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 著者は「かつては『ライフ誌』で“マフィア界の若き天才”と評されたほどの成功を収めた男」(p.132)なのだという。マフィアってどんなことをして稼いでいるのだろうと思いつつ読んでみた。仕事術としては、マキャベリの言葉と、それと対照的なソロモンの言葉が数多く引用されている。2011年5月初版。

 

【マフィアの収入源】
 私はガソリンの卸売企業を18社取り込んで企業連合を形成し、大西洋沿岸全域で何百万ドルと稼いだ。その当時、ガソリン業界の競争は熾烈を極めていて、中でも最大の敵は大手石油企業だった。
 私の企業連合の利益は、ガソリンの販売量と直結していた。ガソリンが売れるほど利益も上がるのだから、できるだけ多くの企業を吸収しようと努めた。
 とはいえ、世界的な総合エネルギー企業を取り込むのは無理だ。エクソンモービル、シェル、BPなどのいわゆる「石油メジャー」には手を出さず、それ以外の会社をすべて対象とした。・・・中略・・・。
マフィアにとっての最大の敵は、アメリカ政府と司法省だ。(p.47-48)
 石油メジャーとシェアを競ったという話を読むと、落合信彦の小説の中にあった、ノビー自身やその友人であるシャヒーンのことを思い出してしまう。ノビーやシャヒーンはアップストリーム(石油採取)で、著者はダウンストリーム(石油販売)という違いはあるけれど、大手メジャーvsインディペンデントという構図は同じである。男としては、なかなかやりがいのあるビジネスだったのだろう。
 それにしても石油メジャーとシェアを競うと言うことは、まさにロックフェラーのスタンダード(=アメリカ政府と司法省)を敵に回すということだから、それでよく勝てたものだと思ってしまう。「合法的に勝負できたのだろうか?」と思ったら以下のように書かれていた。
 我々は、ガソリン1ガロンにつき最低でも5セント、最高で40セントの脱税に成功し、石油メジャーよりもかなり有利な立場になった。そして、ガソリンスタンドなどの小売業者に対し、石油メジャーですら競合できないような安値で下した。(p.49)
 どうしてこのような脱税や競合が可能になったのか、具体的な手法は書かれていないけれど、正攻法でロックフェラーに勝てるわけなどないのだから、「当然、これしかないだろう」と思う。

 

 

【マキャベリのやり方】
「軽い傷を負わせただけでは仕返しをされる恐れがある。
 攻撃する時は、復讐される心配がなくなるまで徹底して攻めるべきだ」
「ダメージは一撃で与えよ。相手の苦しみは減り、反撃もされにくい。
 恩恵は少しずつ与えよ。そうすれば、ありがたみを長く味あわせられる」
「愛されるよりも恐れられるほうが安全である」  マキャベリ

 マキャベリのやり方は、私のやり方だった。 (p.47)
 ダウンストリーム企業を取り込むうえで、マキャベリのやり方を露骨に実施したのだろう。
 ロックフェラーもマキャベリの手法でアメリカの石油を独占し業界標準(スタンダード)を作ってきたのである。どっちもどっちの「力による勢力拡張」である
   《参照》   『青い血族 ロックフェラー財閥の野望』 ギル・リービル  メディア・ファクトリー
             【スタンダード石油】

 それにしても、「愛されるよりも恐れられるほうが安全である」というマキャベリ風の考え方は、21世紀となった現在はもう通用しない。「原罪」という用語を用いることで「怖れ」による支配を可能にした「キリスト教神話」の時代は、ピッセス(双魚)期といわれる20世紀末までである。21世紀以降のアクエリアス(水瓶)期は、「愛」に基づかないものは存続できなくなっている。
 アセンション問題の本質は、そのことをこそ語っているのである。
 ロックフェラーもマフィアも事業縮小は天の定であり、失地回復は完全に不可能。これからもマキャベリの手法を用いようとするのは甚だしい時代錯誤である。
 著者は、経験的に、マキャベリの教えでは生き残れないとわかっていた。

 

 

【マキャベリの陥穽】
 マキャベリの教えに従ってビジネスを展開し成功したマフィアは、まず間違いなく失脚する。私もそうだった。犯罪組織での成功は諸刃の剣なのだ。(p.50)
 マキャベリの教えは、人々に恐怖心を植え付けて忠誠を誓わせる。しかし、恐怖心で統率された組織は、いつか必ず内部から崩壊する。それは、策略、不信、裏切りが生れる状況をつくるということだからだ。
 恐怖心で人々を服従させている組織を潰したいなら、その組織以上に恐ろしい存在になればいい。すると、組織のメンバーの忠誠心はどこかに消え、力ある者が支配するというマキャベリの教えに潜む毒針が姿を現す。(p.54)
 マキャベリの教えに従えば、永遠に気の休まる時はない。そんな世界になるのは必然必定である。
 イタリア系マフィアである著者は、そのことを以下のような面白い比喩で語っている。
 ボンゴレに必ずアサリが入っているように、マフィアに嫉妬と裏切りはつきものだ。(p.52)

