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 我々一般人は、いろいろあるややこしい経済の仕組みを具体的かつ詳細に分かっていない。しかし、具体的かつ詳細に分かっていないと、世界経済の本当の姿は見えてこないのである。
 その点、「金融資本主義を終わらせる」ことを目的としている苫米地さんは、脳機能科学者としての著作の方が圧倒的に売れているんだろうけど、かつて三菱地所に所属し、1989年当時、財務担当者としてロックフェラーセンタービル買収に関わった経験を持つ方だから、とても頼もしい人に思える。
   《参照》   『夢が勝手にかなう脳』 苫米地英人 (講談社)

             【苫米地さんの役割】

 この著作を通じて、隠然と仕組まれている国際金融の具体的な姿を晒すことで、長年にわたって我々に施されてきた経済的洗脳を解こうとしてくれている。ひとりひとりが脱洗脳を完了しておかないと、いざという時に、日本もアジアも世界も正しく更正できないだろう。2012年3月初版

 

 

【日本が長い経済的停滞のトンネルから抜け出す日は近い】
 このところの日本では、御用経済学者が唱える古ぼけた御用理論によって、日本経済の現状がきわめて歪めて伝えられており、私はこれを黙って見過ごすことができません。彼らは口々に、日本の未来がまるで真っ暗であるかのような言説を垂れ流し、日本人の、とりわけ若い世代の心をくじいています。・・・(中略)・・・。
 私に言わせれば、日本はかつてないほど国力を増大させつつあり、それに伴い経済的停滞の長いトンネルから抜け出る日も近づいています。にもかかわらず、日本人の多くは停滞の中で惰眠をむさぼり、目覚めようとしていません。これは、日本人が不安の中で眠り呆けているほうが好都合だと考える勢力の仕業に違いありません。(p.18-19)
 既に世界経済の大きな流れの基調は日本に向いていることは、円高傾向という事実によって明白である。しかし、それを意図的に不況の原因と見る御用学者系列の解説ばかりが横溢している。
 意図的に日本を沈滞させている勢力が、日本に仕掛けている経済的仕組みは、この本の後半に記述されている。

 

 

【ニューエコノミー】
 古典的な経済学では、経済成長した分以上にマネーストックを増加させると、インフレが起きるとしています。
 ところが、これほどまでマネーストックおよび信用を増やしている現代に、なぜか悪性のインフレは起きていません。お金がモノに向かっていかず、そのために物価が高騰するということがありません。
 では、お金がどこに向かっているのかといえば、別のお金に向かっているのです。つまり、お金でお金を買い、お金でお金を儲けるということです。そのため、お金の価値が値上がりしたり値下がりしたりすることは、いたって顕著です。
 じつは、現代では経済がインフレだ、デフレだ、と議論すること自体、意味を失っていると私は考えています。・・・(中略)・・・一言だけ言えば、ニューエコノミーがやってきているのです。(p.47)
 勿論ここで言っているニューエコノミーは、90年代末に語られたIT技術の進化による新しい経済という意味のものではない。モノに向かわなくなったお金の流れという新しい動きを言っている。
 モノに向かわなくなったから、モノを生み出す企業が成長するか否かに関わりなく、価値が増えても減っても儲かる仕組みが編み出され、そこに向かってお金は流れていく。故にこそ、今日の金融資本主義はカオスを創出し、いずれどんなかたちであれ突然死を迎える可能性が高いだろう。
 もちろん、新しい経済の姿があるとはいえ、新興国や開発途上国の国民は経済の過熱によるインフレとは無関係ではありません。彼らは、高度経済成長を遂げ、物質的な豊かさを手に入れようと必死です。しかし、注意しなくてはならないのは、彼らが描く豊かさのイメージが、日本人が経験したそれと少なからず異なっている点です。(p.51)
 中国人の場合は、自国を豊かにして国民皆が豊かになることよりも、一攫千金を得て海外に移住することを選ぶだろう。世界経済がボーダレス経済化した今日では、そんな中国人的生き方のほうが適応しやすいとさえ言える。それに比べたら、日本人は激流となって流れ続けている国際経済の流れとは別に、内向きな国民性故に古風な経済を貫いているとも言えるだろう。だからこそ国際経済の作為的な大きな枠組みを見破れていない日本人が多いということになる。

 

 

【国際経済の作為事例】
 第1次世界大戦とFRB設立とのタイミング的な合致は、誰かがそれをセットにして計画した、と見なくてはなりません。(p.63)
 FRBの設立でもうひとつ忘れてならないのは、アメリカ所得税徴収法もまた、1913年12月にウイルソン大統領が法案に署名し、成立していることです。(p.257)
      《参照》  『ロスチャイルド200年の栄光と挫折』 副島隆彦 (日本文芸社) 《中編》

               【FRB設立での主導権争い】

 

 

