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 できるだけ若いうちに読んでおいた方がいい本。数年おきに読みかえすたびに、相応しいヒントを見出すことだろう。2013年11月初版。

 

 

【まえがき】
 くすぶっている人とは、成功していない、うまくいっていない人たちのこと。
 自分には才能があるはずなのに、世間は認めてくれない。正当に評価してもらっていない。自分が思い描く自分像と、現実にギャップがある。
 こうした苛立ち、焦燥感は、私たちにとって他人事ではありません。
 私自身が長い間、くすぶっていたからです。
 具体的に言えば、大学入試で失敗してから初めての本を世に出すまで、私は20年くらい、文字通り、くすぶっていました。 (p.2-3)
 40歳未満なら、くすぶっていない人の方が少ないだろう。しかし、同じ状況下にあっても、くすぶっていると感じるかどうかは、人に拠る。自分自身の自尊心や期待値の高さ次第。

 

 

【くすぶっている期間の過ごし方】
 振り返ると、その月日が糧となって、今の自分を支えています。・・・中略・・・。
 くすぶっている時間は決してムダではないということです。 (p.3)

 特に若いころに抱くくすぶり感は、生涯にわたる推進力になります。言ってみれば、それは「精神の石油エネルギー」です。
 ある時期、鬱屈した思いが黒くてドロドロの原油のように自分の中に貯まります。それ自体、その時点では使いものになりません。
 でもそれが仕事に就いた時に掘り起こされて、精製して使えるような状況になると、火を点けた途端、一気に燃え上がるのです。時間をかけて貯めたエネルギーは、そう簡単には枯渇しません。(p.25-26)
 運命学では、“凶運期” すなわち“ くすぶらざるをえない期間” は、「勉学などに時間を使い、ひたすら内的蓄積に励むべし」 と指導するのが基本だけれど、まさにそうすべきであると言っている。

 

 

【迂回路努力】
 適切な例かどうか分かりませんが、性体験の年齢があまりに低くなると、そのことについてのくすぶり感がなくなります。早くから性体験を達成すると、「ああ、こんなものか」と性へのあこがれが自分の中で育ちにくくなるからです。・・・中略・・・。
 彼女が欲しいけれどもたいしてモテないから、社会的に成功して彼女をゲットする。そういった回り道は、実は動物界では当たり前です。・・・中略・・・。
 簡単に欲望が達成されたり、欲望自体を極端に減らすと、この「迂回路努力」をしないですんでしまいます。欲望が出る前にすでに処理できてしまい、くすぶらない、イライラもしません。
 若い人に広まっている「草食系」はまさにそのタイプでしょう。(p.26-27)
 3S政策のうちの“Sex推奨政策”は、まさにこの「迂回路努力」を未然の内に阻んでしまうための深謀遠慮であり、青年層をターゲットにした雑誌や、若年層をターゲットにしたそれ系のアニメは、存分にその効果を発揮して日本の国力衰退に大きく貢献してきた。
    《参照》   『しない女』 亀山早苗 (大和書房)
              【「していない」女たちの葛藤や迷い?】

 しかし、草食系人間の由来には、これによるものと、そうでないものの二つがあるだろう。
 ここでの主旨には外れるけれど、環境ホルモンなどの影響ではなく、性エネルギーが肉体的な欲望に直結しないタイプの若者たちが、現在の地球上には、少なからずいるはずである。このタイプはくすぶらない。魂が地球という星の社会意識に属していないから、単にこの星の在り方に“異常”を感じているだけである。

 

 

【放浪という選択肢】
 かつてのくすぶり時代には、「放浪」が、ひとつのキーワードでした。
 海外の放浪体験を記した 
藤原新也さん の『印度放浪』(1972年、朝日文庫)や 沢木耕太郎さんの『深夜特急』(1986年、新潮文庫)が売れました。
 ・・・中略・・・。くすぶり感がどうにもならず、「インドでも行くか」とバックパッカーとなって放浪の一人旅に出かけるわけです。
 異国の地で待っているのは、日本にいては決して出会えない人間、異なる文化、価値観の多様さです。
 そうした体験を経た人は、・・・中略・・・、ちょとズレた感じになります。会社員として適応できないと問題ですが、そうでなければ放浪体験のある人のほうが、深さの感覚、奥行きがあります。(p.36-37)
 世界の優れた建築を見るという目的があって24歳から4年間にわたって世界を放浪していた安藤忠雄さんのことが言及されている。安藤さんのように明確な目的がないとしても、全ての日本人に漏れなく投げかけられている、「社会意識という支配網」に気づけるだけでも、海外放浪は、大きな成果になる。日本人にとっての “当たり前” や “一般的に○○○” という既成概念を、一度トコトン壊してみるのである。

 

 

