
副題にある、「新しい日本モデル」 とは、キヤノンの事例を言っている。セル生産方式の成功でその有意性を証明したキヤノンではあるけれど、金子慶応大学教授は、セル生産方式ばかりではなくキヤノンの総合的なビジネス方式を評価している。
【キヤノンの経営システム】
キヤノンの経営システムを、金子教授は以下のようにまとめている。
【キヤノンの経営システム】
キヤノンの経営システムを、金子教授は以下のようにまとめている。
金子 : セル生産方式をとる場合、ますます受注生産に近い形になっていくはずですから、需要の変動に合わせて必要人員の変動が表面化しやすくなります。そこで、多様に儲かる部分が周りに配置され、事業が多角化されていないと、終身雇用とキャッシュフルー経営は両立しないんですよ。キヤノンは収益のコアを内製化しつつ、自己金融力を高めてショックに強い体質を作り、記憶装置技術開発に重点投資するという戦略がひとつのシステムとしてできているのです。 (p.118)
内製化というのは、優れた技術をもつ外郭系列会社を、その特許権まで含めてキャノン内部に取り込むことを言っているのだろう。収益のコアの内製化とは、まさに 「企業の中心軸」 の作成であり、自己金融力を高めるとは、国際金融覇権勢力から自らを守るための 「企業の鎧」 としての機能もあるのだろう。
金子 : 自己金融力は非常に重要な点で、日産とキヤノンの明暗が分かれたのは、ここなんです。・・・(中略)・・・大手企業でもこのように分かれてくるのは必至ですが、・・・(中略)・・・間接金融で生き残っている中堅企業・中小企業が、キヤノンのまねをするのは無理があると思うんですよ。 (p.179)
【社外重役礼賛に意義あり】
田原 : 社外重役はCEOが引っ張ってくるんですか。
御手洗 : 一般的にそうです。・・・(中略)・・・1960年代から70年代初めの頃まで、社外重役は無給でボランティアでした。旅費や宿泊代など実費のみを支払うのが一般的でした。ところが、企業が増えて社外重役を引き受ける立派な人材が不足するにしたがって一定額の報酬(リテイナーフィー)を出すようになり、続いてストックオプションまで付与するようになってきました。
このような変遷の過程で、CEOとの利害がだんだん一致するようになり、客観性は次第に薄れてきました。・・・(中略)・・・今の日本では社外重役制度=客観性があるととらえ、導入する企業があるようです。私はまったく疑問に思っています。 (p.127)
これを読んでいて、韓国のイ・ミョンバク大統領の組閣が、CEOによる社外重役選定に100%重なるのではないかと思っていた。韓国文化を基盤にすれば、社外重役制度に客観性など求めようもないはずである。
御手洗 : 一般的にそうです。・・・(中略)・・・1960年代から70年代初めの頃まで、社外重役は無給でボランティアでした。旅費や宿泊代など実費のみを支払うのが一般的でした。ところが、企業が増えて社外重役を引き受ける立派な人材が不足するにしたがって一定額の報酬(リテイナーフィー)を出すようになり、続いてストックオプションまで付与するようになってきました。
このような変遷の過程で、CEOとの利害がだんだん一致するようになり、客観性は次第に薄れてきました。・・・(中略)・・・今の日本では社外重役制度=客観性があるととらえ、導入する企業があるようです。私はまったく疑問に思っています。 (p.127)
御手洗 : FRB議長だったボルカー氏が、レーガン大統領に続投を頼まれたら、「家計が持たない」 と言って辞めたのは有名な話です。私は別にアメリカの経営者を礼賛するわけでもありませんし、卑下するわけでもありません。ただ、アメリカの優良企業が成功しているのは、社外重役制度が優れているわけではなく、個人の使命感、倫理観に負うところが大きい。ただ、形式だけをまねても、あまり意味がないと言いたいのです。 (p.132)
【アジア共同市場の実現】
日本は資金と技術を提供してアジア諸国の発展に寄与し、アジア共同市場実現へむけて幹事役に徹する。そうすることが最善の策なのろう。
田原 : 日本が単独でドルに対抗するのは難しいので、統一通貨は宗教や体制の違いですぐには無理だとしても、アジア経済圏のようなものは作るべきでしょうね。
御手洗 : 絶対に作るべきです。
田原 : これは日本がイニシアチブをとらねばならない。中国を含めたアジア各国は、このままそれぞれが勝手にやっていたら、アメリカの金融システムに完全に制圧されてしまう。97年のアジア経済危機がまたやってくる。
金子 : EUの成立が教訓となります。フランスとドイツの石炭と鉄の利害が国境で衝突しました。そこから協議体が形成され、EUへと発展していった歴史があります。われわれも中国に対してただセーフガードを乱発していてもしょうがない。お互いに摩擦のある産業を協議のベースに乗せていくことが重要なんです。 (p.208)
この書籍は2002年初版である。このアイデアに即して、安部政権時代に日本と中国は戦略的互恵関係を結んだのだろうし、今後も維持してゆくことだろう。御手洗 : 絶対に作るべきです。
田原 : これは日本がイニシアチブをとらねばならない。中国を含めたアジア各国は、このままそれぞれが勝手にやっていたら、アメリカの金融システムに完全に制圧されてしまう。97年のアジア経済危機がまたやってくる。
金子 : EUの成立が教訓となります。フランスとドイツの石炭と鉄の利害が国境で衝突しました。そこから協議体が形成され、EUへと発展していった歴史があります。われわれも中国に対してただセーフガードを乱発していてもしょうがない。お互いに摩擦のある産業を協議のベースに乗せていくことが重要なんです。 (p.208)
日本は資金と技術を提供してアジア諸国の発展に寄与し、アジア共同市場実現へむけて幹事役に徹する。そうすることが最善の策なのろう。
<了>