朝が寒いのはいつものことだが、今朝はやけに冷えると思ったら、マイナス17度だった。
いつもよりも10度近くも低いのは、昨日が満月だったからなんだろう。
晴れていればいるほど、気温が低くなる。
夏とは真逆になる、この感覚の落差で、風景の美しさはより意識の中で鮮明になった。
窓を開ける。
一瞬、透明なはずの空気が、ゆらゆらと触れて景色を歪ませた。
暖房の効いた部屋から一気に熱が外へ流れ出ると、今まで見ていた形が崩壊してしまう。
しかしそれは、すぐに元に戻ってまた、いつもの景色の形に戻る。
その時私は、視覚で捉える物事の曖昧さを実感するのだった。
熱は生命活動そのものだ。
生きていると熱が生まれる。
熱が意識を作ってる。
意識が時間と空間を認識させて、私と世界のあいだに境目を作っている。
冷たいものと熱いものが混じり合う境目の歪みが、本来物事には境目がないことを教えてくれていた。
私はそこに意識を向けて、いつも認知してる風景の形を自分の頭で作っているのかもしれない。
まだ言葉にならないその一瞬が、意識の幻を体感させた。
それは私に世界の本当を見せてくれるのだが、その時私は、目を使わずにいる。


