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 ノーベル賞受賞に係わる研究内容のことも僅かに書かれているけれど、それらは下記のリンク書籍に書き出し済みである。それらより、益川先生の日常のことが書かれている個所の方が、いくつも共通点があって面白かった。2009年9月初版。

 

 

 

【完全二食主義】
 僕は、朝ごはんを食べません。
 完全に 「二食主義」です。それを言うと驚かれますが、僕には、朝ごはん、昼ごはん、夕ごはんという概念はなくて、「第一食」、「第二食」 と言っています。(p.30)
 チャンちゃんは回数も時間もバラバラである。食べるのを忘れて1日1食という時の方が頭も体も調子がいい。定時三食なんて、ほんといい迷惑である。

 

 

【駆け出しの蔵書数】
 中学生の時は鍵を収集していたという。
 今は集める対象が本になった。
 しかし、「これはおもしろい」 と買ってくるけれど、すぐに読むわけではありません。
 書棚に寝かせてから、同種のものがたまると、比較しながら読み始める。
 そんな感じで本を買っていたら、いつのまにか2000冊になっていました。
 2000冊というとすごいとおもうかもしれませんが、「本を持っている」 と言えるのは、「万」 を超えた人が言う言葉。自宅と大学合わせて6000冊ぐらいの蔵書では、まだまだ駆け出しです。
 そう、インターネットはほとんどやりません。せいぜいメールを見るぐらいです。(p.35)
 受賞当時、テレビのインタビューで、益川先生は 「本は読みません」 と言っていたし、ノーベル賞受賞に関しても 「嬉しくない」 と言っていた。予想を裏切ることを言う天の邪鬼なところがある、とご自身で書いているけれど、読書に関しても天の邪鬼に答えていたのだろう。
 時々、女房から 「ああいうことはいうものではありません」 と “教育的指導” が入ります。あの 「嬉しくない」 には、仲間からも、「益川さん、ちょっとあれは」 と注意されました。
 仲間や女房がせっかく忠告してくれているのだから、多少はそれにこたえるようにしていますが、だからといって行ないを悔い改めるようなヤツではありません、僕という人間は。
 ところでこんなこと、教育関係者たるものが言っていいのでしょうか。教育上よろしくない。ちょっと心配になってきました。(p.84-85)
 笑ってしまうけれど、益川先生のように、地で行ってしまう人の方が人間的でいい。益川先生のプロフェッショナル教育者としての最重要側面は、下記の記述の中にある。

 

 

【考え続けた最長記録】
 一睡もせずに考え続けた僕の最長記録は51時間で、2度あります。(p.60)
 御自身の研究の時ではなく、2度とも指導していた学生の論文の時だという。
 答えが出て、まとめという段階で最初から改めて見なおしてみると、なんとスタートラインの式が違っていたのです。
 ドクター論文は学生の運命にかかわる一大事だから、なんとか起死回生の一手を見つけないといけない。3日間、寝ずに考えました。(p.60)

 

 

【益川先生の書斎】
 学生の時から、「路上」 と 「喫茶店」 が僕の 「書斎」。 それは今も同じです。(p.61)
 何かに没頭していると、周辺の音は全く関係ない。図書館の読書室などは静寂が当たり前だから、小さな音がかえって響いて集中の妨げになったりする。読書の妨げにならない環境音楽ってあると思うけれど、それを実施している図書館に出会ったことはない。

 

 

【 「孤独」 がこわくない 】
 ところで、僕は、子どものころから 「孤独」 がこわくないのです。一人で何時間いたって平気。
 中学くらいからは、学校で話をしたり、一緒に旅行する友だちはいましたが、基本的にクラスの中で僕は一人でいました。(p.79)
 この気持ち、よく分かる。 こういうタイプの人は少なくないように思う。
 チャンちゃんは、葉祥明さんの絵にあるような一軒家に一人だけで住んで生きていたいと思うことがよくあるけれど、誰の魂であれ、魂の本来はそのようなものだと思っている。

 

 

【芥川龍之介を解析する】
 高校時代に芥川龍之介の小説を 「97%」 読みました。(p.94)
 作品リストにあっても手に入らないものが1つか2つあったのだという。
 97%読めば、なぜ彼がああいう最期を遂げたのか見通せたような気がしています。彼は実質主義で、彼が書くドラマを、いかに劇的に終わらせるかに腐心するのです。
  ・・・(中略)・・・ 。種が尽きてしまった彼は、今度は 「奇跡」 に頼ってキリシタンものを書いた。神だったら、普通だったらありえない劇的なことをいくらでも自分勝手に起こすことができます。
 だけれども、その手法もついに使い果たしてしまった。彼に残された唯一の劇的な結末は自分で死ぬことだった、とうのが僕流の解釈です。(p.94-95)
 外国人留学生は、日本文学と言えば、夏目漱石・森鴎外・芥川龍之介の作品に言及することが多い。ところが日本人の若者は、これらを読んでいない人が多い。チャンちゃんも国語の教科書に載っていたものしか知らない。そのうち読んでみよう、と書いてこの段を締めくくろうと思ったけれど、多分読まないだろう。

 

 

【創造には 「材料」 が不可欠】
 研究をしているときに、「これとこれは普通だったら結びつかないんだけれど、試しに結び付けてみようかな」 と、 “ふと” 思う時があります。
 それがまさに 「ひらめき」 です。
 創造するには 「材料」 をきちんと持っていないとだめです。
 その材料は多いにこしたことはありません。
 だから、「雑学」 がとても重要になってきます。
「ああ、ここではこういうふうに思考するんだ」 ということも含めて、いろんなものに興味を持って、たくさんの情報や、知識を常に頭に入れておく。それが創造力の 「源泉」 になるのです。(p.135)
   《参照》   『天才論』 茂木健一郎 (朝日新聞社)

              【総合的な知性】

 知的にいちばん興奮する時って、“もっとも無関係と思われるものどうしが繋がった時” ではないだろうか。既に多くの人々が様々に考え尽している中で、 “新発見” というのはそういうことなのである。

 

 

【理論物理学と銀行業務】
 以前に、僕の素粒子論研究室のイギリス人留学生が入ってきました。彼は、素粒子の計算法を覚えて結局、スイス銀行に就職しました。素粒子の計算法は 「確率微分方程式」 とまったく同じで、ファイナンスに使えるのです。(p.188)
 高度な数学って、意外なところで用途がある。
   《参照》   『クール・ジャパン 世界が買いたがる日本』 杉山知之 (祥伝社) 《後編》

             【デジタル・クリエイターに必要なもの】

 

 

【 「のりしろ」 思考】
 タイトルになっている 「のりしろ」 思考については、序盤に書かれているけれど、チャンちゃんにとっては普通のことだから、書き出さなかった。
 興味がある方は、ご自分で買って読んでください。 
 
 
<了>