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 特殊な職業の人が書いている本には、珍しい発見がいろいろあるだろうと期待して買ってしまう。
 著者の略歴には、1983年日本秘書協会選出のベスト・セクレタリー、同年国際秘書検定に合格、CBSタイトルホルダーと書かれている。外資系企業の秘書をしていた経歴が長いらしく、この業界では先駆者的存在の方らしい。生年は記述されていないけれど、「留学は、外貨が自由化される前の1962年で、船に乗って2週間もかけて太平洋を航海して行った (p.165) 」 と書かれている。

 

 

【「秘書」の呼び名】
 かつて、秘書は上司の口述をタイプライターでおこす作業に多くの時間を割いていたけれど、近年のインターネット普及により、作業内容がかなり変わってきているのだという。
 アメリカではこうして役割の変化にともなって、かつて一様に「秘書」と呼ばれていた職種を、「情報管理マネージャー」 とか 「コミュニケーション・オフィーサー」 とか呼ぶようになりました。
 全米秘書協会の名称は、“Association for Office Professionals” 、直訳すると、“Office Professionals”(専門職者)の協会と改められました。
 名称はともあれ、秘書が “Office Professionals” であるという自覚を持たないと、その存在価値も薄れてくる厳しい現状です。 (p.70-71)

 

 

【秘書の日】
 「秘書の日」 は、1952年、当時のアメリカ商務長官チャールズ・ソイヤー氏が、各職場において重要な役割を果たし活躍している秘書たちの功績を認め、毎年4月最終週を 「秘書週間」、その週の水曜日を 「秘書の日」 と正式に制定しました。 (p.170-171)
   秘書の向学心や士気を高めるために、「秘書週間」 を利用して、社外セミナーに参加する場合が多いそうである。

 

 

【作詞・作曲家:小椋桂さんへのインタビュー】
 -----小椋さんにとって理想の秘書のあり方は?
 私との相性は大事だと思います。限定的な能力を誇る人は望ましくない。むしろ昔の古い女性の生き方、つまり、ボスを通じて自己実現をしてゆくという生き方が良い。・・(中略)・・。ボスに対するアドバイスとか、ボスが持っていない情報を収集してボスの意見形成に貢献するとか。こういうことができるようになると、秘書は独立した仕事であり、消えてゆく仕事ではなくなる。・・(中略)・・。

 最後にご著書にサインをお願いしましたところ、「君の仕草よ舞であれ、君の言葉よ歌であれ」 と書いてくださいました。秘書を職業とする人たちにピッタリのメッセージであると思いました。 (p.87)
 このサイン、いかにもというか、流石というか、小椋桂さんらしい。


【経済評論家:三原淳雄さんへのインタビュー】
 ---- 一般的に秘書に望まれることは?
 これは一般論ですが、いろいろ任されると時に女性は 「虎の威を借る」 的な行動をとってしまうのは困りますね。仕事が良くできて、個人的にも人を引き付ける魅力のある人、徳があるというか、そんな秘書がよい。 (p.111)
 秘書でなくても、女性でなくても “虎の威を借っている人” はそんじょそこらで良く見かける。

 

 

【文化の違い】
外資系経験者ならではの文化的ギャップの例。
 私たちが日頃よく口にする 「頑張ります」 も誤解を招きます。 I will do my best. などと訳そうものなら、「彼は何をすることを約束したのだ」 という質問を招きます。 (p.126)
もう一つ。
 英語の世界での話し合いで上司が 「ノー」 と回答した場合、彼は十中八九、私たちが異なる角度から再度交渉に来ることを期待しています。特に意見が食い違って完全な納得がなかった場合には、こうした再度の切り込みはむしろ歓迎されると解釈しています。
 しかし、多くの日本人マネージャーは、トップからの 「ノー」 は最終の答えであるとして納得がいかないまま引き下がるのが常です。あとで不満を耳にした上司が、「なぜ納得するまで、私を説得しようとしないのか」 と不思議そうな顔をされます。秘書の大事な役割がこんな狭間にも存在するようです。 (p.127)

 

 

【一晩寝かせる “sleep on it” 】
 秘書が遭遇する難しいケースの解決に必要なことが、この 「一晩寝かせる」 という発想です。 (p.172)
 感情的になっている上司のレターをそのまま出すことを危ぶんで、翌日、上司が落ち着いた状態の時に、さりげなく再確認するのだという。こういった経験を何度もしているとか。
 「一晩寝かせる」 ことの効果は、自分への反省となって、事を正常に引き戻してくれます。時間を置くことの意味、そして時間が解決してくれることの意義を痛感します。 (p.173)
 上司と秘書は、夫婦間と似たところが多分にあるらしい。それを英語で表現するならば、“Seasoned Person”になるらしい。

 

 

【シーズンド・パーソン】
 経験豊かな秘書にとって、「 “Seasoned Person” である」 ということは最高の褒め言葉でしょう。 (p.141)
 
 

<了>

 

   《関連参照》

   『秘書の目』 石川愛 (保険毎日新聞社)
   『スゴイといわれるプレスになる』 渡辺教子 (繊研新聞社)
   『美人の仕事術』 中谷彰宏 (ぜんにち)

   『エグゼクティブ秘書の「気配り」メモ』 佐藤直子 (すばる舎)