「 伺わせていただきます」は二重敬語 !?
インターネットで「伺わせていただきます」を検索すると、「伺わせていただきますは二重敬語」という結果が多数出てきます。(検索結果はPCにより差があるかもしれません)。最近では、検索するとこのように、AIによる概要まで「伺わせていただきますは二重敬語」と断定してきます。
ポータルサイトやAIでそんなふうに言われると、「『伺わせていただきます』は二重敬語」という捉えかたが定着してしまうのではないでしょうか。
正しい考え方が定着するなら問題ありません。
しかし、本当に「『伺わせていただきま』」は二重敬語だから使ってはいけない」と断定してよいものでしょうか?
結論から言うと↓
その根拠を、順に解説します。
「拝見させていただきます」は二重敬語ではないのと同じ理屈です。
→「拝見させていただきます」は二重敬語ではありません
二重敬語の定義を確かめよう
まず、二重敬語とは何か。その定義を理解する必要があります。
「敬語の指針」(30ページ)にはこうあります。
一つの語について、同じ種類の敬語を二重に使ったものを「二重敬語」という。例えば、「お読みになられる」は、「読む」を「お読みになる」と尊敬語にした上で、更に尊敬語の「れる」を加えたもので、二重敬語である。(出典:「敬語の指針」)
“一つの語について”と“同じ種類の敬語”という点がポイントですね。
この定義によれば、一見ひとまとまりに見える言葉に同じ種類の敬語が使われているように見えても、次の場合は二重敬語に当たらないと考えることもできます。
・2つ以上の言葉をそれぞれ敬語にしている
・一つの語について違う種類の敬語を使っている
それにあたるかどうかを確かめるために、まずは品詞に分解します。
品詞に分解してみよう
こうしてみると
・「伺わ」の部分は「訪ねる・訪ねる」を謙譲語Iにしたもの
・「いただく」の部分は「もらう」を謙譲語Iにしたものです。
「それぞれの語」を謙譲語Iにしているため、前段で挙げた
“一つの語について、同じ種類の敬語を二重に使ったもの”
という定義には当てはまりません。
つまり「伺わせていただきます」は二重敬語ではない」ことが分かります。
語尾が異なりますが、もちろん「伺わせていただく」も同様に二重敬語ではありません。
2つの語を「て」でつないだ「敬語連結」
勘のいい人は、品詞分解してさらに何か気づいたのではないでしょうか。
接続助詞「て」の存在です。
ここで、「二重敬語」と間違われやすい「敬語連結」の定義を紹介します。
二つ(以上)の語をそれぞれ敬語にして、接続助詞「て」でつなげたものは、上で言う「二重敬語」ではない。ここでは「敬語連結」と呼ぶことにする。(出典:「敬語の指針」)
「伺わせていただきます」も接続助詞「て」で異なる2語をつないでいます。
つまり、
「伺わせていただきます」は、二重敬語にあたらず、「敬語連結」にあたります。
「敬語の指針」を見る限り、敬語連結は次のように扱われています。
敬語連結は多少の冗長感が生じる場合もあるが、個々の敬語の使い方が適切であり、かつ敬語同士の結び付きに意味的な不合理がない限りは、基本的に許容されるものである
→ 「させていただく」「させていただきます」のほどよい使い方



