字の角には酔客の座る4人卓があり通行に難渋する.

 

 

どうすればよいか.

 

うっふふ,簡単でおまっしょ.

 

こちらのサッシ出て外路迂回すればよかとですよ.

 

 

冷蔵庫からビールを出す時,酔客のお1人とシンクロする.

 

常連なのか慣れた様子で栓を抜いて「マスター,ビールね」

 

ところが親父さん,調理に追われてこちらには一瞥もくれない.

 

「マスター,ビールってばよ..なんだ全然聞いてねえなあ,あはは」

 

 

目が合って「いいんじゃないすか」と私.

 

「そうだね,わはは,忙しそうだしね」と常連の方.

 

にっこりと微笑んで私が先ほどから探していた栓抜きを手渡してくれた.

 

 

これで常連の方々とも,うふふ.

 

すっかりと気持ちの距離が近くなってしまうのです.

 

大声での談笑も全く気にならなくなってしまうのです.

 

 

このお店は中華鍋も餃子も1つを洗い回して使う式です.

 

こういう場面では空気を読まない早急な注文は禁物である.

 

前客の餃子が焼きあがり鉄鍋が空いたのを見計らって注文する.

 

「ウチはコップだけだよ」と出してくだすった清酒を呑んで待機する.

 

 

 

そして出て来た餃子がね,あれですよ.

 

さすが餃子飯店を標榜するだけあるんですね.

 

一見なんの変哲もなくおとなしく焼きあがっているのですが.

 

 

かぷりと噛み付きますってーと,うひい,美味ちい〜.

 

薄めの香ばしい皮からたっぷりの肉汁が溢れるって寸法でさ.

 

 

慌てて清酒を追進です.

 

「よく飲むねえ」と親父さんが微笑みます.

 

 

ちょうど中華鍋も空きましたのでね.

 

チキンライスをお願いいたしますと親父さん.

 

じろりとこちらを見て「うちのはポークだよ」わっははは.

 

構いません構いません,ポークライス大いに結構ではねえですか.

 

 

冷蔵庫をのぞいた親父さん,転瞬.

 

「あっ,だめだ,ケチャップ切らしちゃった〜」

 

わっははは,じぇんじぇん問題ありません問題ありませんですよい.

 

 

ではでは炒飯をいただきましょうか.

 

「悪いね〜,買い物行って何か忘れた気がしたんだよね〜」

 

しきりに恐縮される親父さん,いえいえ,そんなお気になさらずに.

 

 

街中華然としたしっかりした味わいの炒飯.

 

先ほどまで少しぶっきらぼうだった親父さんですが.

 

競馬の話,地元の話などいろいろと話しかけてくださいます.

 

 

とても美味しい炒飯をいただきながら.

 

時おりカウンターの常連の方も交えながら談笑して.

 

鶴見川のほとりの中華屋でのんびりと時が過ぎてゆきます.

 

 

これからのお話はあくまでも所感です.

 

特に初めてのお店に入ってそのお店の不文律や.

 

ご主人や他のお客さんに気を遣う必要などあるのか.

 

と問われたら私は「ある」と即座に応えることにしています.

 

 

客が立て混んでいるのに構わず矢継ぎ早に注文して.

 

出てくるのが遅いと焦燥して,愛想が悪いと憤慨立腹して.

 

客だから何を言ってもやっても許されるという風潮には賛同しない.

 

 

ほんのちょっとね,ほんの少しの.

 

何気ない思いやりの気持ちだけでね.

 

いつも愉しく過ごせると思うんであんすが,いかが.

 

 

鶴見川もこの辺りでは東京湾の潮の香が濃厚です.

 

まことに,誠にもって良い気分で家路につくことになるのです.