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 北京オリンピックの前、2008年1月初版の書籍。来年あたりに中国崩壊が起きるのではないかと危惧している人々が増えている。その根拠は、出鱈目ともいえる中国政府の貨幣過剰供給政策である。
 “欲望最大、道徳最低” となり果てている中国の現状を記述する数多の事例を読んでいると、本当に暗澹たる気分になってくる。

 

 

【米中の金融】
 中国経済の暴落がしばし遠のいたのは、何と言っても通貨人民元の為替レートとの絡みである。人民元の急騰シナリオが政治的打算で操作されている。
 ヘンリー・ポールソン米財務長官が 「中国の代理人」 と影口を叩かれるほどに、人民元切り上げ圧力を、中国人民銀行と組んでまで阻止している理由は、人民元の人為的レートの維持こそが米中共同の利益だからだ。(p.45-46)
 ポールソン財務長官、その前身は、リーマンショックで大いに<焼け太った>ゴールドマン・サックスの会長である。
   《参照》   『暴走する国家 恐慌化する世界』 副島隆彦・佐藤優 日本文芸社 《中》
            【中国、基軸体制案】
   《参照》   『アメリカの新国家戦略が日本を襲う』 日高義樹 (徳間書店)  
            【拝金タッグ】

 

 

【天津】
 豪雨の前にアリは先を読んで動き出す。
 次に来る政治動向の嵐の前に、中国では天津への進出が本格化した。内外を問わず抜け目のないビジネスマンが天津へ、天津へと向かっている。
 胡執行部は 「政敵」 = 上海派のさらなる発展に急ブレーキをかけ、むしろ北京に近い天津を 「第二の浦東」 とする為である。表向きは 「和諧社会」、裏面では利権争奪戦争。(p.61)
 既に北京の80kmまで迫っている砂漠化 (p.192) のリスク。黄河断水のリスク。いずれも海に近い天津なら当面は回避できる。戦争や手抜き工事 (p.194) による三峡ダムの崩壊で、泥に埋まる可能性のある上海のようなリスクも天津ならない。

 

 

【ラオス】
 第4章には周辺諸国の様子が記述されている。
 ラオス人の気性は日本人とそっくりで、温和な性格がとくに似ている。日本語教育がブーム、市内で日本語学校が4つもある。中国語学校は1つ。
 驚くほどの親日感情! ラオス人学生の多くは米国よりも日本留学を望む。つまり人生観が金儲けよりも徳目、長い目で見た平和な人生を渇望するからで、これは中国人と正反対である。
「だけどねぇ」 と現地の日本人商社マンが言う。
「ラオス人はおとなしいのは良いにしても動作がのろい。時間だけかかって詰めが甘く、商談が進まない」(p.112-113)
 ラオス人とカンボジア人は、日本人に似ていて純粋なところがある。タイには華僑が遥か昔から進出し切っており、ベトナムにも近年中国人が多数進出しているので完全に拝金民族に成り下がっている。

 

 

【アフガニスタン】
 タリバンやアルカイダの巣窟となっているアフガニスタン。
 蛮勇の中国は、このアフガニスタンへ未曾有の30億ドルを投資し銅山開発を決定した。
 中国はカネと利権があると聞けば危険を顧みない。ウィンウィン(Win Win)戦略で突っ走る。
アフガニスタンの東北部からタジキスタンの南を経て中国へ至る 「アフガン回廊」 があることをお忘れなく。(p.126-127)

 

 

【ウイグル人】
 カーディル女史は、「7~14歳の子供が漢民族地域に連れて行かれ、洗脳教育を受けており、いずれウイグル語が喋れなくなる ・・・(中略)・・・ 」 と暗い見通しを語った。(p127)
 中国当局が新彊ウイグル自治区で推進させている民族隔離は巧妙な民族浄化政策とも取れる。要するに若いウイグル女性40万人を他省へ労働移動させているのだ。
 主な就労先は天津、青島など中国沿岸諸都市で、15~22歳のウイグル人女性が対象。(p.127-128)
 チベットばかりではない。凄まじい奸知。

 

 

【スーダン】
 米国議会の人権派、リベラル派、左翼マスコミがスーダンのダルフールにおける部族虐殺を憂慮し、スーダンの独裁政権に武器援助をやめない中国を痛烈に批判し始めた。(p.148)
 20万人の虐殺で国際社会ではすっかり悪名高いスーダンですら、経済制裁など何のその、石油の利権を取りつけた中国人の豪商がプールサイドでゆっくりとくつろいでいるという。

 

 

