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 過去に読んだ著者の本の中では、この本が一番楽しく読めた。諸外国の実状を詳しく語ることで、日本を浮き上がらせるという内容である。米・欧・中などの危険含みの経済の実状については、多くの著述家が書いているけれど、それらを殆どすべて網羅しているし、さらに具体的データに基づいた著者独自の記述も加味されているから、読者は、「やっぱり最後に残るのは、日本しかないんだよなぁ~」って思えるだろう。特にクロージングは最高である。2011年6月初版。

 

 

【本書は、日本経済の実力について述べたものだ】
 本書は、日本人がなぜか気づいていない日本経済の実力について述べたものだ。・・・(中略)・・・。最後まで読めば、戦前同様に、大本営発表を垂れ流すだけの大メディアがいっていることと、本書のどちらが正しいかがわかるはずだ。(p.10)
 日本の大メディアは、アメリカの子分たちに支配されているから、アメリカにとって不都合なことは報道しないどころか、世界で起こっていることの裏側の真実など決して語られない。テレビで経済時評を語っているのは、「闇の権力」に忠実な御用学者かヘッポコなコメンテーターである。
   《参照》   『ステルス・ウォー』 ベンジャミン・フルフォード (講談社) 《中編》
              【日本のメディアが報じない事実】
              【見えない報道統制の系譜】

 

 

【日本製品なしに世界経済は回らない】
 主に北関東と東東北が被災したにもかかわらず、大地震直後の営業日は世界同時暴落である。これは世界同時介入により瞬く間に戻ったけれども、実体経済の面では、今に至るも世界経済は麻痺している。これは尾を引く。日本製品がやってこないのなら工場を閉める、商売をあきらめるというケースは数えきれない。これはなにを意味するかといえば、消費財だけでなく、日本製の資本財や中間財(電子部品や工業原料)がいかに世界の津々浦々で活用されていたか、ということだ。もはや、日本製品なしに世界経済は回らない。その事実を日本人は再確認できたのではないだろうか。(p.22-23)
 この本が出版されたのは、東日本大震災のわずか3カ月後である。
   《参照》   『勃発!サイバーハルマゲドン』 ベンジャミン・フルフォード(KKベストセラーズ)《3/4》
             【震災後の影響】

 

 

【特許国際出願件数】
 2010年の特許国債出願件数トップテンでも、複数の企業が名を連ねているのは日本と中国だけだった。
 日本からはパナソニック、シャープ、NECという電機・電子機器の大手3社がランクインしている。中国からは中興通訊、華為技研という通信機器2社がランクインしている。 ・・・(中略)・・・ 。
 最大の驚きは、2009年まで常連だったサムスンがいきなり圏外に脱落し、下位の常連だったLG電子が進出したことだ。1997年の東アジア通貨危機に際し、韓国にIMF(国際通貨基金)という経済占領軍が入ってきて、国民経済の形を財閥グループ間の切磋琢磨から、欧米型の一人勝ち経済に変えてしまったことの弊害が、もう現われているのだろう。(p.41)
 特許国際出願件数の圏外脱落は、サムスン凋落の予兆といえるだろう。かつて高額でヘッド・ハントされた日本人技術者たちの、その後の処遇がわかるようになって久しいから、もう日本から韓国へ技術者が流出することはなくなっている。だからそうそう高い技術力を維持することはできないだろう。日本人以外の技術者も、中国企業がより高い額を提示すればサムスンには靡かない。
   《参照》   『サムスン栄えて不幸になる韓国経済』 三橋貴明 (青春出版社) 《前編》
 

 

【研究開発投資で見る日本の強さ】
 研究開発投資が官公庁主導か、民間主導かということの持つ意味は大きい。(p.46)
 日本は後者の比率が80%で、先進国の中で一番高い率を誇っている。官公庁主導なら生きた研究開発には成らないのである。
 過去半世紀にわたって、世界中でもっとも官公庁主導型の研究開発投資をしてきたのはフランスだった。・・・(中略)・・・。超音速旅客機コンコルドは、まったくのもてあましものとなって跡形もなく姿を消した。・・・(中略)・・・。
 フランスという立派な反面教師がいるにもかかわらず、ヨーロッパはEU主導でますます官僚主義的になっており、科学技術投資も官公庁主導型に変わりつつある。(p46)
 ギリシャ危機に際して、「公務員が多すぎる」と難癖をつけながら、EU全体が公務員化しているのである。
 アメリカにおいても、NSAやNASA、FBI、CIAなどの国営巨大企業が常に上位を占める就職口であり、学校の先生などの地方公務員に比べたら圧倒的に高い給料を得ているのである。

