「 させていただきます」のちょうどいい使い方とは?
過剰敬語として取り上げられやすい「させていただきます」は、ビジネスシーンでもしばしば盛りすぎ敬語になっている場面を見かけます。いっぽうで、過剰ではなく適切に使われているケースもあります。
無条件に多用すると盛りすぎになりがちな「させていただきます」。
意味や使い方をマスターして、ほどよい使い方をできるといですね。
今回は、「させていただきます」をどんな場面で使えるか、判断の基準となるポイントについてです。

「させていただきます」の意味は?
「させていただく」は「させてもらう」の謙譲語に「ます」を加えた言葉です。
「させていただく」を引くと、辞書にはこうあります。
ある行為を行うときに、誰かの許可を得て行う場合に「させていただく」を使います。また、誰かの許可や意向によって行うと見立てて使う場合もあります。
「させていただく」「させていただきます」の使い方は?
辞書には「させていただく」「させていただきます」の使い方も書かれています。
●「さ入れ言葉」に気をつける
(1)は、よく言われる「さ入れ言葉」ですね。
五段動詞とは、活用の語尾が「ア・イ・ウ・エ・オ」の五段にわたって活用する動詞です。
(例)行く→行か(ない)・行き(ます)・行く(とき)・行け(ば)・行こ(う)
(1)によれば、「行かさせていただきます」ではなく「行かせていただきます」ですね。
●人に配慮しながら自分の一方的な行為や意向を伝えるとき
(2)の「人に配慮しながら自分の一方的な行為や意向を伝えるのにも使う」ときの用例。
例えば
また例えば飲食店が休業するときに「元旦から1月3日まで休ませていただきます」についても、本来特に許可は要らないわけですが、常連客などに配慮を示したいといいう考えから使うのは、適切な使い方の範囲だといえます。
もちろん、無理に「させていただきます」を使う必要もありません。ケースバーケースで決めるとよいでしょう。
◯4月1日から4月3日まで休ませていただきます
◯4月1日から4月3日まで休業いたします
結婚式の招待状に回答する場合はどうでしょう。
招待されているということは許可は要らないわけですが、新郎新婦への配慮を示す意味で
◯ご出席 させていただきます(「ご」を消して、「させていただきます」を書き加える)
◯ご出席 いたします(「いたします」でもOK)
横に「おめでとうございます」とお祝いの言葉も加えます。
●大勢の聴衆や目上の人の前で自分の意見を述べたり、会を取り仕切ったりするような場面
◯それでは、資料を読み上げさせていただきます
◯以上で終了とさせていただきます
◯ 司会を務めさせていただきます上田と申します
◯ 乾杯の音頭を取らせていただきます(×取らさせていただきます)」
などがこれにあたります。
ただし、すっきり伝えたい場合には
◯それでは、資料を読み上げてまいります
◯以上で終了といたします
◯私上田が司会を務めます
でも、失礼には当たらないでしょう。
「させていただく」の注意点は?
使い方がわかったところで、注意点もチェックしておきましょう。
「させていただく」がたびたび過剰敬語として取り上げられるのは、以下の用例が多いようです。
●許可を得る相手がいない、特定できない場合
例えば次のような場合は不適切です。
× ご近所なので〇〇店ではよく買い物させていただきます
× 私もその学校を卒業させていただきました
●「……ください」「……いただけますか」を使うべき場合
次のような場面では、「……いただきます」と言い切りで使うのは不適切です。
・「お願いする」という意味で使う場合
× (この先通行止めなので)迂回していただきます
◯(この先通行止めなので)迂回してください
・許可を得る必要がある場合
許可を得るべき場面も同様です。
× (上司に)明日は休ませていただきます
◯ (上司に)明日は休ませていただけますか
◯ (上司に)明日は休ませていただいてよろしいですか
『敬語の指針」での「させていただきます」について
『敬語の指針』(文化庁)にも「させていただきます」について触れている箇所があります。
参考までに引用します。
以上のことから、「させていただく」「させていただきます」は、いつも盛りすぎであるとは限りません。
・許可を得ると見立てることができる場面で使うことは許容の範囲
・許可を得る相手がいない場面や許可を得る相手が特定できない場面で使うのは、盛りすぎであり不適切です。
どの程度、その見立てを自然なものとするかにもよりそうですね。
許容度は個人にとってそれぞれ異なりますが、ひとつの参考になれば幸いです。
場面に合わせて判断し、必要があれば疑問文にするなど適切に使うとよいでしょう。
『その敬語、盛りすぎです!』の68ページには
「頑張らせていただきます」の例を挙げて
「頑張る」と「させていただきます」はなじまない
ことについて書いています。
よろしければぜひお読みください。