幸楽 @ 志茂(東京メトロ南北線) | CroquettePunchの “ 呑んでたまるか!”

幸楽 @ 志茂(東京メトロ南北線)

住宅地の一角にぽつねんと,そして朴訥と.



風景の一部となってそのお店は建っている.

そのたたずまいから,永きに渡る歴史は想像するに難くはない.



《 幸楽 》







たたずまい以上に趣き深い店内造作ですねえ.

コンクリの三和土にビニル張りのパイプ椅子.

いいでしょ,これぞ日本の食堂景色の原型だよ.

これを肯定する姿勢を私は生涯くずさない.





お歳を召したご夫婦によるご営業.

お酒はビールのみ,清酒はありません.

お品書きも食事然としたものばかりです.

あれこれ並べて呑んだり食ったりするには不向きです.

いいのいいの,それでいいの,一向にかまわないです.



であるのでよ,こういうのをいただくです.

カレー丼のラーメンの,香りが渾然となって立ち昇る.

むう...香しき風韻にしばし眼を閉じ恍惚する,うっふっふ.



以前はたしか「かつカレー丼」ってのがあったんです.

手間がかかるからおやめになったそうです,残念.

あのメニュウは出色でしたなあ.



カレー丼を頬張る,ラーメンをスープをすする.

次第に幸せになってくる,楽しい気分になってくる.

なるほど,これが幸楽,むっふっふ.





壁には身内のお子さんが描いたとおぼしき鉛筆画.

実際の外観を並べましたが大変にお上手.

おそらく...お孫さんなのかな...おじいちゃんのお店.

なんかこういうの,ものすごく素敵.



お店を出ると表には3歳くらいの女の子.

ショーケースを見て一生懸命に傍らの母親に話しかけている.

「これがぁ..えと,クマちゃんでぇ..これがあ..チューチュップ」

とても懐かしくて微笑ましくて温かな気持ちになった.

そして少しだけ,ほんの少しだけ,何故か切ない気持ちになった.