 

 

【マフィアのビジネス構造】
 上納金を払わずに利益を得ているとファミリーに知られれば、ファミリーから除名され、ビジネスの利権も取り上げられてしまう。まさにマキャベリの教えそのものだ。
 上納金を払う意味はもう一つある。上納金があるおかげで、部下の収入源をドンが確実に把握できるようになると言うことだ。つまり、マフィアはいわゆるネットワークビジネスと同じ仕組みなのだ。
 あるいは、上納金は、ドンを受取人にした生命保険のようなものだとも言える。マフィアがここまで考えているとは、少々意外だったのではないだろうか。(p.51-52)
 非合法な手段によって得た利益が、このようなビジネス構造をもつ組織内に還流してゆくのだから、上納金はその構造内にある限りは生命保険であるけれど、その構造はそこから出ようとする自由をも阻むことにもなる。組織は、非合法活動をばらされるリスク発生を許さないからである。完全に閉じた世界。
 「束縛を愛」と誤認する意識レベルの低い人ならマフィアの世界に疑問をもたないだろうけれど、「自由」と「愛」を欲する人が好んで入りたがる世界ではない。カタギの世界で生きている人にとってはあり得ない世界であるけれど、ヤクザの家庭内で育った人々は、家庭内運命の反復とでもいうべき心理のDNAに支配され、「本当の愛」に気づけないまま生きてゆく傾向が強い。
     《参照》   『極道な月』  天藤湘子 文芸社

 

 

【ソロモンの教え】
 ソロモンは、金持ちになる秘訣を教えてくれるわけではない。
 そもそも、ビジネスで大成して富を築くための「秘訣」など存在しない。・・・中略・・・。
 ソロモンは、個人や会社の強固な土台となる考え方を教えてくれる。 (p.65)
「自分の唇を警戒する者は自らの命を守る。
 軽率に口を開く者は身を滅ぼす」       ソロモン  (p.75)
「たとえ無知でも、何も語らなければ賢者に見える。
 黙っていれば聡明な人だと思ってもらえる」  ソロモン  (p.120)
 余計なひと言を発したばかりに、殺されちゃった例が書かれている。
 賢明なマフィアさんは、攻撃的なマキャベリの効果を疑問視するけれど、守備的なソロモンの効果は認めているということらしい。
 ソロモンの教えに対してマキャベリは以下のように語っている
「君主たる者、たとえ高潔なところが一切なくとも、
 つねに高潔に見えるように振る舞うべし」  マキャベリ  (p.156-157)
 いかにもマフィアさんが好みそうな教えである。
 日本のヤクザさんとお友達関係にあり、パチンコ業界にテンコモリ天下っている警察幹部の皆さんにもピッタリである。下記のリンクから末端までリンクを辿りましょう。
    《参照》   『日本がアルゼンチンタンゴを踊る日』 ベンジャミン・フルフォード (光文社)
              【警察の実態】

 

 

【企業倫理】
 IBE(企業倫理協会)が実施した「企業倫理は報われるか?」という調査によると、倫理にのっとった活動を明確に約束している企業は、そうでない企業よりも業績がよいという。
 IBEの責任者フィリッパ・フォスター・バックは、「業務を遂行するにあたって倫理を重んじることは、論理的に正しいだけでなく、金銭的にも報われると実証された」と語る。・・・中略・・・。

「正義と愛を求める者は、生きがいと豊かさと名声を得る」    ソロモン

 ソロモンは他人から信頼される価値を知っていた。そして、それが豊かさに導いてくれるのだと考えた。
 倫理にのっとった活動を明確に約束している企業が、不快な態度や不正を行う会社より秀でるのは当然のことなのだ。
 要は、信頼できない相手と取引を望む人はいないということだ。(p.164-165)
 マフィア稼業やヤクザ稼業を実際に体験しなくたって、日本人ならこんなことは当たり前に昔から知っている。
 ところが、日本のマスコミや警察・検察はどれもこれも、「闇の権力」(=CIA)に育てられたヤクザ企業でありヤクザ組織だから、「闇の権力」の利益を擁護する者はかばって、逆らう者に対しては容赦なくその信用を失墜させ裁くのである。公権力を手にしている分、マフィアよりはるかに質が悪い。企業倫理・組織倫理ゼロである。
     《参照》   『日米「振り込め詐欺」大恐慌』 副島隆彦 (徳間書店) 《前編》
               【メディアが仕掛ける謀略】
               【検察が仕掛ける謀略】

 

 

<了>