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 脳を活かす上で“愛”の大切さが終盤にキチンと書かれているのがいい。単なる脳科学者ではなく能科学者の著作になっている。脳を最高の状態にするためには、楽観的に夢と希望を持てる精神状態で脳をドーパミン漬けにし、さらに、愛という潤滑油を供給すれば申し分ないだろう。2009年3月初版。

 

 

【茂木さんの持論】
 「生きる」ことは不確実性に向き合うことです。
 不確実性に向き合うこととは、正解のない世界に飛び込み、そして泳いでいくことであり、その大海において自分の脳をどのように使うのか。これこそが、生涯を貫く最も大切な問題であり、究極的にいえばそれ以外にあり得ないというのが僕の持論です。(p.20)
 不確実性は、他の著作の中では、しばしば偶有性(セレンディピティ)という言葉で表現されているけれど、上記の記述を最も集約的に表現しているのは、下記リンクの著作だろう。
   《参照》   『脳が変わる生き方』 茂木健一郎 (PHP)

 では、人生という大海において脳の力を発揮させるために、僕らはどのような「道具」を携えているのでしょうか。

 さっそく脳という道具箱をあけてみましょう。(p.20)

 

 

【感情を豊かにする】
 脳科学的な面からも、感情の幅が広い人ほど情動を司る大脳辺縁系と呼ばれる部分が発達していて、不確実性への適応力が高いと言われています。簡単にいえば、臨機応変に対処しやすい脳の回路ができているというわけです。
 そのためには、日頃から感情を豊かにすることを心がけるのも、道具箱としての脳を磨く手段となります。(p.21)
 脳科学者の本の中では、新皮質脳を表面意識、大脳辺縁系を潜在意識、脳幹を深層意識に対応させるような単純な割り切りの良い記述を読むことはないけれど、胎児の脳の生成過程を示したエルンスト・ヘッケルの図を見ると、生物の進化過程を辿るような図になっているから、脳のそれぞれの部位を意識と対応させて考えても面白いはずである。
 大脳辺縁系が担う感情に蓋をしないのは、表面意識と深層意識の中間にある潜在意識という回路を遮断することなく意識の全体最適を実現するうえでも必要だから、と考えてみるのも面白い。

 

 

【楽観回路を深く豊かにする】
 未来は明るいのか、それとも暗いのか。明るいと思えば、脳の前頭葉を中心とする「楽観回路」が働き、楽しい気持ちが生まれます。その働きが側頭葉の内側にある扁桃体という神経細胞を活発化させ、「なんでもできる」「どこまででもいける」というような自信となります。
 こうしたふたつの領域の掛け算的効果が、脳の特性を活かした精神活動であるわけです。厳密にいえば、これらは「楽しい」と感じる以前の無意識下での現象ですが、「無意識を耕すこと」つまり、楽観回路を深く豊かに耕すことこそ日常でできる工夫であり、自らの創造性を磨いていく方法なのです。(p.40)
 無理してポジティブであろうとするのと、普通にオプティミスティックであろうとすることは違う。
 前者はおそらくどう頑張っても表面意識の耕起であり、後者は無意識の耕起だろう。
 前者は全脳を励起させるに至らないから推進力が乏しい。その点において後者はパワフルである。

 

 

【表情筋と脳の回路】
 表情筋と脳の回路の密接な関係です。人間は、自分の表情に影響され認知判断も変わってしまうということが、実験で明らかにされています。いわば、自分が自分で自分の心をつくっているということです。
具体的にいいますと、被験者に笑顔やしかめっ面を故意につくってもらいます。ピンやペンなどを用いて表情筋を固定するのです。その状態でジョークや深刻な話を聞かせると、表情に感情が引きずられるという結果が出ました。つまり笑顔で深刻な話を聞いても悲しくならず、逆に渋面でジョークを聞いてもおかしくなかったのです。(p.124)
 笑顔でいれば幸せになれるし、涙を流すから悲しくなるんだよ、っていう行動主義の理論が脳科学によって裏付けされた。
 脳科学は、下記リンク内容の正当性も保証する。
   《参照》  『神との対話 ③』 ニール・ドナルド・ウォルシュ (サンマーク出版) 《後編》

             【聖なる二分法】

 

 

