
世界中の様々な文献を元に、世界を巡る思索の旅に読者を誘ってくれた著者の数々の本を、学生時代楽しく読んでいたことを思い出す。それらの文庫本は、全部まとめて従兄弟にあげてしまったけれど、読まれないまま死蔵されていたり、あるいは廃棄されていたりして・・・などとネガティブな想像をして、ならば 「あげなきゃよかった」などと、自虐的な後悔をしている。
この本は、それぞれの時代の主要なエネルギーをキーとして、楽しい読み物になっている。
この本は、それぞれの時代の主要なエネルギーをキーとして、楽しい読み物になっている。
【風に乗った実在の中国人・シンドバード】
1405年、彼(鄭和)は世祖(永楽帝)の命を受けて、62隻の舟に2万7千余の乗組員を分乗させてインド西海岸のカリカットまで達している。それが第一回の航海だった。・・・(中略)・・・。明 時代の中国は、当時ヨーロッパ諸国が持っていたよりも多くの船を擁していたのである。
しかも、その規模が違う。中国の外洋船は長さ150m、幅60m余という巨船で、これは、のちのスペイン無敵艦隊を構成する軍船の2倍近くもあるのだ。 (p.28)
貿易風のエネルギーを利用した中国の巨大船団がアフリカ諸国と交易していた証拠である。
しかも、その規模が違う。中国の外洋船は長さ150m、幅60m余という巨船で、これは、のちのスペイン無敵艦隊を構成する軍船の2倍近くもあるのだ。 (p.28)
東アフリカで最も注目されるようになったジンバブエ(巨大な石の家)の遺跡である。
だが、発掘にあたった学者たちを一斉に考え込ませたのは、この遺跡から出土するおびただしい中国の陶磁器の破片だった。それも宋、元、明と三時代にまたがっているのだ。・・・(中略)・・・。
鄭和は雲南省出身のイスラム教徒だった。彼がイスラム経済圏に乗り出していけたのも、その出生と無関係ではなかろう。
とすれば、彼こそ、風に乗った実在のシンドバードだったのである! (p.30)
『アラビアン・ナイト』 に語られているシンドバードの物語は8~9世紀にかけてのことだけれど、5世紀ほど後の中国に、それに匹敵する実在の人物がいたことは確かなのに、世界史の教科書では東洋の業績がまったく語られていない。中国のみならず日本に関しても、西洋に比較して世界一だった点はいくつもあるのに・・・である。だが、発掘にあたった学者たちを一斉に考え込ませたのは、この遺跡から出土するおびただしい中国の陶磁器の破片だった。それも宋、元、明と三時代にまたがっているのだ。・・・(中略)・・・。
鄭和は雲南省出身のイスラム教徒だった。彼がイスラム経済圏に乗り出していけたのも、その出生と無関係ではなかろう。
とすれば、彼こそ、風に乗った実在のシンドバードだったのである! (p.30)
【南牛北馬のインド】
ところで、日本の七福神は、エビスを除いてすべて外来の神々である。そして、その中の3柱はインド出身。おそらく、ドラヴィダの系譜だろう。
おそらく、牛がドラヴィダ文明に力を貸し、馬がアーリア文明を確立させたのであろう。中国の 「南船北馬」 に倣って言うなら、インドは 「南牛北馬」 で成立したと見てもよい。 (p.60)
湿潤多雨な農耕地帯に牛、乾燥がちな草原地帯に馬。陸地において文明の力学を左右したのは、まさしく馬エネルギーだった。蒸気機関が発明されるまでは。ところで、日本の七福神は、エビスを除いてすべて外来の神々である。そして、その中の3柱はインド出身。おそらく、ドラヴィダの系譜だろう。
【アスワンハイダムと三峡ダム】
エネルギー効率に関する日本企業のアドバンテージは他国を圧倒している。長谷川慶太郎さんの著書に書かれていたのだけれど、アメリカは、日本の火力発電所の中古機材を解体して船で運び、再度組み立てて活用している。また、アメリカ国内の地下鉄車両ですらすべて日本企業が作って船で搬入しているほどである。アメリカは金融にばかり偏して、既に自国内の工業必需品を作る工業力すら有していない。
【シュルブールの雨傘】
《参照》 『ハリウッド 良心の勝利』 山田和夫 新日本出版社
