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 出版社名から体験記なのか思ったけれど、青年企業家向けのビジネス書のような内容である。横帯に「世界一わかりやすいPWA(段取り力)の教科書」と書かれているけれど、たまたまちょっと前に 『段取り力』 齋藤孝著 の読書記録を書いたばかりなので、内容がかなり重複しているように思えてあまり新鮮味がない。2007年11月初版。

 

 

【人生の差】
 幸運はひとり、ひとり順番にやってくる。
 うまくいくときは、誰がやってもびっくりするくらいうまくいく。
 うまくいかないときに、どれだけ前に進めるか、
 その合計こそが「人生の差」になる。  (p.76)
 波に乗れる時は、「他力」で運ばれるようなもの。
 波に乗れない時は、「自力」で歩む。
 大抵の占い師さんにとって、「凶運期は、打って出ず、蟄居して自己研鑽に励むべし」が定番フレーズなんだろうけど、企業家である著者はきっと、波に乗れない時期(凶運期)に、ビジネスと自己の研鑽を兼ねて、このような本を認めていたんじゃないだろうか。

 

 

【象をつなぐ杭】
 小さな象をつなぐ杭と、
 大きな象をつなぐ杭は、まったく同じ杭だという。
 子象のころに「逃げても無駄だ」と思い知るから、
 大人になっても、逃げようと思わなくなる。
 出来ないと思い込んでいるから、力があるのにやろうともしないそうだ。
 
 あなたも過去の束縛が、根深く記憶に残っているのかもしれない。
 まずは実際にやってみることだ、
 ひとつの小さな達成が、忘れかけていた自信を取り戻すきっかけになるだろう。(p.83)
 著者が意図するのとは違ったことを思ってしまった。
 大人になった象は、杭を抜こうとしないのではなく、餌づけされた環境に狎れて、そこに安住することを選んでしまっているんじゃないだろうか・・・と。生活の安全が保証されていれば、力を発揮しようとはしなくなってしまうのである。
 どっちにしても、限られた世界の外に出ようとしない精神の委縮状況や安逸を貪り続ける状況は、魂の向上を阻む故に人生を無意味化する。

 

 

【他人の力を「どこまで集められるか」】
 ひとりでできることには限界がある。
 誰と組むか。どんなチームにするのか。
 いろんな人の得意を集めて、お互いの弱い部分を補い合う、
 実力はその人一人の力ではなく、
 他人の力を「どこまで集められるか」によって決まる。(p.113)
 天下を取ったのは、項羽じゃなくて劉邦。
   《参照》   『上司の極意』 ジェフリー・J・フォックス  光文社

             【2流の人材は3流の人材を採用する】

 「やってほしい」と頼むよりも、「やらせてほしい」と言わせたい。(p.113)
 これに倣うなら、欠点の場合、
 「あなたは○○がいけない」と指摘するより、「自分で気づいた」と言わせたい。
 となる。
 確かに最善である。
 しかし、左脳タイプの人間の場合、整然とした理由をつけた上で欠点を指摘されれば、速やかに改善する場合もあり得る。
 右脳型の人間は、感情をベースに欠点を指摘するから、左脳型に対して成功しない。
 左脳型の人間は、理性をベースに欠点を指摘するから、右脳型に対して成功しない。
 女性は概して右脳型で、男性は概して左脳型なのに、夫婦は「相手が自分と違う」ことを認識していないからうまくいかない。同じ人間だと思うからいけない。別種の動物だと思っていればいいのである。
 バリエーション豊かな動物園だからこそ、客が集まり、プロジェクトは成功する。

 

 

【プラス思考とは・・・】
 プラス思考とは決してマイナス要素から目をそらすことではなく、最悪な状況を出来るだけ洗い出し、「先手を打っておこう」と考えられる思考のことだ。想像しうるすべてのトラブルの対処法を考えておけば、あとはもう明るいことしか考えられない。だからたとえ誰かが不安を感じていても、「心配しなくても、なんとかなるよ」と自信を持って励ますことができるわけだ。(p.125)
 「保険を掛けてあるから大丈夫」、みたいな根拠だけれど、これって現実世界における折衷型のプラス思考だろう。会社経営上の考え方ならこれで良いけれど、これでは世界を飛躍的に変革させる本来のプラス思考にはならないだろう。
   《参照》   『宇宙パラレルワールドの超しくみ』 サアラ (ヒカルランド) 《中編》

               【リスクヘッジの陥穽】

 考え込むより行動。動けば自然に見えてくる。(p.140)
 こっちのほうが、本来的なプラス思考に近いんじゃないだろうか。

 

 

【自分の問題解決】
 「虫の目」には、いま置かれている状況が見えない。
 ときどき「鳥の目」の大きな視野で、プロジェクト全体を見渡してみよう。
 状況は刻一刻と変わっている。
 段取りの階段がどこかで崩れていないだろうか。
 のぼりきれないほどの、大きな段にぶつかっていないだろうか。

 目標を変えなければ、段取りは何度でもやり直すことができる。
 既存のやり方にしがみつく必要はない。
 「これならいける!」という感触をつかめるまで、
 いろんなやり方をためしてみよう。(p.163)
   《参照》   『段取り力』 齋藤孝 (筑摩書房)

             【「段取り力」を鍛える秘訣】

 

 

【報いる】
 たとえプロジェクトが成功したとしても、
 参加した仲間たちがボロボロだったら意味がない。

 人を評価することを忘れない。
 たとえ偶然でも、結果を出した人を賞賛する。
 たとえ偶然結果を出せなくても、実力のある人を賞賛する。
 たとえ結果や実力がともなわなくても、最後まで挑戦し続けた人を賞賛する。

 人は評価することでのみ、成長し続ける動物である。
 「あなたががんばっていたことを、私は知っていました」のひと言で、すべてが報われる人もいるはずだ。(p.179)
   《参照》   『「とことん聞く」経営』 小山政彦 (サンマーク出版) 《前編》

             【 「馬車馬大賞」 「NHK大賞」 】

 こういうのを読んで、「いい記述だなぁ~」と思う反面、「自分が賞賛される側だとして、本当にうれしいだろうか?」とも思ってしまう。
 挑戦することを推奨する欧米文化においては、それに呼応して、成果を出した人に対して惜しみない賞賛を与えることがペアになっている。だからこそ「成果主義」の企業文化が栄えてきたのだけれど、日本文化に「成果主義」はそぐわなかったのである。
 陰徳を好む人や、人知れず孤高に生きている少なからぬ日本人の中には、「人に評価されないからこそ」という悦びを持っている人々だっているはずである。報いてくれるのは人だけではない。目に見える世界だけに依拠する愚かさは即物的な人間を醸成するだけである。人の評価や賞賛などなくたって成長を続けられる人間の方が、神仏の視点からすれば遥かに尊いはずである。

 

 

<了>