 

 

【生活保護者の比較】
 日本では、「不況で、生活保護世帯が、1970年代以降最悪の水準まで増えた」と大騒ぎするが、2010年末で200万人、総人口に占める比率は2%弱だ。アメリカの低所得層向け食費補助制度「フードスタンプ」の受給者は4500万人だ。就業人口の約4分の1がフードスタンプなしには生きていけないわけだ。日本をこういう世の中にしてはいけない。(p.50)
 日米で比較したら日本は良いように思えてしまうけれど、日本独自でいえば、戦後史上最悪になっているのである。1960年代の日本では、市町村のトップは手弁当(無給)で実活動に奉仕していたのである。ところが現在の市町村のトップは、毎月多額の給料を当然のことのように受け取っているだろう。これだけ民が困窮しているのに配慮もなく、何ら知恵も絞らず、時々定例のイベントに顔を出すけで、よくそれだけ平気で受け取るものだと感心するけれど、全国の行政関連の公務員ほど怠惰で無神経で貪欲な奴等はいないだろう。
 せめて全国の市町村長は無給にしたらどうか。生活保護受給者が現在と同じ水準であった50年ほど前と同じ状態に戻すだけのことある。それがマットウというものだろう。そうすれば、困窮する民を尻目に、欲心だけで何の知恵もなく、成り上がり者さながらに高級車を乗りまわしているだけの無神経で無教養なクズどもは、当たり前に立候補しなくなるだろう。
   《参照》   『人生応用力講座』 日下公人 (PHP) 《前編》
            【日本の政治が汚くなった根本の原因は・・・】

 

 

【アメリカの製造業の凋落】
 アメリカ製造業の付加価値がGDPに占めるシェアは、1950年代前半は27~28%であった。この時期をピークに2006~2007年前後には12~13%まで落ち込んでいる。2008年の産業別付加価値表を見るとさらに低下して、11.5%まで下がっている。(p.124)
 だったら2013年現在は10%以下だろう。
 全産業に対する製造業の就業人口比は、1970年で20.7%。2010年は9%だという。
 アメリカは、基軸通貨ドルの力に任せて、アジアを工場と見なし、イギリスの先例に倣って金融業主体の経済構造にシフトしていったのだけれど、その結果が、サブプライムやリーマン・ショックだった。そして国内に失業者がゴロゴロという現状である。
 これから先の時代、かりに製造業が再興すると想定しても、技術の進歩によって大きな雇用は全く期待できない。これはアメリカに限ったことではないけれど、この点でいえば、製造業の比率が、まだかなり高い日本は、世界的に見れば一番「健全」というか、まだ一番「マシ」な国なのである。

 

 

【不気味な2つの変化】
 最近のアメリカ社会で、大きな変化が2つある。
 ひとつは石油消費量が以前と比べ激減していることだ。 ・・・(中略)・・・ ガソリンの高騰と家計の緊縮財政が響いて長距離を走ることができなくなってきたのだ。(p.159)
 日本でもガソリンの消費量はかなり減っているけれど、これは何も燃費のいいエコカーに置き換わったからということではないだろう。日本も事情はアメリカと同じである。しかし、クルマ社会と言われるアメリカで激減ということは、相当に財政がひっ迫している家計が増えている証拠だろう。確かに不気味である。
 チャンちゃんは、1年前、リッター60km走る中古のカブを買った。ガソリン代の出費は確かに馬鹿にならない。家に引きこもってばかりいるとシケ桃よりアホになっちゃうからである。チャンちゃんのように経済性を考慮して中古バイクを買う人は多いだろうと思っていたら、むしろ売る人のほうが多いらしい。中古バイク屋に置かれているバイク数は、去年よりずっと増えている。日本も相当に傷んでいる証拠だろう。
 もうひとつ、アメリカ社会で発生している大きな変化がある。それは2008年にサブプライムローン・バブルが崩壊してから、犯罪発生率が減少しているという事実だ。
 犯罪分類で言えば、日本もアメリカも、麻薬売買関連の犯罪者が一番多いのである。売りたい麻薬はあっても、買いたい側にお金がなくなっているのである。
 もともと麻薬は、CIAが資金源として製造・販売して稼いでいるものだから、世界中に戦争をまき散らすための資金が集まらないのであって、この点から見れば大いに良いことである。