現在、銀座のポーラ ミュージアム アネックスでは、
“Worlding − No Oars, No Shore,”という展覧会が開催中。
「世界はどのように立ち現れるのか」を出発点に、
世代もジャンルも異なる3人の作家が競演した展覧会です。
まず1人目は、森本啓太さん。
1990年生まれの森本さんは、高校生の頃にカナダへ移住し、
カナダの芸術大学を卒後後も、しばらくカナダで活動していました。
2021年に帰国し、以来、東京を拠点に活動を続けています。
彼の作品の最大の特徴は何と言っても、光。
街灯やネオンサインといった人工光のある都市風景を主題としています。
都会の人工的な光を描いた画家というと、
《ナイト・ホークス》で知られるアメリカの画家、
エドワード・ホッパーが思い浮かびますが。
森本さんの絵画は、ホッパーよりもさらに古典的な印象を受けます。
それもそのはずで、森本さんがもっとも敬愛する画家はレンブラントなのだそう。
新しいのに古典的。古典的なのに新しい。
その唯一無二の作風で、今もっとも注目を集めている画家の一人です。
なお、本展の冒頭に展示されていたのは、
2023年に制作された《Long Day》という作品。
実はこちらの作品は、令和9年度の教科書、
『新・高校生の美術1』の表紙に採用されています。
この教科書を使っている高校生の皆様、
表紙の作品の実物が観られる貴重な機会ですよ。
ちなみに。
会場には森本さんによる初の立体作品、
自動販売機を使用した作品《Wunderkammer》も出展されています。
あくまで美術作品なので、中身を購入することはできません。
あしからず。
2人目に紹介されていたのは、1983年京都府生まれの上田暁子さん。
2018年にポーラ美術振興財団の在外研修員としてベルギーに留学し、
その翌々年にブリュッセル王立芸術大学院絵画科修士課程を修了しました。
それ以降、ベルギーのブリュッセルに在住しながら活動を続けています。
上田さんは、絵画を単なる再現や表象の手段とは捉えていないとのこと。
何らかの事象が変容していく過程やその瞬間、
あるいはその成り行きの表現手段として追求しているのだそうです。
そう言われてみると、どの作品も、
今にも別の形態や構図に変化しそうな雰囲気がありました。
絵画というよりも、映像作品の一部といった印象を受けます。
なお、本展では絵画だけでなく。
立体作品も併せて展示されており、
一種のインスタレーションのような展示空間となっていました。
“No Oars, No Shore,”どころか、“No Guide, No Hint,”な展覧会。
せっかく作品が良いだけに、それに関しては残念でなりませんでした。
さて、最後に紹介されていたのは、
1977年生まれの写真家・石塚元太良さんです。
石塚さんは、2004年に日本写真協会賞新人賞を受賞。
2006年にアラスカの原油のパイプラインを撮影した、
「Pipeline Alaska」シリーズを発表し、大きな話題となりました。
彼の作品にはコンセプチュアルなものも多く、
本展には線状に裁断した写真を編みこんだ作品や、
本棚の背表紙の写真を立体作品に仕上げたものなどが紹介されています。
それらの見るからに普通ではない写真作品と比べると、
アラスカの氷河の姿を捉えたこの作品は、一見すると普通に制作されたように思えます。