【ネットワークの多様化が生み出す法則】
 興味深いものを紹介しますと、まずひとつ。
 あるネットワークが多様になればなるほど、他人に利益をもたらす行為、すなわち利他行為の進化が安定するという結果があります。
 つまり、会社だけでなく近所のコミュニティに所属していたり、趣味の仲間がいたり、複数の組織に属しているような個人が集まる集団は、利他的行動が進化しやすいということです。前項に照らしていえば、公共財の構築に協力的な人が増え、ネットワーク自体の富が増えるという現象です。(p.134)
 興味深い事例なので書き出しておいた。

 

 

【人生を成長の舞台にするために】
 人生を常に成長の舞台にするためには、「○○らしさ」をいつでも捨てられる情熱を持つことです。
 ・・・(中略)・・・ 
 「自分は何者か」を追求しながら同時に「何物でもない自分」を磨き続けること。世評やレッテルに頼らず、自分だけの価値観に従うわけですから、ある意味それは非常に孤独な作業です。しかし、このように受難すること自体が情熱の源になるのです。孤独とはかくも熱きもの。受難とはかくも身近なもの。全ては自分次第だと僕は思っています。(p.157-158)
 禅的世界を間接にであれ経ている人なら、普通にまともな見解である。
 経ていなくても、若い頃、エキセントリック(奇矯)な生き方に靡いた人は、そのままの性を維持していれば、晩年、日本的な風狂に行き着くかもしれず、その中間過程で、この記述にあるようなまともな生き方を、エキセントリックの延長線上で遷移形として選び取るのかもしれない。前世でスピリチュアルな学びをそこそこ終えている人は、多分そうなるんじゃないだろうか。孤独を怖れ、怯え、忌避する人は、魂に蓄積された学びが少ない。それはハッキリしている。
 
 
【どのような日常からも喜びを引き出す精神】
 「明日死ぬかのように生きよ。永遠に生きるかのように学べ」といったのはインドの政治家、マハトマガンジーですが、このような言葉が生まれる脳内回路には、どのような日常からも喜びを引き出す精神があるように思います。
 つなぐのは、自分。つなぎ方は、目の前の相手に集中すれば、自ずと脳が教えてくれるのです。
 マインドフルに生きて、キャピキャピ状態の脳で、あらゆるものに接していたら、世界は様相を全く異にする筈である。毎日が平凡でツマラナイと感じているなら、脳が完全にシケコンデいる証拠。
 ガンジーの同じ言葉を引用している本があった。
   《参照》   『あした元気になるために人生の時間銀行』 吉田浩 (ニッポン放送)

            【永遠に生きると思って・・・】

 

 

【愛という潤滑油】
 愛することで知った自分の“自家発電能力”を、日々の興味にも生かしていく。いわば、これが愛という潤滑油で磨かれた道具を手に入れた、ということではないでしょうか。(p.217)
 人生を輝かせるためには、どうしたって“愛”は絶対に不可欠なもの。
 密教では7つのチャクラの存在を語っているけれど、愛のチャクラは胸に位置する第4のアナハタ・チャクラ。胸部より下にある1~3のチャクラは物質的な波動で、胸部より上にある5~7のチャクラは霊的な波動に近いと表現されることもある。愛のチャクラはその中間。つまり愛の波動は物質的な波動として最も繊細なものであることが、物質界に生きる人間にとっての潤滑油と表現される役割を持つことを表わしているのであり、これなくして霊的な波動界へと参入もできなければ、霊的な波動界からのエネルギーをキャッチすることもできない。肉体を癒しスピリッチュアルなヒラメキをキャッチする鍵は“愛”である。
 今、僕らに求められているのは、家族、そして隣人への愛、要するに他人にとっての安全地帯となる無償の愛ではないでしょうか。同時にそれが自分の脳を活き活きさせる術となることを、僕らは生活習慣を通して実感することができるのです。(p.218)
 愛には、エロス(男女の愛)、フィレオ(兄弟の愛)、アガペ(無償の愛)と様々な次元がある。次元が高いほうがより繊細な波動なのだから、それぞれが持つ愛の次元に応じて脳もまた輝きが違うのはいうまでもない。
 愛はハートが発するもので、脳とは直接的な関係はないと思っているのなら、それは違う。
   《参照》   『すでにアセンションしている人たち』 櫻庭雅文 (徳間書店) 《後編》

             【心臓にも脳細胞】