【ジョン・ウェインはなぜ死んだか】
昨夜の衛星第一のフランスの国内ニュースで、「原子力発電施設で複数の事故が隠蔽されていた」 ことを報じていたけれど、民間の生活用水でもある地下水の汚染状況の実態は、かなりひどいはずである。フランスは国内のあらゆる地域に原発が建設されている。フランス国内の原発反対世論に火がつけば、日本の六ヶ所村の再処理施設は 「やむをえない」 という正当性を言い出すのだろうけれど、核エネルギーは人類の未来にとって決して必要不可欠なエネルギーなどではない。
アスワンハイダムは1955年に計画され、ナセル大統領のもと十年の歳月をかけて、1970年に完成した。ダムの高さは111m、幅は3.6km、年間100億kwの電力をつくりだす。
それから30年後、今度は中国で孫文が夢みた三峡ダムの建造が開始される。高さは185m、幅は2.3km。巨大さにかけてはそう変わらないが、年間847kwの電力を生み出すという。アスワンハイの8倍半の威力である。 (p.126)
30年違えばエネルギー効率に関する技術は大幅に進化している。アスワンハイダムが完成した頃起こった石油ショックを期に、日本企業はソーラー発電の技術をほぼ完成させていたけれど、その後の半導体技術等の進化によって、今日のソーラー発電の効率は30年前に較べて格段に進化している。それから30年後、今度は中国で孫文が夢みた三峡ダムの建造が開始される。高さは185m、幅は2.3km。巨大さにかけてはそう変わらないが、年間847kwの電力を生み出すという。アスワンハイの8倍半の威力である。 (p.126)
エネルギー効率に関する日本企業のアドバンテージは他国を圧倒している。長谷川慶太郎さんの著書に書かれていたのだけれど、アメリカは、日本の火力発電所の中古機材を解体して船で運び、再度組み立てて活用している。また、アメリカ国内の地下鉄車両ですらすべて日本企業が作って船で搬入しているほどである。アメリカは金融にばかり偏して、既に自国内の工業必需品を作る工業力すら有していない。
【シュルブールの雨傘】
英仏海峡に臨むフランス北西部、ノルマンディの港町シェルブール。
と言えば、すぐに思い浮かぶのは往年の名画 『シェルブールの雨傘』 である。もう40年近くも前の作品だから、若い世代には、あまり馴染みがないかもしれない。・・・(中略)・・・。
しかし、私の目的地は、この町から西へ25キロ、コタンタン半島の岬にあるフランス核燃料会社(COGEMA)のラ・アーグ再処理工場である。 (p.151)
日本の使用済み核燃料もここに輸送されて再処理されていた。 『東京に原発を』 の著者、広瀬隆さんは、映画 『シェルブールの雨傘』 の制作目的を、「核処理工場のカモフラージュである」 とはっきり書いていた。巨額の資金が動くエネルギー関連のビック・プロジェクトには、必ずといっていいほどマスコミ関連情報産業をも支配下に納めた国際金融資本が関与している。と言えば、すぐに思い浮かぶのは往年の名画 『シェルブールの雨傘』 である。もう40年近くも前の作品だから、若い世代には、あまり馴染みがないかもしれない。・・・(中略)・・・。
しかし、私の目的地は、この町から西へ25キロ、コタンタン半島の岬にあるフランス核燃料会社(COGEMA)のラ・アーグ再処理工場である。 (p.151)
《参照》 『ハリウッド 良心の勝利』 山田和夫 新日本出版社
【ジョン・ウェインはなぜ死んだか】
昨夜の衛星第一のフランスの国内ニュースで、「原子力発電施設で複数の事故が隠蔽されていた」 ことを報じていたけれど、民間の生活用水でもある地下水の汚染状況の実態は、かなりひどいはずである。フランスは国内のあらゆる地域に原発が建設されている。フランス国内の原発反対世論に火がつけば、日本の六ヶ所村の再処理施設は 「やむをえない」 という正当性を言い出すのだろうけれど、核エネルギーは人類の未来にとって決して必要不可欠なエネルギーなどではない。
《参照》 『ロッカショ』 坂本龍一他 (講談社)
<了>