【ナイジェリア】
 ナイジェリアへもドバイ経由ラゴスへの直行便が北京から就航しており、早くも5万人がナイジェリアに住みついている。 ・・・(中略)・・・ 。その後も胡錦濤主席は温家宝首相と手分けしてアフリカ諸国を歴訪、いまでは46カ国に大使館を設置している(日本は22カ国)
 この “やる気まんまん” ぶりは、日米欧と比較にならない。(p.151) 
 ナイジェリアとは、かつてビアフラの惨劇があった場所である。
 アフリカに限らず、世界中に中国の資金と中国人の建設移民は送り込まれている。
 数年先には、建設途中の建物とインフラがそれぞれの国に記念品として放置されることになるだろう。

 

 

【南米】
 「反米一辺倒」 が常識の、これらの国々でもじつは反中国感情のほうが強くなっている。ブラジルでは 「進出してきた中国によるプロジェクトのかわりに国内市場には中国産品が溢れ、ブラジル国内興業を阻害している」 と悪評が立ち始めた。(p.157-158)
 この書籍、再読なのだけれど、以下の記述、最初のときは読み落としていた。
 中国は雇用を運ばず、不況を運んできたのだと現地の反発は爆発寸前、そのうち各地では反米より反中暴動が起きるのではないか?
 思い出されたい。1950年代のインド。反中暴動は5万軒あった中華レストランを焼き打ちした。73年と03年に起きたインドネシア暴動も、実態は華僑商店の焼き打ちだった。(p.159)
 日本人とは徹底的に違う中国人である。
 「欲望最大、道徳最低」。これこそが昔から変わらぬ中国人の真実である。

 

 

【海外の日本食レストラン】
 いまや世界中の90%ちかいレストランは日本人コックがいない。 ・・・(中略)・・・ 。
 要するに日本食は儲かると聞いて、外国人が一斉に日本料亭、寿司バーを経営しており、その筆頭が韓国人、ついで台湾、中国という順番だろう。(p.197)
 海外で口にする寿司など、お米がギュウギュウ詰めで、その食感・味ともに 「ありえな~い」 って思うような代物がむちゃくちゃ多いけれど、そういう事情なのである。
 経済摩擦や民族不和に絡んで、非常時に襲撃されるのは中国人ばかりではない。アメリカでも地震で停電した際、韓国人が経営する店舗ばかりが襲撃されたという事実がある。中国人、韓国人、いずれも阿漕な商売をしながら、国際的な和食ブームを背に、日本食レストランの看板を出していれば儲けつつ、非常時に襲撃されないという一石二鳥のメリットがつく。

 

 

【中華伝統商法】
 商法は 「右手に算盤、左手に論語」(渋沢栄一)ではなく 「孫子の兵法」 だ。奇策を用い、消費者を騙して売り抜けるノウハウが骨子となる。
 こうして、中華伝統商法とは、「騙すより騙された方が悪い」 という道徳不在となる。この文化的背景は何か?
 第一に伝統的な賄賂文化と一族郎党だけ繁栄すれば他人はどうでもいいという中国人独特の人生観である。
 富めば良いものをたべ、隣で貧乏人が餓死しても、決して同情を寄せない。(p.218)
 孔子は、葬儀を行う一族の出身だから、中華伝統商法の悪しき側面から最も遠い、真っ当な商法をしか見ていなかったはずである。
   《参照》   『「逆」読書法』 日下公人 HIRAKU
           【孔子の教訓に感じた素朴な 「なぜ」 の結末】

 

 

【 『中庸』 が語る中国の将来 】
 儒教の教えを集大成した 『中庸』 に言う。
「国家がまさに興らんとするや、必ず禎祥あり、国家まさに滅んとするや、必ず妖孽(ようげつ)あり」
 国が興隆するときは、溌剌としてエネルギーに取り巻かれ、めでたい兆しがおこるものだが、逆に滅亡するときは国風が乱れ、法律は形骸化し、怪しい兆しが起きてくる。(p.204-205)
 怪しい兆しなどもう何年も前からテンコモリあるのに、どうして滅びてないの? と思ってしまう。おそらくは、金融秩序など無視してアメリカはドルを、中国は元を、共同歩調で出鱈目に市場に供給し続け、終わりのときを先延ばしにしているからなのだろう。
 道徳のない国が歴史上、長く続いたためしはない。(p.222)
 現在、いまだに中国が存続しているという事実が、この格言的な文章の真実性を希釈してしまっているけれど、副島説の 『あと5年で中国が世界を制覇する』 というのはあり得ない事で、この書籍のタイトルが正しいはずである。
 
<了>