【ブレトン・ウッズ体制とIMFの目的】
 アメリカが世界覇権を確立する過程で作られた国際金融の仕組みについて、
 ブレトン・ウッド体制とは、外貨準備という名目で、各国に対して米国債の保有と、アメリカにドル資金を送るよう促す仕組みなのです。
 もちろん、ブレトン・ウッズ体制の下では、どこかの国が外貨準備の不足によって通貨危機を起こすこともちゃんと想定されていました。その問題に対処するために、通貨危機に陥った国に外貨を融資するIMF(国際通貨基金)がつくられました。若い読者は、何のためにIMFが存在しているのかよくわからないことでしょう (p.66)
 IMF管理下に入った(アメリカの鴨葱となった)韓国の事例がまさにそれである。
 中国と日本は外貨・ドルを多量に持っている。中国のように政治力がない日本は完全にアメリカの属国状態であるけれど、1999年にIMF管理下に入った韓国の場合は、属国というより完全に植民地化されていると言っていい。一方的に搾取され続けるだけである。
    《参照》  『サムスン栄えて不幸になる韓国経済』 三橋貴明 (青春出版社) 《後編》

             【韓国企業の外資支配状況】

 しかし、近年のギリシャの財政危機に関して、
 IMFが1国の財政問題のために役割を果たすというのは、異例かつはじめてのことです。(p.66)
 サブプライム危機、リーマン・ショックと2度にわたる世界金融危機は、アメリカによる悪質な作為であったことを知った世界中(特にユーロ圏)の指導者たちが、世界的な連鎖破綻へと向かわせないために、アメリカの独善的恣意を阻んだ結果だろう。

 

 

【BIS規制がつくった証券化金融商品】
 今日の国際的な金融危機は、様々な証券化された金融商品が関わって起きてきたのだけれど、その背景にはBIS規制があった。
 なぜ、REIT(リートとは不動産を証券化した商品)が普及したかというと、BIS規制があったからです。・・・(中略)・・・。REITは株式と同様の擬似通貨ですから、不動産開発企業がREITを組成し、発行することは、銀行が信用創造行為を行うこととほんらい何も変わりありません。ところが信用創造行為を行う不動産開発企業には、この規制がかかりません。BIS規制は、あくまで銀行に課せられた規制であり、銀行以外の企業はその範疇ではないからです。・・・(中略)・・・。
 そこでウォールストリートは、BIS規制の決定以来、金めの物をどんどん証券化する方法を戦略的にとってきたのです。(p.70-71)
 BIS規制は本来、日本の銀行を狙い撃ちした規制であったのだけれど、金融商品の証券化も含めて、世界を国際的な金融破綻へと向かわせる作為であると理解しておいて間違いない。
      《参照》  『2012年、日本経済は大崩壊する』 朝倉慶 (幻冬舎) 《前編》

                【BIS規制】

 

 

【日本はデフレか?】
 新興国のインフレに引っ張られるかのように、主要国もまたインフレに向かっているからです。
 同様に、現在の日本も、もはや物価の面ではデフレとはいえない状況を迎えています。
 主な理由は、物価の下落率が、為替の変動率よりも小さいことです。
 いま円高は、毎年ほぼ10%というペースで進んでいます。にもかかわらず、モノの値段はそんなに下がっているでしょうか。(p.76)
 円高が10%のペースで進みながら、モノの値段が変わっていないなら、実質は10%インフレになっていることになる。
 今後もさまざまな擬似通貨が生み出され、それが世界を駆け巡るマネーの増大を促していくとすれば、世界が直面するのはインフレです。私たちが「インフレに火がついた」と感覚的に理解できないのは、お金がモノに向かっていないことが理由です。モノには向かっていきませんが、お金は確実に、モノの根本になっている資源やエネルギーには向かっています。・・・(中略)・・・。
 日本だけが世界の潮流から外れ、デフレ経済を続けると主張すれば、それはあまりにも度が過ぎた楽観論といわなくてはなりません。日本人は、いまこそ長い停滞から目覚めて、きたるべき新局面への備えをするべきです。(p.77-78)
 お金はモノに向かわない。お金に向かっているお金は、通貨の変動を誘発する。モノの根本に向かっているお金は、明らかに世界的なインフレを誘発している。
 国際金融を支配する者たちは、もちろんモノの根本(資源やエネルギー)の多くを支配下においている。諸国家の経済安定化策とすれば、モノの根本をできるだけ支配されず、インフレ率と通貨変動率の差分をいかに埋め合わすことができるか、ということだろう。この点で圧倒的に有利なのは明らかに円高傾向にある日本なのだけれど、お金に向かうお金は格付け情報操作に左右された心理に支配され、実体経済とは無関係な挙動を示してしまう。日本人ですら日本経済の実力を知らずに、意図的に操作されている国際指標のネガティブ情報に支配されていることが問題なんだろう。
 世界の金融情勢から、日本の現状を正しく理解し自覚しておかないと、徐々に温度が上昇(インフレ)しつつある水の中に入っている蛙と同じようになってしまう。日本国は「茹で蛙」になるのだろうか、それとも正しく状況を「読み蛙(甦る)」になるのだろうか。