【本当にやりたいことに出会いたいなら】
 自分とは違った世代や価値観に面と向かうことは勇気や忍耐を要します。心地よさだけを求めるなら、内側を向いて仲間内だけにかたまっていればいい、バーチャルにつながっていれば十分、ということになります。
 しかしそれでは自分が本当にやりたいことはできません。いや、本当にやりたいことに出会うことすらできないでしょう。(p.42)
 群れる性は、たいした知性を生まない。「好き・嫌い」 「合う・合わない」 が最初に来る主観タイプの人々は押しなべて知性がないだろう。「和を以て島国となし」 「和を以て愚鈍に陥る」 だけである。
 「知は、孤独と異質が共合する場においてこそ際立ったものになる」 ということにすら気づけていないような柔弱な群人は、世界を牽引する日本人になどなれない。愚鈍な群人が大勢をなすだけの島国であり続けるのなら、日本は世界に必要とされないのである。このことをキチンと理解するために、できれば、 下記リンクに紐付くリンクを辿って、榊原さんの著作まで行ってください。
    《参照》   『これからの日本のために「シェア」の話をしよう』 三浦展 (NHK出版)
              【シェアハウスの居住者】

 

 

【質の高い時間を選ぶ】
 私は作家・イラストレーターのリリー・フランキーさんのエッセイをよく読みますが、リリーさんは青春時代にヘンなバイトをたくさんやっています。喫茶店の壁画を描きに行ったり、わけの分からないイベントの司会をやったり。・・・中略・・・。同じお金になるなら、体験が話になるほうを選ぶ、体験の質を重んじてバイトを選んでもよいでしょう。(p.51)
 普通のバイトより、そうじゃない方が、確かに面白い話の種になる。下記の著作には、確かに、面白い話がいくつも書かれていた。
    《参照》   『ロングヘアーという生き方』 みうらじゅん・高見沢俊彦・リリーフランキー (扶桑社)
 アルバイトの時間は、自分を切り売りしていると考えてください。時給だけを基準に選ぶと、“学び”が期待できません。
 むしろ、学ぶことが多いならただでも働く。そうすると、本当に自分のやりたいことが見えたり、自分の才能をどう発揮すればいいのかが分かったりします。そのことの価値は、お金に換算できません。(p.52)

 

 

【突き抜けたくすぶり人生】
 作家のヤマザキマリさん自身、17歳でイタリアに留学して、イタリア人と結婚し、中東やポルトガルに暮らしてきた、という兵(つわもの)です。生き方そのものに“行き過ぎている感”が滲み出ています。
 結果に結び付くどころか、結果がどう出るかさえ分からない。まあ、こんなマンガを誰が読むんだという感じで描いてみたら、4巻で累計500万部を突破して、映画化までされました。
 社会は「突き抜けている人」を求めているのです。(p.60)
 突き抜けた意志を持つことが副産物を生んで、生きる糧になる。「副産物主義」というか「テルマエ・ロマエ方式」というか。くすぶり時代に培ったものが、とんでもない力を発揮した実例です。(p.61)
 ヤマザキマリさんの、こういうのって参考例としてはちょっと異例系だけれど、国内で平凡にくすぶっていただけでは、副産物が発生する可能性は確かに少ないだろう。
 平凡に生きるくらいなら、野垂れ死にをロマンと思うほどの思い込みで“行き過ぎている人生”を生きていった方が、一回きりの人生としては圧倒的に有意義だろう。もう繰り返し何度も輪廻転生してきた中で、いろんな死に方をしてきたのだから、今世くらいは、ないし、今世もまた、傑出した死に方に挑戦してみてもいいだろう。
 例えば、餓死などあり得ない豊かな国・日本に生まれながら、立派に餓死を遂げたなら、それはそれで傑出している。副産物として新聞記事になるかもしれないけれど、ならなくても、ありふれた平凡な人生をダラダラ生きるより、遥かに良いじゃん、とチャンちゃんは無責任に思う。(社会意識に縛られているだけの、ありふれた愚鈍な生き方には、とことん辟易している、という意味です)

 

 

【大量インプット】
 度を超えた大量インプットは、経験の質を変えるのです。
 これは映画好きかどうかという問題ではなくて、自分に対する資本の投下です。いや、お金はかかっていないので、時間の投下です。SNSなどでなんとなく過ごしている時間をここに投下すれば、どれだけの財産を手に入れることができるか。
 くすぶり時代に大量インプットの習慣と技を身につけると、それがワザ化して、対象を変えてもドーンとインプットすることができるようになります。(p.64)
 いろんなインプット事例が書かれているけれど、肝心要は、「大量にインプットする」ということ。
   《参照》  『日本語トーク術』 齋藤孝・古館伊知郎 (小学館) 《後編》
            【「量より質」 ではなくて 「量こそ質」】

 インプットとアウトプットの関係については、下記リンクが参考になるでしょう。
   《参照》   『脳を活かす仕事術』 茂木健一郎 (PHP) 《前編》
             【「脳を活かす仕事術」の神髄】